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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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アメリカでの初任務

イカれたメンバーを紹介するぜ!


殺害回数世界一の女子高生の美世!

100kmで走行している車の認識を阻害しているハーパー!

何かあるなと匂わせているオリオン!

この濃いメンツに放り込まれた常識人の理華!

以上だ!

「私ナビしないとだから助手席から動けなかったわゴメン。」


「日和ってんの?あいの風様ともあろう者が日和ってんの?」


「退けよお前!私が全て蹴散らせてやるよ!」


煽り耐性が皆無である事を知られているから上手く乗せられてしまった。


「ハーパー私と位置交代ね。銃弾が飛んでくるかもしれないから屈んでいてね。」


「アイ、無理しないでね。」


私は後部座席の方に移動しハーパーと入れ替わる。そしてそのままトランク側向かい荷物を後部座席の方に渡した。


「これ座席の下に置いておいて。」


「これを盾代わりに使えるんじゃない?」


「能力者相手に普通の銃弾は使ってこないと思うから多分意味無いよ。」


普通の拳銃とかならまあ使えなくもない。でも中身によってランダム性があってギャンブルみたいな感じだから信用出来ないかな。


「相手はアサルトライフルを携帯している。当たったら多分死ぬから下がっていて…っておい。」


私の有り難い忠告を無視して理華が座席からトランク側に移ってきた。


「それはお前もだろう。それに的が多い方がお互いやりやすいだろう?私もやるよ。」


私はその気になれば銃弾を防げるけど理華は…多分銃弾が急所部分に命中したらほぼ確実に死んでしまう。


「ちょっと触るね。」


「な、なんだ急に。」


私は理華に触れて彼女自身を効果範囲に入れた。これならいつでも守ってあげる事が出来る。


「弾除けのおまじない。これ効くから車から落ちるなんて事だけは止めてよね。」


「…分かった。」


現在、私達が走っている道路は車の数が少なく簡単に前の車を追い越す事が可能ではあったがそれは相手も同じ。特にこんな直線的な道なら単純なスピードの差で簡単に追い付かれてしまう。


「あれだよね?」


トランク側から見えるのはハリウッド映画に出てきそうなハチャメチャな運転をしている黒い車が2台。サスペンションがオーバーワークしているよ。


「そうだね。私は左、理華は右をやって。」


「了解。能力者は居るの?」


「居ない。ただの無能力者達。」


「分かった、タイヤを狙う?」


この角度からだとタイヤは狙いづらい。正面からピッタリと詰めようとしているし運転手を狙うのがベターかな。


「運転手を狙うしかない。出来るだけ一般の車が居ないタイミングで撃つよ…カウント5..4…」


探求(リサーチ)】で辺りの車の位置を視認して撃つタイミングをカウントした。左手で銃を持ち右手でドアのロックを外すレバーに触れる。


「..2..1ッ!」

 

ドアを持ち上げるように思い切り開いたら外気の温かい空気が車内に潜り込んで来た。時速100km近く出ているから車の後ろに出来た空気の渦が風となり私達の方に向かって来る。


それでも私達は動じずに銃口を運転手に向けて引き金を引いた。こんな向かい風、生きていれば幾度も浴びる。私や理華がこんな事で動じるわけがない。そんなか弱い生き物ではないのだ私達は。


(当たれ!)


私が撃った銃弾は運転手の眉間に向かって撃ち出されたが、車のドアが開いたタイミングで相手の運転手が私から見て左方向にハンドルを切った事で軌道がズレる。だが私は予めこの銃自体にベルガー粒子を纏わせておいたので銃弾の軌道を左側に曲げて修正を施した。


私の撃った銃弾は眉間に吸い込まれる様に曲がって命中し運転手の命を狩り取った。その後、制御を失った車は歩道を乗り越えて横転し無力化に成功する。


そして理華の担当したもう一つの車の方は複数の銃弾がフロントガラスにヒビを入れてその結果、視界不良の車が反対車線に進入して行きトレーラーと正面衝突を起こして大破した。


(この車は防弾加工をしていないのか。)


速度を出す為に普通の車を先行させて来たのかな…もしくはやり合うつもりは無くて、見つからないように尾行していたのに私達が気付いたから無理やり追ってきた?


