釣り合い
明日は頑張って2話投稿しようと思いますが予想以上にワクチン接種の後の体調がよろしくないので明日の状態を診てから執筆作業を考えたいと思います。なので最悪1話投稿だけかもしれません。
せ、先生か〜〜…。最近会ってないしお話も出来て無いんだよね…。蘇芳の事とかでちょっと気まずいというか嘘をつかないといけないから出来るだけこちらからは呼びかけたりしないようにしていた。
しかも対死神戦を想定して仲間を集めていたからめっちゃ罪悪感がある。
「は、初任務で、死神との共同作戦…。」
理華は飛行機酔いのせいか、天井を眺めて意気消沈のご様子。
「デスって確かさっき話に出てた能力者?」
ハーパーさんは死神の事を知らないのかな?それとも単語の意味が分からない?
「今回はあいの風のセンセイで彼女よりも強力な能力者がアメリカに来る。」
「what the fuck!?」
「hahaha!《笑》」
「笑ってる場合じゃないですよ!」
朗らかに会話していたからついツッコんでしまった。ハーパーも先生の事を良く知っていたみたいだけど先生はヤベーよ?底が知れないし確実に私より強いからね。アメリカで核爆発したらごめんね。
「作戦の大まかな内容は以上、かな。…うん、詳細な作戦内容とスケジュールの話は明日にしようか。」
意気消沈している理華とパニック状態のハーパーさんを見たオリオンさんが気を利かせて話を終えた。どうもすみません、まだこいつらは素人みたいな者なので。
「じゃあこの辺で解散しますか…明日、ていうか着く頃には降りられる準備をしておけば良いですよね?」
「9時間後に朝食が用意されるからその時に集まってくれると嬉しいかな。」
用意してくれるって事はキャビンアテンダントさんがやってくれるって事だよね?
この飛行機にはパイロットの男が2人にキャビンアテンダントらしき女性が1人、それに私達4人の合計6人。
機首の方にパイロットとキャビンアテンダントが詰めていて私達はその後ろの方に居る。奥の方に行けば寝室らしき部屋とシャワールームがあるから今日はあそこ辺りで寝泊まりすれば良いよね。
専用ジェット機って言っても普通の旅客機ぐらい大きい。私は立ちながら機内を移動出来るしもしかしたらこのぐらい大きくないと燃料タンクの関係でアメリカまで飛んでいけないのかも。
「分かりました。私達は奥の部屋使っても良いんですよね?部屋割はどうします?」
「部屋は人数分あるから好きに使うと良いよ。ワタシはパイロット達と話があるから余った部屋を使わせて貰うから。」
オリオンさんはそう言って機首の方に向かい残ったのは私達は3人。一人は虚無顔で一人はソファーに顔を埋めて寝ている…フリをしている。私は意識があるか無いかまで分かるから。
私は立ち上がってまずは理華に話しかける。
「いい加減覚悟を決めろ。やるしか無いんだよ私達は。」
「…あいの風。お前って本当に凄いな。」
ソファーに首を預けながら喋ってるから声が間延びしていていつものハキハキさが感じられない。
「褒めるな褒めるな。早く部屋に行こう。そしてシャワー浴びて今日は寝な。」
「みんなお前を凄いって言っていた理由が分かった。能力とか結果とかじゃなかった…精神というか心構えが出来ているのが凄いんだ。」
「理華は出来ていないの?」
「出来ているように見える?……はぁー…美世ってアマゾンの奥地に1人だけ置き去りにされても生きていけそうだよね。」
「いや、無理。スマホ無いと生きていけない。」
ログインボーナスを受け取ることで私の1日は始まると言って過言ではない。
「ほら、そういう所。緊張とかしないの?死ぬかもしれないし誰かを、失うかもしれないのに。」
「う〜ん…あんまり、かな?そこそこの修羅場切り抜けてきたし割と平気。」
