衝撃のカーチェイス
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空港の出入り口前にオリオンさんが用意してくれた車は、途轍もなくゴツい見た目のTHE・アメリカみたいな車だった。多分要人などを護送するような車で【探求】で探ったら窓ガラスの厚みが5〜6センチもある。
これって移動の最中も危険って事なのかな?まあ敵地だしこのぐらいの対応は普通なのかもしれない。それにこれが組織の標準仕様なのかも。
「運転手は?」
車には誰も乗っていない。トイレに行ったのかな?
「ワタシがします。目的地もこの中でワタシしか知りませんから。」
「「「よろしくおねがいしまーす。」」」
私達はトランクに荷物を入れようとドアを開こうとしたらその重さにビックリした。
「重っ…。うんしょっと。」
長女じゃなかったら開けられなかったかもしれない。次女だったら開けられなかった。
そして後部座席の方に女性陣で座ろうとした時もそのドアの重さに悪態をつく。
「この車のドア私並みに重いやつだな。気に入ったよ全く…。」
「何を言っているんだお前…。」
そんなこんなで車に乗り込む事が出来た私達はオリオンさんの運転により空港を出発した。
「クーラーガンガンつけましょう。お外暑すぎ…。」
「空気がカラッとしてるから外でもそこまでキツく無いけど車内はサウナだね。」
「なんか…帰ってきたって感じます。」
それから暫くアメリカの景色を楽しみながらドライブを続けていた時、私はオリオンさんにある事を確認をする。
「オリオンさん、これから向かう所って私達だけで向かうんですか?」
「そうだね。ワタシ以外はそこの場所を知らされていないからだけど何か気になる事でも?」
「私達を護衛する人達って雇ってます?」
私の一言に車内の空気が引き締まる。理華もハーパーも辺りを気にして窓から外を覗く。
「…いや、これから向かうのはワタシ達だけだ。」
「ついて来ている車が数台居ます。」
オリオンさんがアクセルペダルを踏み抜き車は急加速する。
「キャッ!」
ハーパーさんが可愛い悲鳴を上げた。オリオンさんがアクセルを踏み込みその影響で私達は後ろの方にGで引かれたからだ。
「私が車の少ない道までナビします!理華!組織に連絡して応援を呼んで!ハーパーはこの付近の人達に能力を使って離れさせて!」
「分かった!」
「分かりました!」
私は後部座席から前の座席に移る。
「そのまま真っすぐでお願いします!あと銃ありますか?」
「ダッシュボードの中にあるよ…よっと!」
オリオンさんの運転技術は凄まじいものがあった。車と車の間を縫うように走り追跡して来ている車との距離が離れていく。
「…はい、そうです。敵の正体は分かりませんが最低でも……」「4台!」
「4台です。えっと、私達は今……」「海岸沿いに南下!」
「海岸沿いに南下中です!」
電話で組織と連絡を取っている理華に現状を教えながらダッシュボードから銃を取り出す。これは…リボルバー式か、かなり大きい。成人男性向けのカスタマイズを施されている。
「渋いですね。」
「オートマチックはいざという時に弾詰まりを起こしたりするから信用できない。リボルバーが1番だよ。……その銃撃てそうかい?反動が強いけど。」
「楽勝です。運転に集中していてください。後ろは私達で何とかするので。ハーパー!」
私は銃に弾を詰めながら話しかける。
「は、はい!」
「追って来てる奴らの精神に干渉して追跡を諦めさせる事って出来る?」
アイの提案はかなり無茶な要求だった。
「……無理です。明らかに私達に意識を向けている人間の精神を他に向けさせるのは出来ない。そこまで強く干渉出来ないの…ごめんなさい。」
「いや良いよ。もしかしたらと思って聞いただけだから。引き続き辺りの人間の意識を逸してくれる?」
「移動しながらだと範囲も人間も変わるから、かなり難しいのだけど…。」
私はハーパーの方に向き直り真摯にお願いする。
「やって、お願い。」
ハーパーはアイの真剣な表情を見て何の為にここに居るのかを思い出し自覚した。
(そうだ、何の為にここに居るんだ私は…アイに恩を返す為に来たんじゃないか!)