「理華…」


「なあ…あいの風、今の車に乗っていた人達…みんな死んだのかな。」


私はこの質問にどう答えようか迷った。【探求(リサーチ)】の射程距離内だっから彼等が即死した事は分かっている。でもこの内容をそのまま伝えるかは判断がつかない。理華からすると初めての殺人で処女を卒業したばかり…。


(半分は事故で死んだものだから理華が殺した訳じゃないとも言える…それにきっかけは私のコールだ。だから…)


「理華……」


「気遣いはいらない…あれで生きている方が不自然なのは分かっているから。」


そんな風に考えている内に理科は全てを察していた。即答出来なかった時点で肯定しているようなものなのに…私のバカ。


「…クソ。銃弾、5発で決める筈だったのに10発も撃ち込んでしまった…やっぱり実戦は違うな。」


マガジンを外して装弾数を確認した理華が感想を述べる。確かに実戦は違う。確実性を求めて多くのリソースを割いてしまうのは初めのうちは有りがちだ。


「すぐに自分の行動を見直して反省出来るのは脳がちゃんと動いている証だよ。まだ敵は残っているからその状態を維持していてね。最悪…今日1日ずっと。」


残酷だけど維持してくれないとこの先はどうなるか分からない。それに敵の正確な数はまだ分かっていない。


私が居た地点を通っている後続の2台を認識するのは容易い。ここら辺の道なら回り込もうが左右から挟んで来ようが私には丸わかりだ。


だから分かる。この先は渋滞になっておりこの大きな車ではもう追い越しながら走る事は出来ない。


「オリオンさん!この先の道が渋滞になってます!左に曲がって街中に入ったら車を降りませんか?」


私はオリオンさんにそう提案した。こっちは能力者4人だ。ノロノロ車で走るより自分達の足で走ったほうが逃げられる。


「そうだね…建物の中を移動しながら別の車に乗り換えて移動しよう。」


「組織の応援を待たないのですか?」


「組織も私達がアメリカに到着したのは知っているけど詳細な位置は分かっていないらしい。さっきオリオンさんが言っていたけど私達は隠密に日本を離れたから。」


ハーパーの質問に理華が答える。隠密だったかは分からないけどここら辺の後始末をしながらだとしたら今すぐには来れないだろう。2台の車が大破して7人の人間が死んでいるからね…難しいだろうな。


「私達は私達で何とかするしかないよ。目的地まであとどれくらいですか?」


「直線距離だと…30kmはあるね。完全に暗くなる前には着きたいから車は必須かな。」


フルマラソンの約7割の距離か…私と理華なら大丈夫そうだけどハーパーが絶望した顔になっている。暑い中で走っている自分を想像したかな?


「荷物はどうします?持っていきます?捨てていきます?」


「後で組織の者に回収させよう。鍵を閉めておけばこの車は金庫みたいなものだから盗まれる事なんて無いだろうし。」


良し、方針は決まった。アメリカの街中を観光しながら目的地に辿り着けばいい。何て簡単なミッションだ。HAHAHAHAHAHA!


「敵地のど真ん中で応援も期待出来ない状況、しかも私達はこの暑い中をマラソンしながらゴールを目指す。理華、ハーパー、楽しくなってきたね。」


「「Fuck」」


理華とハーパーからアメリカに来て1番の良い笑顔を頂いた。

最近、明るい感じで描かれている本編ですが例えるとジェットコースターの最初の上昇している地点です。つまり上昇していれば急降下します。


私はジェットコースターの下降している時が1番好きなんですよね(ニチャア)

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