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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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戦況より好奇心

昨日は初めて1日でPV数が800超えました。ありがとうございます。


これからも余裕がある時は1日2話投稿出来たらなと考えているので土日は要チェックです。

木が折れる音を道場内に鳴り響き、天狼は木壁から抜け出して自身のダメージを確認した。


(両腕が痺れているが…骨には異常はない。肋骨も背骨も大丈夫、後頭部はかなり痛い…けど大丈夫。)


あいの風の攻撃…あの速さは初めて見た。やはり実力を隠していたな…


「ふふふ、くっふふ…面白い!」


あの速さは探知能力者では決して出せない速度だった。()()()()()()()()()()()()()!素晴らしい才能!素晴らしい殺気!


あいの風は本当に私を殺すつもりで攻撃を行なった。歓迎会の時と同じ…いや、それ以上の殺気も放っている。本気だ、手を抜けば本当に殺されてしまうかもしれない。


「ねえ…もう次の攻撃に移ってもいい?」


あいの風が構えたままクソ生意気な事を言ってきた。…面白い、私好みだ。


「ああ、どこからでも来い。」


私も構える。流道の型の1つである静道の構え。この構えは受けの型で素早く力のある相手に良く使用される構え方。


足はどの方向からの攻撃にも反応出来るように脱力しリラックス状態に構えるが体幹はしっかりと固定する。両手は利き腕を前に逆の腕は掌を上にして腹の辺りに固定し、まるで空手の突きのような構え方だがこの構え方こそ受け身の姿勢。


まさか私がこの構えを実戦で使用する事になるとは…


「それはもう見たよ。」


あいの風が再び凄まじい速度で間合いを詰めてきた…反応は出来るっ!


…と、私は構えていたがあいの風が予想外の攻め方で崩してきた。


(何!?)


あいの風が姿勢を極端に低くしスライディングの要領で両手を床に着けてその場で足払いを払った。私はすぐに反応して空中へジャンプし回避行動を行なう。


(なるほど背丈のある私を下から崩しに来たか。)


恐らく構えた私を見て攻め方を変えたのだろう。身長差と体格差はどうしても不利有利に直結する。そこを敢えて小回りの効く体格を活かした足元への攻撃…私の構えを見て一瞬で思い付くとはパワーやスピードだけではなく彼女の戦闘センスもずば抜けている。


逸材という言葉が頭に浮かぶ。間違いなくトップレベルの能力者。やはり私の目に狂いは無かった。


しかしそれだけで崩されるほど私は安い女ではない。


あいの風はスライディングの慣性でこのまま私と上下ですれ違いそのまま距離が空いていって、また仕切り直しになるだろう。問題はそこから…っ!?


天狼の読みは甘かった。本気を出した伊藤美世という生き物は初見で読み切れるような生易しい生物ではない。特に死神の能力を行使する美世はあの死神ですら驚愕する程のブッ飛んだ思考の持ち主なのだから。


(この慣性の方向、つまり軌道を捻じ曲げる!)


美世の身体は不自然過ぎる程に方向転換し天狼に向かって宙に飛んだ。それを外から見た理華の頭の中がバグったのかと錯覚する程の不可解さだった。


「えっ!?何で!?」


あのままお互い通り過ぎると思った。いや通り過ぎる筈だ。あの速度のスライディングから何でほぼ真反対に居る天狼さんに向かって飛んだの!?ありえない!


そしてその疑問を天狼も感じた。ありえないと。


…今の動きは能力特有の物理法則を無視した軌道だ。あいの風は能力を使って加速し急速的な方向転換を行なった…間違いない!これで確信した!


…あいつは最低でも2つの能力を持った能力者だ!


天狼はあいの風の分析を行ないながら彼女の攻撃に対して防御する為に空中で方向転換を行なった。天狼からすると背後の斜め下方向から攻撃が放たれる事になる。とてもでは無いがまともにガードする事も出来ない。


異形能力者特有の筋力と彼女自身の運動神経の良さから空中で重心位置を変え身体を捻り正面からあいの風の攻撃を防ぐ準備を終える。


(まともに受ければまた吹き飛ばされるッ!)


