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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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目をつけられる

今日は猫をお風呂に入れていたら毛が凄く抜けて排水口が詰まりました。この時期の猫って2段階に分けて抜けますよね。

遂にこの時期が訪れた。期末テストというクソゴミカスの時期にね。クラスの人達もぽつりぽつりと休み時間でも勉強をしている光景が見られ、その光景を見たクラスメートが触発されてまた勉強をしだすという悪循環のサイクルが周り始めていた。


因みに私はそのサイクルに抗っている。例え前後左右の席に座っているクラスメートが勉強していても私はアプリゲーをし続ける。勉強が何になると言うのだ。私はもう就職しているしマンションも借りている。つまりもう大体は社会人だ。漢字を覚えるより武器の使い方を覚えた方が有意義である。


「伊藤!ちょっと来い!」


「はい先生。」


星野先生にマークされている私は大した用もないのに良く呼ばれる。しかもクラスメートがいる中、大声で呼ぶものだから注目を浴びる。切実にやめて欲しいと願うこの頃。


「勉強しなくて良いのか?中間良くなかっただろう。」


「まあ…そうですけど。なんで私だけに言うんですか。」


私より悪い人居るでしょ絶対。…居るよね?


「お前が勉強している姿を見たことが無いからだ。」


「ちゃんと授業出てますよ。」


もう先生の言葉が耳を通り抜けて頭に入ってこない。


(星野先生のまつげ長いなー。)


「出てるだけで勉強していないだろう。良く他の先生達から前の授業の教科書が出しっぱなしで授業を受けていると聞いているが?」


「前の授業も一緒に勉強しているんです。復習ですよ復習。」


「だったら次の期末は大丈夫だな?赤点を取ったら…分かっているな?」


「プリント数枚やって提出ですよね?」


中間もそんな感じだったと思う。夏休みは長期間の仕事が入る可能性があるからさっさとプリント終わらせて…


「夏休みに補習として学校に来てもらうからな。担当は私だ。満点取るまで補習を止めないからな覚悟しておけ。」


星野先生をそう告げて教室から出ようとしたところでこちらに振り返ってまた私の前まで近づいてくる。


「…伊藤、お前髪切ったか?」


「夏なので涼しくしようと思って薄くしました。それが何か?」


勘のいい女め…私のインナーカラーの存在に気付いたのか?絶対にこの女に見つかったらその辺のハサミで切り落とすと思ったから染めた髪の部分はヘアピンやゴムで纏めて内側に隠してある。


前の髪の長さはミディアムロングぐらいの長さだったけど今はミディアムぐらいで肩より高い位置で切り揃えてあるから(うなじ)辺りにインナーカラーの部分をしまっている今は前側からは気付かない筈。


「…いや、似合っているぞ。夏休みの間に髪を染めないように。いいな?」


もう染めちゃってまーす!星野先生の節穴!アホー!バーカバーカ!彼氏居ないのに毎月ゼ○シィ買ってそう!


「ハハ。大丈夫ですよ。先生そろそろ時間、大丈夫ですか?」


露骨に話を逸したから星野先生に怪しまれたけど本当に時間が危なかったのか、そのまま教室を出ていってくれた。ふー助かった…。


私は自分の席に戻って次の授業の教科書を取り出した。案外他の先生からもマークされている事を教えてもらったから私は反省し前向きに捉えた。ちゃんと教科書出しておけば怒られる事が無くなると!


