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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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ガイド役

フルメンバーが揃いました。一狩り行こうぜ!

搭乗口を抜けた私達3人は飛行機に乗る為に滑走路の端に居た。しかしそんな人は私達だけでかなりアウェー感がある。


「ねえ私が無知なのか分からないんだけど飛行機を乗る為に滑走路にまで降りるものなの?」


「普通の飛行機なら降りない。私達が乗るのはアレ。」


理華が指を指した先には小型のジェット機が停まっていた。


「まさか…プライベートジェット機ですか?」


「そうだよ。だから手荷物検査を通さずに来られたの。」


「これ〜私達の為に…ですよね?」


確かにハーパーの言う通りだ。私達の為にジェット機を用意してくれたって事だろう。


「期待されているって事か。」


「理華…。」


さっきは大分緊張感が取れていつも通りの理華だったけど実際に目の当たりした影響か、少しだけ表情が固く見える。


「行こう。待たせておくのも悪いし。」


「あ、ああ。」


キャリーケースを引っ張りながら先頭を歩き飛行機に向かう。


「ハーパーも久々の帰国でしょ?早く乗ろうよ。」


「帰国…両親…うっ、頭が…。」


こっちはこっちでまた面倒くさそうな感じ、本当に大丈夫なのだろうかこのメンバーは…。


(ここは私が上手く舵を取らないとヤバいかもね。)


チームで動くなら必ずリーダーが必要だ。指示を出して周りを見渡せる人が。私は指示を上手く出せる自信は無いけど周りを見渡せる事だけは人より上手い自信がある。


探求(リサーチ)】を使えば周辺の情報をかき集められるし私は客観的に物事を見れる。


もしかしたら今回の仕事、私のそういう適正も見られているのかもしれない。一人でも任務を遂行出来ることは分かっている私を他の能力者と組ませてみてどう動くか、問題なく任務を遂行出来るか…今回の任務、試しているって印象を受ける。


(ん?このフォルム…特徴的な髪の色、まさか。)


能力で機内を探っていたら見覚えのある人を見つける。


「なるほどね…そういう事か。」


「アイ、どうしたんですか?」


「いや、狙いがなんとなく分かってきたからさ。」


ハーパーは私の回答にはてなマークを浮かべて頭を傾ける。ハーパーさんのこういう仕草可愛いね。


「理華、今回の任務。私にとっても試験のようだから協力し合おうね。」


「…どういう事だ?」


「協調性とか人と組んで任務遂行出来るかとか……そういうのを見る為の試験って事。私にとってはね。」


「“上の人達”が考えそうなストーリー…メインはあいの風って訳か。」


「ゴメン、そういうつもりで言ったわけじゃ……。」


「気にしないで。肩の荷が下りた気分だから。」


今の理華の顔を見るのが怖くて私は前だけを見て歩く。理華の言葉を疑うわけじゃ無いけど、もし私を気遣って言ったのなら……なんか、かなり嫌だ。


美世達が飛行機の近くまで来ると飛行機の昇降口から人が降りてくる。


「お久しぶりです。オリオンさん。」


「久しぶりだね。ミヨ。」


恐らく最後の同行者であるオリオンさん。この人がここにいる理由は恐らく…。


その後、軽い自己紹介をし合ってから飛行機に乗り込み私と理華とハーパーの3人は感嘆の声を上げた。


「うわあ〜実際に見るとすっごい。これ乗って大丈夫だよね?良いよね!?プライベートジェット機最高ッ!」


「え!?高級ホテルの室内みたいじゃない!」


「写真!写真撮ろうよ!シェアしてみんなの思い出を残しましょう!」


私達が乗った飛行機は超高級のプライベートジェット機で内装がすっごく豪華なものだった。床面がカーペットに覆われている所と大理石で出来ている部分があり、とても機械の中とは思えない様相で座る所は椅子ではなく全てソファーになっている。テーブルもガラスで出来ているし凄くお金がかかっている事が分かるジェット機だ。


奥には個室の部屋がいくつかあり寝室、お風呂、トイレともうここで住めるんじゃないかって思えるレベル。


「好きな所に座っていいからね。」


私達を乗せたジェット機はオリオンさんの合図でフライトした。今の時刻は夜の21時、目的地であるアメリカまでは約10時間かかる予定である。えっと日本はアメリカよりも13時間早いから到着すると土曜日の夕方6時に到着するのかな。知らんけど。向こうでは最長7日間滞在するスケジュールだ。