斜め下方向から来るあいの風の蹴り上げをいなす為に右手を横から添えるように動かしあいの風の足を側面から押し出してみた…が、全く軌道をずらす事が出来ない。彼女の足はまるで固定されているかのようにモーションを繰り出している。


(空中に居るのに何で動かないんだ!?)


地に足が着いている訳でも無いのに彼女の身体は全く動かせない。体重では私の方が重いのにまるで私より数百倍も重い物体の軌道をずらそうとしたような感触。逆に右手を押し出した反動で私の身体の方が逸れていく有様…。


しかもそれより早くあいの風の蹴り上げが私の胴体に接触する…!私は咄嗟に左手を胴体の前に出して防御を行なったが…ぐっ!左手をクッションのように使ったが何も意味をなさないか。


「うぐぅッ…。」


私の身体はサッカーボールを蹴り上げたように天井に向かって飛んだ。筋肉や血液、骨などが詰まった80kgの質量を持つ生き物が、空気が入って飛ぶように設計されたボールと同じように飛んだというのは例として適していないかもしれない。だがそれ程までに私の身体は簡単に蹴り上げられたのだ。


私はそのまま天井に叩きつけられた後にリバウンドして地面に叩き付けられる。天井に叩きつけられた際に天井の内側が半壊し床は大きく凹んだ。


1日に2度も吹き飛ばされたのは生まれて初めての経験で痛みより先に好奇心が湧いてくる。


(…面白い、面白いっ!あいつの能力が一体何かが気になるッ!)


「ぐぐぐっ…。」


立ち上がれたが今のダメージは…左腕の骨にひびが入ったな。それに内蔵にも軽くダメージ、背中とお腹辺りが内出血して(あざ)が出来たな。


だが、まだ戦える。…止めるわけにはいかない。


「まだ立ち上がるの?…流石は異形型最強の能力者。」


私の軌道を確定させた攻撃を2回食らってもすぐに立ち上がるとか信じられない。この前の戦い、POISONの能力者の中に全身を岩のように変化させる異形能力者が居た。私はその時、蹴りを放って一撃で意識を失わせたが天狼はそいつより頑丈という事か?


「あいの風。お前…探知能力以外にも持っているな?」


ちっ、もうバレたか。ちょっとあからさまに使い過ぎたかな。でも手加減して勝てるような相手でも無いし、まだどういう能力かは分かっていない筈。ここはとぼけて(しら)を切ろう。


「はて?何のことやら。」


「能力は色々と候補があるが…あの動きは能力無しではありえない軌道だった。」


あの一瞬の攻防でそこまで見てるとは…目も良いしとても冷静だ。


「天狼さんこそ異形能力者とはいえありえない頑丈さですよ。なんの系統なんですか?」


「知りたいか?心配するなすぐに見せてやる。その前にお前の能力だ。サイコキネシスか?」


息切れすらしてない…ダメージが入っていない?そんな馬鹿な。彼女はドラゴンボー○の世界の住人か?


もしかして…そういう能力?自己再生…?いや、それだとこの前の説明が出来ない。天狼は私の腕のコントロールを奪った。他者に作用出来る能力の筈。先ずは天狼の能力をある程度絞らなければ。

取り敢えず両者の能力を簡単に書き出そうと思います。



伊藤美世(あいの風)


能力

1.非接触型探知系能力【探求】:効果範囲内の空間を認識する事が出来る。認識出来る情報はベルガー粒子、軌道、光情報、etc…と多岐にわたる。


2.異形型???系能力???:スピードが他の能力者に比べて速くパワーも体格にしては高め。それ以外は不明。


3.時間操作型因果律系能力【再現】:他にも色々とあるが基本的に軌道を創り出し操作する事が可能。削除したりループしたり逆行させることで因果をも操作する事が出来る。



???(天狼)


能力

1.異形型???系能力???:まだ本編には明かされていないが異形型最強能力者と言われている。分かっているのは美世ですら認識が難しいレベルの素早さで床面が黒く焦げていた。そして相手の腕のコントロールを奪える。

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