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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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勝ち方と負け方

今日か明日ぐらいに2話投稿しようと思います。

「それで勝ち方って実際には何を教えれば良いの?」


まず最初は具体的に理華が聞きたい事を知らなくては。単純に能力者との戦い方を教えればいいのか、能力の使い方のコツなんかを教えればいいのかで指導は変わっていく。


「私って人を殺した事が無いの。」


あ、そうなの。何人かは殺した事があるのかと思っていた。あの眼つきで殺した事ないとか…詐欺だろ。


「殺し方を教えればいいの?」


「というより能力者相手の立ち回り方、勝ち方を教えてほしい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


「うーん…事前の調べとその場のアドリブ?基本的にこの2つでどうにかなっているかな。」


「事前に何を調べるの?相手の能力とか?」


「射程距離と効果範囲が分からないとこちらが危険な目に合うし任務は絶対に失敗してはいけないからね。」


「確かにね…その場のアドリブって具体的には?」


理華…凄く真面目な顔で聞いてくるな。やっぱり処理課に所属したいんだろうな。ここはちゃんと答えないと。


「相手の能力によって近距離戦、中距離戦と立ち回りを変えるの。」


「あいの風って中距離戦でどうするの?何か決定打があるの?」


ああー…そこ聞かれちゃうか。うーん微妙に答えづらいなその質問は。


「組織から銃とか武器を供給されるからそれを使えばある程度ね。」


理華ゴメン!銃じゃどうしようもない能力者が居るのにこんな嘘付いてゴメンねッ!!


「銃じゃあどうしようもない相手居るよね?」


「うぐっ…その時は、その時の流れで…いや、まあ…うん。」


「ふーーん?それで複数の能力者と立ち会えるんだ…?」


めっちゃ怪しまれている。そうだよねおかしいよね。私が中距離戦出来なかったら複数の能力者相手に立ち回れないよね…。


「えっと…えっとね?」


「えっと、何?」


顔近い近いっ!こいつグイグイ来すぎだよ!


「あーもーーっ!分かった分かりました!ちょっと離れてよ。」


流石に先生の能力は言えないから探知能力と異形能力の事を話そうか。こいつは多分誰にも言いふらしたりするタイプじゃないだろうし。


「私には…もう一つの能力があるの。」


「なっ!?…アワアワ。」


理華がアホみたいに口を開けてオーバーリアクションをしているけど中々良いリアクションだ。


「卑怯だ!なんで世界は不平等なの!あんまりよ〜っ!」


理華がその場でよつん這いになってマジ泣きしだしちゃった…。女の子を泣かせてしまった事に対し罪悪感と興奮を覚える私。泣いた美少女ってさ、こう…(そそ)るものがあるね!


「泣かないでよ…私が悪いみたいじゃん。」


「悪い!(あく)ッ!」


(悪!?この女言わせておけば調子に乗りやがって…!)


美世は人に悪口を言われる事に慣れていないので煽り耐性が皆無であった。


「ううぅ…才能を見せつけられるのが辛い…。特に同世代の子からだとなおさらだよ…。」


あーめんどくさいモードになっている。女子特有のこのめんどくさい感じがめんどくさい。頭痛が痛いみたいな使い方だけど適切な使い方だと思う。


「でもね。私の能力まだ不安定だから実戦で使用するには色々と問題を抱えているの。」


理華が顔を上げる。


「…まだ、強くなるの?」


ああああ…そういう風にも捉えられるよね今の言葉は!ゴメン嫌な奴だったね!ゴメンね!?


「ちゃうちゃう!ちゃうねん!話聞いてや〜!」


焦って関西弁が出る美世だったがここは京都で相手は関西人。ちょっとした煽りになっている事に気付かない程に美世はテンパっていた。


「私のもう一つの能力、異形能力はまだ自分でも良く分かっていないの!それを理華に話したのは理華を信用したから!決して才能を見せつけるとかそんな思惑があってした行動ではなかったの!」


膝をついて理科の両肩を掴んだ。そして理科に目線を合わせて私の思いをちゃんと話す。誤解されたままではこの道場に通い辛くなってしまう。私は結構人間関係を気にするタイプだから。


「…本当?あいの風は私を信用してくれている?」


「うんうん!信用している。拳を交えた仲でしょ!?」


「…分かった。信じる。」


ふ〜〜何とか事なきを得た。初手から嫌な勝ち方を実践してしまった。するつもりは無かったのに。


そして理華が泣き止んでから5分程経過した。


「落ち着いた?」


「すまん…迷惑をかけた。」


良かった、いつもの理華だ。…会ったのこれで2回目だからいつもの彼女のことはそこまで良く知らないけど。


「じゃあ次はそっち、負け方を教えてよ。」


正直負け方とかそんなのあるの?って思っているけど何か得られるものがあるなら知りたい。


「…あいの風って能力者と戦って負けた事あるの?」


「一度だけならある。その後は勝ったけど。」


「誰に負けたの!?」


「宮沢みゆきっていう念動力者(サイコキネシス)に。今まででやり合った能力者の中で一番強かった。あそこで殺さなければとんでもない能力者になっていたぐらいに才能があったよ。」


能力に目覚めてから僅か1ヶ月そこらであれは驚異的だ。間違いなく私より才能があった能力者だったと思う。


だってあの怪腕を数発耐え抜く程のバリアを張っていたからね。怪腕がまだ上手く使えていなかったとはいえ末恐ろしい…。


「そんなにヤバい相手だったの。」


私の表情を読んで宮沢みゆきの実力を測ったのか、理科も険しい表情を浮かべる。


「私が負けた経験はそれぐらいかな。…あ、一応能力者と初めて戦った時も負けたと言えば負けていたのかな?」


先生と初めて会ったあの廃ビルの事件。私はあの男に犯されそうになった経験を思い出した。あの時に先生が助けてくれなければ私は殺されていただろう。


「死神に協力して能力者を処理したっていうあの事件?」


「そうそう。私、あの時初めて能力者と出会ったの。だから何も準備せずに能力者と対峙したんだけど今思うと無謀だったなー。」


「それは…馬鹿としか言えない。訓練を受けた事も無いのに能力者と対峙しちゃったの?」


「うん。我ながら良く生きていたなって思う。まあこの2つが負けた経験かな。」


「そっか…じゃあ何であいの風は負けたのに何で挑んだの?そして何故勝てたの?」


「えっと…挑んだのは絶対に勝たないといけなかったからで。」


あの廃ビルの時はお母さんの仇だと思っていたから私に逃げるという選択肢は無かった。宮沢みゆきの時は私が成長する為、先生の隣に居る為だ。


「勝てた理由は…先生のおかげ。」


そうだ。私が勝ってこれたのは先生のおかげだ。先生の能力とアドバイスのおかげ。いつも私が大変な時は先生が助けてくれた。


え?もしかして私…勝手に一人で勝ってきたと思い上がっていた?良く考えたら私が一人の能力で勝ってきた事一度も無いじゃん。


「うわ…恥っず、私一人じゃ誰にも勝てた事無いじゃん。」


「どういうこと?」


「私が今まで勝ってこれたのは全部先生のおかげだったことに今更気付いたの。私は馬鹿な生徒だ!」


何がプライドだ。何が一人で出来るだ。何もやれてなかっただろうッ!


「理華ッ!」


「はいッ!?」


急に美少女の顔が近付き自分の名前が呼ばれたので理華の身体がビクッと跳ねた。


「私に稽古をつけて!」


そして急な展開に追いつけないながらも理華は美世という人間を知っていくことになるのだった。

テスト勉強期間中に能力の向上を目指す学生の屑です。

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