「…経験積んでも精神が参って引退する処理課も多いんだよ。能力は脳で操作するから精神をやられると能力が上手く使えなくなる。だから戦っている最中に心が折れたら…それは死を意味していて、もし自分がそうなったらって考えたら怖くなってちゃって。」
私は理華が座っているソファーの隣に座る。理華は多分期待に応えないといけないと思い込んで失敗出来ないと自身を追い詰めて苦しんでる。
「私が居るから大丈夫。こう見えて一回も任務失敗した事無いんだから。しかも今回は理華が居る。心強いよ。」
「本当に?」
「私がお世辞言うタイプに見える?」
「いや絶対に言わないだろう美世は。」
即答とか…分かってんじゃん。
「そのぐらいの気持ちを持てれば大丈夫だよ。理華なら背中を任せられる。」
彼女の実力は良く知っている。今回の任務は私一人では物理的に手が足りないと思う。カバーしないといけない範囲が広すぎる。
「…そこまで信頼してくれるならこの前何があったか話してよ。」
ぐぅッ!?この前って…天狼さんとの模擬戦だよね。
「えっと…、天狼さんから何か聞いてる?」
「何も…。あの人は人の能力の事を話したりしないから。」
「じゃあ何が聞きたいの?」
「能力…それに天狼さんと何をしようとしているか。…話したくないなら話さなくてもいい。でも、話してくれないなら美世の事を私は信頼しきれない。」
その言い方はズルいよ理華。
私は今回の任務の重要性と今後の理華との関係性を考えて部屋へ招く事にした。
(理華、この後私の部屋に来て。)
「え?」
「ハーパー起きてー。部屋割決めちゃうよ。」
私達はハーパーを連れて各一人ずつに部屋を割り振ってから順番にシャワーを浴びてその日は解散した。その頃には時刻が23時を過ぎて機内の明かりも消灯し私達3人は自分の部屋で睡眠を取る為にベットについた。
私と理華以外はね。コンコンとドアが叩かれたので尋ね人を招く。
「どうぞ。」
ドアをノックして入ってきたのはシャワーを浴びた為に髪がしっとりとした理華だ。同い年の女の子のお風呂上がりの姿に少しだけドキリとしたのはここだけの話。
「お邪魔します…。」
「隣、おいで。」
ベットに座っていた私は自分の隣をぽんぽんと叩いて理華を呼ぶ。
私は裸足で寛いでいたけど理華は靴を履いている。機内だし部屋に入るところも靴を脱ぐような造りでは無かったから裸足では気持ち的に歩きづらいよね。
「じゃあ、お邪魔します。」
理華の寝間着はルームウェアで動きやすく過ごしやすい格好でとても彼女に合っていた。
「まず…能力の事を話す前にさ、あの時言った通り死神にマークされる可能性があるけど良い?」
一応確認はしておかないと彼女をただ危険な目に合わせるだけになる。
「あの時言ったよね私。自己責任だって。だから話してくれるのなら聞かせて欲しい。」
彼女がそう望むなら応えてあげるのが誠意というものだろう。だけど…。
「理華…。恨まないでね?」
「めっちゃくちゃ恨む。それにあんなの見せられた後に誰も何も話してくれなくて任務に集中出来るかっ!ずっとモヤモヤした気持ちがあって気持ち悪いから早く話して!」
私は覚悟を決めて【探求】で辺りを探る。監視カメラ、盗聴器、ベルガー粒子を探したがそれらしき物は見当たらなかった。だから、本当にここだけの話だ。
「私、能力が2つあるって言ったじゃん?」
「うん。探知と異形でしょ?あの動きが異形なの?」
「えっとね、実はもう一つ…能力があるの。ゴフッ。」
私は申し訳無さそうに理華にあの動きの秘密を明かしたら理華から脇腹に肘を決められた。痛っ!?
「なんで殴るの!?」
「全世界の能力者に謝れッ!1つの能力を極めようと頑張っている能力者達に謝れッ!つまり私にだッ!」
こうして私達2人によるパジャマパーティーのゴングが鳴らされた。
「何が始まるんです?」
「大惨事大戦だ。」
というルートがあるかもしれません。




