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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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勉強

今日の夜にまた投稿したいと思います。

「ここ最近あいの風さん良く来ますよね…。」


「うん。それに理華さんも良く付き合って稽古してるし、良いな…。」


「でも僕達じゃあ…あれには混ざれないかな。」


「んっ。」


年下組の4人の諸橋、杏、角栄、京姫(みやび)が二人の模擬戦を観戦していた。


ここ数日でもう当たり前になっている光景、放課後にあいの風が理華と模擬戦をひたすら続けている。


「くたばれあいの風ッ!」


「フッ…ハッ!」


戦闘中は口が悪くなる理華と無口になるあいの風の両極端の二人が高速で技を繰り出しては避け続けている。


異形能力者であるあいの風のスピードとパワーに対して理華は長年の経験とテクニックで上手く切り返していた。


この均衡を崩そうとあいの風がゴリ押しの攻めを見せて理華はカウンターを淡々と狙った受け身の体勢に入る。このやり取りがここ数日続いているが勝率は今の所あいの風が全勝している。


(ケリをつけるッ!)


あいの風の蹴りが理華の肋骨の中心に入る。


「ガハッ!」


蹴られた理華の身体は後方に5m程度吹き飛んで背中から着地して更に数メートル床面を滑ってから静止、かなり良いものをもらってしまった理華は中々起き上がれずに呼吸をしようと上体を起こす。


「ゴホッゴホッ!…女の、胸を蹴る奴が居るかよ…。」


「手加減出来る相手じゃない…ん。」


私は理華に手を差し伸ばし立たせてあげた。何とか今回も勝てたけど少しずつ彼女が私の動きに対応してきている。次は危ないかもしれない。


「ケホケホッ…今の攻め過ぎ。強者相手には通じない。」


「理華は待ち過ぎ。自分からチャンスを潰しているしチャンス待ちしてる立ち回りは格上には通じない。」


「あ、また始まった。」


「戦い終わった後はいつも言い合ってるよね。」


これもいつもの光景、戦い合った後にお互いの駄目な点を出し合って意見交換を行う。


「自分より力も速さも上の能力者に攻めろって言うの?」


「違う!待ち過ぎるなって言ってるの!能力者同士で受け身に徹するのは危険なの!理華は能力を防げる手段あんの!?」


「…無いけど。」


「だったら攻めなきゃでしょ!?守ってても勝てないの!理華は負けない立ち回りをしてるだけで勝つ立ち回りをしていない!有効打を与えないと絶対に勝てない!」


「うぐぐ…」


理華の悔しそうな表情を見た年下組はある懸念を感じた。


「あーあれ泣くな…」


理華は昔から良く悔し泣きをする事を知っている面々はこの後の展開を容易に想像する事が出来た。


「あいの風だって少しはリスクを考えて動きなさいよ!そんな戦い方私にしか通じないから!」


「うぐぐ…。」


「焦りが立ち回りに出てんのよ!もっと何かあるでしょ!?」


「何かって何!?具体的に言ってよ!」


「だからっ!…あいの風は素早く回避出来るんだからカウンター狙ってもいいし相手の動き読めるんでしょ?だから私みたいに受け身の姿勢でも格上に通じる。」


「…うん、そうする。…理華は技術があるからもうちょっと好きに動いて良いよ。攻めの型とかもっと見たい。」


「分かった。次からは攻めの型多めに使ってみる。」


これも良く光景の1つ、お互いにアドバイスを行ないそれを立ち回りに組み込んでまた模擬戦を行なう。そしてまたアドバイスを行ない…以下それをループする。


「今日はもう帰る。もう夜の9時だし付き合わせて悪かった。」


「良い。私の為にもなってるし結構楽しい。明日も来るんでしょ?明日天狼さん来てくれるって。」


「じゃあ理華はお役御免だね。」


「言ってろ馬鹿。」


フフッと笑い合い道場を後にするあいの風に年下組が挨拶をしてその日の稽古は終了した。


そして日は変わり美世は再び放課後に京都の道場にまた訪れていた。今日は天狼から色々と教えてもらいあわよくば対蘇芳チームに勧誘する為に来たのだが、勧誘はそこまで優先的には考えていない。先ずは自身の能力を向上させる事が最優先。


「お邪魔します。」


「来たな。」


今日の天狼さんは道着を身に着けてやる気満々の様子。これはかなり期待出来る。


「あいの風、今日は…死ぬかもしれない。」


顔を真っ青にした理華が忠告して来たけど…天狼さんの稽古ってそんなにヤバいの?


(天狼さんってそんなにスパルタなの?)


(嫌、凄く丁寧に教えてくれるんだけど今日は本人が模擬戦するつもりなの!)


理華と小声で話し情報共有を図ったがとんでも情報が入ってきた。異形能力者最強と肉弾戦?マジ?


能力をフルに使えばやり合えると思うけど人の目がある中で使える能力には制限がある。特に先生の能力は使えない。


「あいの風、お前道着はどうした?」


「いや、無いですよ?」


いつもここに来る前に動きやすい格好に着替えてから来ているが私が着ている服は全て和裁士さん特製の頑丈に作られた服なので問題は無い。スポーツウェアみたいで良くこういうのを着て走っている女性を見かけるからコレを着て外に出てもおかしくない。帽子も被っているし知り合いにもバレにくい。


(ワープで来たから外に出てないんだけどね…。)


「…良し明日までに用意しておくから今度からはそれを着ろ。」


ええー…道着洗うの面倒くさそうだから嫌だな…。ああいうのって洗濯機で洗えるものなの?アタックなら行けるか?


「…アザッス。」


「あいの風中央に来い。今のお前を見たい。」


「手加減してくださいよ。年下なんですから。」


組織内No.2の実力を持つ天狼と世界中の組織、機関から死神と同規模の脅威と見なされているあいの風。この二人が戦ったらどちらが勝つか…能力者であれば誰もが気になるこのカード。果たして勝つのはどちらになるのか…その答えが今、分かる。


(どう考えても天狼さんが勝つ…でも、あいの風は()()()()()()()()()。)


私と模擬戦をする時、別に手を抜かれている訳じゃないけど何か…何かを隠しているように感じる時がある。まだあいの風には先が、まだ私に見せていない先があると私は考えている。それが異形能力なのかは分からないけど今日はもしかしたらその何かが分かるのかもしれない。

遂に天狼と美世が戦います。美世が制限のある中でどこまで戦えるか、楽しみにしていてください。

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