「さて、まずはどうだい?組織でも1番良いジェット機を用意してもらったんだけど。」


「オリオンさん、控えめに言って最高です。ありがとうございます!」


「今日の日の事、私忘れません!」


「不法入国を繰り返していた時とは大違い〜うぅ〜…もっと早くアイと出逢いたかったです。」


ちょいちょい重たい過去が見え隠れするハーパーを無視してオリオンさんの話を聞く。


「礼は不要だよ。君たちを目的地まで快適にガイドして現地の情報を調べ共有する。これが今回のワタシの仕事だからね。」


「それにプラスして試験官もやっているんですよね?」


私はオリオンさんがこの任務に派遣された試験官だと睨んでいる。


「流石は“あいの風”と言ったところかな。正解だよ。君達3人のサポートと試験官も今回の業務に入っているよ。」


「ハーパーも?」


オリオンさんの言葉を聞いて私達はハーパーの方を見たら一人だけ話が分かっていない顔をしていた。


まだ日本語の聞き取りが苦手なんだね。


「彼女の場合は性格面でこの仕事に適正を見る形だから知らなくても問題ないよ。」


確かに能力面では問題ないけど彼女の場合、性格と人格の面で難がありそう。ミューファミウムで仕事をしていたとはいえただの一般人だった彼女では人の生死に関わるこの仕事はヘビーだろう。


「私の方からも良いですか?」


「もちろん。」


理華がオリオンさんに質問を投げ掛けた。


「何で今回は飛行機での移動なんですか?アメリカにも組織の拠点があってワープして行けますよね?」


あ、そっか。理華の言う通りアメリカにも転移扉があるはず。世界中に拠点を構える“組織”ならわざわざ時間とお金のかかる飛行機での移動は使わなくてもいいんじゃ…。


「その質問の答えは2つ。1つは君達学生の貴重なナツヤスミを使わせて貰うからね。旅行気分を味わってもらおうというワタシなりの配慮ってやつさ。」


「え、えっとそれはどうも、ありがとうございます…?」


予想外の答えにしどろもどろで返答する理華。本当にこの組織ってやらせる内容はブラックなのに対応はホワイトだからすっごくアンバランスなんだよね。


「で、2つ目はワープを使えないからだね。」


「「え?」」


私と理華の声が被る。だってマンションから空港までワープして来たし理華も京都から空港までワープして来たはずだ。


「それで何でワープを使えないかなんだけど、君達3人のベルガー粒子が多過ぎてワープさせるのが大変だからだよ。それにワタシもだね。」


確か…テレポート能力も能力者をワープさせるのが1番大変だった筈…。


「それって何か関係あるんですか?」


「「え?」」


今度は理華とオリオンさんの声が被る。あれ?私変な事を言ったのかな?


「…確認なんだけど、どうやって組織間のワープが出来ていると思っているの?」


「…そういえば考えた事無かったけど、まさか()()?」


「知らなかったの!?能力以外でワープ出来るわけ無いでしょ!」


理華に信じられないものを見る目で見られた。


「だって私この組織に入ってまだ数ヶ月だよ!?能力者の存在もここ最近知ったばかりだからまだ常識が一般常識の範疇にあるの!」


「常識外に居る奴が何を言う!何で疑問を持たずにあの扉を通れるんの!?私が最初通る時はおっかなびっくりだったから!」


うぅ、確かに何も知らずあの扉使っていた事を考えると結構私って図太い神経の持ち主かも。


「二人は仲が良いんだね。」


オリオンさんはちょっと天然っぽい感想を言いながら私達を優しい眼差しで見守っていた。


「…人力って事は世界中にテレポーターを配置してるって事ですよね?良く分からないですけど相当な人数必要ですよね?」


「“組織”に所属している能力者の数が他の勢力、つまり敵対組織と比較しても1番多いんだ。特にテレポーターの人数が群を抜いて多い。」


理華が私の疑問に答えてくれて、そしてそこにオリオンさんの補足が入った。


「この“組織”が1番大きな組織って言われている理由でもあるね。この組織の創始者一族は皆テレポーターの能力を持って生まれてくるんだ。この組織がここまで大きくなれたのは創始者一族の尽力あってのものだからね。」


受け継がれる能力か…この補足に対して理華が少しだけ反応したのを私は見逃さなかった。

明日から頑張って執筆したいんですけど明日はワクチン接種があるのでちょっと…読めないですね。でも毎日投稿は続けたいと考えています。

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