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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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海外へ進出する猟犬

海外編突入です。


この海外編では新たな仲間を引き連れて美世達が世界を飛び回るお話です。お楽しみに!

夏休み前日の日、つまりは終業式の日に私はマンションから羽田空港まで転移扉を使ってワープした。流石は国が認定した組織、まさか羽田空港にまで繋がっているとは。


私は必要最低限の荷物が入ったキャリーケースを持って合流場所のターミナルまで歩いて向かう。今回の仕事では私一人ではなく複数の人員で当たる事になっている。今まで大体一人でこなしてきたからちょっと不安だけど、これが普通のスタイルだとか。


特定課も処理課も基本的にチームで仕事をするらしく私が今まで一人で行っていたのはイレギュラーな扱いだったとこの前知った。


私としては一人の方が能力を見られる心配が無くて伸びのび出来るんだけどな…。


そんな事を考えながら私は待ち合わせ場所に向かいエージェント達と合流した。だけど、まさかのメンバーだった。


「遅いぞ。」


「アイ!やっと会えたね!」


「…何でここに居るの理華が…それに?」


…名前何だっけ?待ち合わせ場所に居たのは理華と前に助けた結界能力者の女性だった。私は人の名前を覚えるのが苦手だから一回顔を合わせただけの人の名前なんて覚えている訳がない。これまで人と関わりを持ってこなかった弊害だと思うけど…思い出せないな。


「えっと…バーバー?」


「ハーパー!今回同行するなったハーパー!前に助けられたハーパー!」


あ、ハーパーか。そうだそうだそんな名前だったね。それにハーパー今、日本語で喋ったね。  


「オッケー。ハーパー覚えた。何故ここに居る?」


「アイの助けなる、為。お願いしてもらった。」


日本人の私が英語で話しかけアメリカ人のハーパーが日本語で話しかけるという奇妙な図がそこにはあった。


「あいの風が英語話せるなら英語で統一したら?まだハーパーさん日本語慣れていないし。」


そうだ!理華も何でここに居るの?まさか偶然って訳じゃないよね…。


「それより理華、何でここに居るの?」


「今回の仕事は私の初仕事でもあるんだ。この任務を成功させれば処理課に所属出来る。つまり試験のようなものだな。」


「え?そんな試験あるの?面接じゃなくて?」


「面接で入れる奴なんてお前ぐらいのものだ!普通は適正があるか現場での結果で判断するんだこの才能馬鹿!」


最後ただの嫉妬と悪口だったけど、今の私はそういう事に反応出来るほど冷静ではない。


(それにしてもなんだこのメンバーは…。)


全員知り合いだし事前情報では彼女達の事は知らされていなかった。記入漏れだよ記入漏れ!


「なるほど…まあ事情は分かったよ。ハーパーも同じ?」


「私はもうガッチリ組織に掴まれているから!今回はアイへの借りを返す為に来たって訳。」


「借りって…そんな気にしないで良いのに。」


なんせ一回殺しちゃった相手だしね。あの時生き返らせたのはその能力が貴重だっただけで珍しくもない能力なら見殺しにしていたかもしれない。例え一般人であってもだ。


「あ、理華とハーパーって初対面だよね?」


これから一緒に仕事をする仲間として自己紹介は必須。私は二人共知り合いだからここは私が先導して…


「いや顔を合わせるのはこれで2回目。」


「2回目ですね。」


「へ?」


どういう繋がりがあってこの2人は出会ったの!?


「この中で私が1番新参者というかまだ正式な組織員では無いからこちらから挨拶をしに行ったんだ。」


「…理華は誰と組むか知っていたの?」


「天狼さんを通じてね。ハーパーさんと会ったのも天狼さんに連れてもらったの。」


何それ羨ましいよ。天狼さんやっぱり優しいよね。理華の初仕事と聞いて色々と動いていたんだろうな。


「良かったね。天狼さんも理華の事を期待しているんだよ。」


「うん…だから失敗出来ない。」


いつもの理華って感じがしないな。いつもはやる気!元気!根性!みたいな熱意を感じるけど今は緊張?…しているのかな。全体的にぎこちない。


それに私もちょっと気まずい。だって最後に会ったのはあの道場での一件以来であの後は連絡を取り合っていないから。


でも、今はそんな事言ってられない。理華が今回の仕事にかけている思いは分かっているつもりだから、私は出来るだけ理華のサポートをしてこの任務に集中させてあげないと。


「現場だと私が先輩だからさ、私が理華をサポートするから気負いすぎないでよ。一緒にこの仕事をやり遂げてさ、これからも一緒に仕事しようよ理華。」


「あいの風…。ふんっ。先輩風吹かせてサポートするからだと?私がサポートしてやるんだ。ありがたく思え。」


この(アマ)下手(したて)に出れば調子に乗りやがって…!