「…分かったわ。やってみる。」
「ありがとう。頼りになる。」
良し、これならハーパーの能力のおかげで少し派手にしても大丈夫そうだ。
「理華、殺れる?」
「…覚悟は出来てる。オリオンさん、私にも銃をください。」
「座席の下にケースがある、その中に入ってるよ。」
座席の下を探ると黒いケースが収納してあり、それを引っ張り出す。ケースを開けるとサブマシンガンと30発の銃弾が入ったマガジンが2つ収納されていた。
「サブマシンガンか…触るのは久しぶりだが、悪くない。」
「使えるの?」
「誰にものを言っている。私が能力に目覚めた時から銃火器の扱い方を仕込まれているんだ。最近やっと銃を触った奴に言われたくない。」
「実戦は初でしょ。一般人に当てないでよ。」
「お前こそ。」
理華も大丈夫そう。…やっぱり能力者だ。二人共意識の切り替えが自然に出来ている。だから私は心配しないで大丈夫だって言ったのに。
能力者は私が思うに進化した人類で全員超人の部類に入っていると思う。能力を使えば脳の開拓が進む、それは知能の向上に繋がり人間としての能力そのものが向上する事だと私は考えている。
事前の打ち合わせも無しにみんなそれぞれの出来る事を全力で行っているのはその行動自体が正解だと分かっているからだ。みんなちゃんと自分の役割を理解している。
(仲間って、良いね。)
「あいの風、車の特徴と相手の正体は分かるかい?」
「車は私達が乗っているこの車と良く似たのが2台、多分防弾製です。あとの2台はかなり速いですね…この2台が先行して私達から50メートルの位置まで来ています。もっと飛ばせません?」
「この車は普通の車より重いからこれ以上は出せないし曲がれなくなる。」
「分かりました。敵は武装していて銃を携帯していますが正体は分かりません。多分日本人では無いのでこの国の者か観光しに来た奴らでしょう。情報が漏れましたかね。」
「いや……それは考えにくい。ワタシ達の情報はかなり制限をかけて知っている者は限られている。君達が誰にも話していなければ漏れる可能性はかなり低い。…待ち伏せされたかな。」
「因みに空港で私達を見ていた人達が居たのですけど組織の関係者だと思ってその時は何も言わなかったんですけどもしかしたらそいつ等だったのかも。」
「何でその時に言わなかったのですか!」
「そうだぞ!その時に言ってくれればもっと早く対処出来たのに!」
後部座席から総ツッコミが入ったが私は2人に反論した。
「本当だったら昨日の内に詳細な予定を聞けた筈なのにどこかの誰かさん達がグロッキー状態になったせいでお開きになっちゃったから聞けなかったんですけど?情報が制限されているって知っていたらその場ですぐに分かったのにな〜。」
後部座席の2人は聞かなかった事にしてそれぞれの役割に準じていた。……この女共。
「今は追手の事に集中しよう。この車ではいずれ追いつかれる。」
オリオンさんの言い分は正しい…だからこの怒りは抑えつけて自分の役割に集中しよう。
「…分かりました。後ろの2台は私と理華でやります。理華!」
サブマシンガンにマガジンを装填しレバーを引いてすぐにでも撃てる状態にした理華はあいの風の方を向いて頷く。
「私は左方向、あいの風は右の方を頼む。」
理華が私をコードネームで呼んだという事はこの現状を任務として認識しているという事だ。頼もしいね。是非昨日の失態をここで挽回して欲しい。
「分かった。身体を出し過ぎないでね。オリオンさん窓って開けられます?」
「開けられないからバックドアから顔を覗くしか無いね。」
「実戦の先輩として見本を見せてくれあいの風。」
「後部座席に座っている理華の方が近いんだから開けてよ。」
まさかの窓が開けられない事実に私達は押し付け合いを始めた。だって下手すると車から落ちるし恐らく真っ先に死ぬ位置だから…。
また今週の土日辺りに2話投稿出来たらなと考えています。前日には前書きか後書きでお知らせしますので要チェックです。