「美世どま〜。」


私の2つ後ろの席に座っているミレイさんが話しかけてきた。同じ眼鏡仲間で陰の者の匂いがするミレイさんは陽キャグループの中で一番話しやすい。


「ミレイさん勉強してます?」


もう少しで休み時間が終わるけど先生が来るまで会話しようとミレイさんの方に顔を向けて話す事にした。


私とミレイさんに挟まれている女の子はテスト勉強していて気にしていませんよ的な雰囲気だけど私の能力だと…結構気まずそうに見える。ゴメンね?あと数分だけだから。


「まさか!一夜漬けで乗り越えるのに賭けてんよっ。」


「私は何もしない感じです。」


「ノーガード戦法かよっ。美世っちやるね〜。」


「守る物無いですし。」


「あっはははっ私もその精神見習いてえー。」


休み時間のちょっとした時間、その限られた時間で何でもない内容を話すのは思っていたより楽しい。小中校ともそんな休み時間の過ごし方はした事が無いから。


「でも補習は嫌です。だから勉強…しないと。」


「でも美世っちずっとスマホ弄っているよね。そろそろ授業受けとかないとヤバいよ〜?」


後ろの席からだと私がスマホでゲームしているのバレているのか。


「…最悪一夜漬けで。何とか…ならないかな。」


「そん時通話しながら勉強しようぜ〜。美世っち1人だと勉強しなさそうだし誰かに見られていると思うとサボれないし良くない?」


「う〜ん…どうしようかなー。」


「いやいやそんなに悩まないでよっ。ただの思いつきだしさっ!」


ミレイさんが慌てて訂正を入れてきた。多分私が悩んでいたからだろう。別にミレイさんの提案が嫌だった訳じゃないけど私そういうの嫌がりそうだと思ったのだろう。


「いや、別に嫌だった訳じゃないよ?ただ急にだったから…もうちょっと考えさせて?」


「良かった〜。あたしはいつでも大丈夫だからっ。」


「ミレイさんありがとー。」


先生がすぐそこまで来ていることが認識出来たので会話を切り上げた。この能力のおかげで先生にはバレずにゲームが出来ているけど勉強が出来ない罠。


「おうっ。…あれ?」


ミレイは美世の髪に違和感を覚える。朝から美世の髪に人騒ぎ起こしたが、何か青っぽい煌きが見えた気がした。


(気のせいかな?)


チャイムが鳴りミレイやクラスメイトたちは慌てて次の授業の準備をし始める。そして授業が終わりお昼休みの時間になると皆が各々の昼食を摂るために教室で食べたり食堂へと向かったりし始めた。


「美世、ご飯食べよ。」


げっ、マリナ様に捕まってしまった。今日はご飯食べながらゲームしたかったのに…夏の時期はイベントが多いから周回したいんだよ〜。


「今日はお昼用意していないから学食で食べ…」


「私らも学食行くから。」


「ウィッス。行きやしょう…。」


私の高校には学食があっていつも生徒達で賑わっているイメージがある。私もたまに利用するけど遅いタイミングで行くから空いている時間にしか行かない。だから今の時間帯は…


「…混んでいますね。」


「うわ、こんなに居るの?」


マリナ様が学食の多さに引いている。因みに私も引いている。


「やっぱり私だけで学食を利用するよ。みんなお弁当とかでしょ?」


マリナ様グループは結構弁当の人が多い。


「…私達が席取っておくから美世は注文してきなよ。」


そう言ってマリナ様達はテーブルの方に向かって行った。え〜もう購買でパン買って来てで良いのにー。


目の前には長蛇の列…これ並ぶの?嫌だな…。


10分後、私が注文する時には食べ終えた人達が席を立ち始めちらほらと空いている席が見え始めていた。思っていたよりサイクルの早い学食だ。


「らーめん1つ。」


本当はガッツリ食べたいけどみんな居るし少なめに済ませよう。特に意味は無いけど大食いと思われるのは何か…嫌だ。…これってメスっぽい思考かな。ついに私の精神も女子に近づいて来たのか…


「お待たせしました。」


「おっラーメン?」


「何か意外だなー。美世はサラダ食べているイメージ。」


「それは分かる。サプリメントで食事済ませているような。」


何だそのイメージ…私はそんな少食キャラじゃ無いし!何でそんなイメージが…あ、モデルの仕事してると思っているからかな?


「たまには食べないと逆に太ってしまうので。」


「へー流石モデルさん。詳しい。」


凄く適当に言ったから合っているか分からない。でも食事制限はあまりダイエットには効果的では無いと何かで知った。何だったかな?5ちゃん?


「いただきます。」


割と熱々のラーメンだこれ。ただでさえ生徒達の熱気で蒸し暑いのにこのスープの温度はヤバい。


「美世、汗大丈夫?」


「…注文ミスったかも。」


でもこの化学調味料で仕上げられたラーメンがたまらない。添加物マシマシ味付け粗めは私の心を満たします。お腹は…満たし切れないかなこの量だと。


「でも熱い…。」


スープは飲み干す派の私はレンゲでひたすらミニラーメンを作って口に運ぶ。


(熱い!特に項辺りに熱籠もって駄目だ!)


私は無意識に纏めていた髪を解く。そんな事をしたら当然染めた髪が顕になってしまった。


「えっ!?美世その髪!?」


「あっ!やっぱりそうだ!あの青はそれかーっ!」


「染めた。涼しい…はふはふ。」


それからラーメンを食べている間、マリナ様達に根掘り葉掘り聞かれながら髪をイジられたのは言うまでもない。

そろそろ美世に誰かを殺させたいけどもう少し日常を謳歌させたい。この2つの思いがせめぎ合っています。

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