でも肩の力が抜けたようでいつもの理華っぽさが戻ってきた。…やっと調子出てきたじゃんか。


「うんありがとう。頼りにしてるよ理華。」


「お、お前…!」


理華の恥ずかしがる姿を見れて私は大満足だ。私の最近のマイブームである女の子を真っ赤にさせる事だけど、これがとても良い。これからも色んな女の子を真っ赤にさせよう。


「私も頼って欲しいですー!」


「もちろんハーパーも頼りにしてるよ。ハーパーの能力の凄さは身に沁みてるから。」


「はい!」


年上の女性に頼りにしてと言われるのはこう…来るものがあるね。


でもハーパーは騙されて無理矢理この東京につれてこられて更に私に騙されてここに居る事を考えると…頼りっきりになるのはちょっと抵抗がある。良い大学に行っている筈だから頭は悪くないと思うんだけどさ、人を知らなすぎる。もっと疑って生きていかないと長生き出来ないよ、特にこの業界ではさ。


「あいの風とハーパーさんって一応知り合いなんでしょ?助けられたって聞いたけど。」


「あーこれから殴り込みに行くとこあるじゃん?そこの兵士達と一緒に居るところを見つけて一般人っぽかったから保護したの。だからまさかここで会えるなんてビックリだよ。」


「アイに助けてもらえなかったら私…今考えただけでも鳥肌が立ちます。」


「…ユアウェルカム。」


もうそのネタを擦らないでほしい。私の良心がズキンズキンと痛む。


「立ち話もなんだし飛行機に乗り込もう。もう乗れるはずだ。」


理華の提案に乗った私達はターミナルから出発ロビー内にある自動チェックイン機を通して航空券を取…らずにそのまま搭乗口に向かう。


「ねぇねぇ。手荷物チェックとかやらないの?どの飛行機に乗るか分からないんだけど!」


「ここは組織専用の搭乗口があるから組織の人間である事を証明すれば問題ない。」


お国認定の組織は予想以上だった。ここまでワープ出来るだけでも凄かったけどまさかのVIP待遇。


「うぅ…半分不法入国したから不安です。パスポート偽物だったから私、捕まりませんか?」


「多分握り潰してくれたから大丈夫。」


組織はそういう所だ。慣れるんだハーパー。


「あ、あそこだね。」


組織の人が良く付けている時計とブレスレットを付けた男女が立っている搭乗口らしき場所を見つけた私達は近付き話しかけてみた。


「あのー…」


「“あいの風”様でいらっしゃいますね?お噂はかねてより聞いております。ささ、どうぞお進み下さいませ。」


「…顔パスとは、お前有名人だな。」


「アイ凄い!」


初対面の人からこんな丁寧な対応されるの凄く居心地が宜しくないんですけど!


「あ、ありがとうございます。お仕事ご苦労さまです。」


「「お気を付けて!」」


理華の前でこれは恥ずかしがる!早くここを抜けよう!


「行くよ2人共。」


あいの風達3人の後ろ姿を見届けた2人は感嘆の思いを抱いていた。


「あれがあの死神の猟犬(デス・ハウンド)なんですね…今まで色んな能力者達を見てきましたけど、別格でしたね。」


「ああ、処理課の人達も見ただけでこの人達は普通とは違うって思ったけどさ。彼女は他の能力者とはオーラが違うな。」


「「握手してもらえば良かった…。」」


あいの風の名前の知名度は組織内でも広がっており最早知らぬ者は居ないレベルであった。しかもその容姿、仕事の成績、ソプリ内でのバズりが彼女の人気に拍車をかけていた。


その結果、彼女の信者が激増している状態になっておりその事を知らないのは組織内で美世自身だけであった。

※美世の情報を拡散させたのは和裁士さん達です。しかも善意で布教しているから質が悪いです。

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