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sorrowful  作者: 近衛
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優しい嘘

私は白い夢を見ていた。

1ヶ月に1度は見るこの夢。

あまりこの夢は見たくはなかった。

何故なら、この夢を見たあとは決まって嫌なことが起きるからだ。

時が経つにつれて、だんだん声が聞こえてくる。

車の急ブレーキのような甲高いの声。

何処かで聞いたことあるはずのこの声。

だか、どこで聞いたのかは思い出せなかった。


▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀


ジリリリリリリリリリリリッッッ!!!!!


枕元に置いてあった目覚まし時計が我が我がと主張するように鳴いている。たかが100円程度の目覚まし時計なのがだ、朝が弱い私でも飛び起きてしまうほどのとてつもないほど大きい音を鳴らし私の睡眠を遮った。


「んっ、うるさいなぁ…」


カピカピの喉から声を絞り出し、目覚まし時計を叩くように止めた。朝日は大空に飛び立つ鷹のように縦横無尽に駆け回る。そんな朝日とは対称的に、私の体は森を守る樹木のように動こうとしない。動こうとしない手を無理矢理動かし、スマホへと手を伸ばす。今まで感じなかったスマホの重みが指や掌にのしかかる。スマホを持った手の肘を曲げ、脇を締めて体の方へと導いていく。スマホの横についた電源ボタンを押し朝日より先にスマホの光を顔へ浴びせる。特に更新されていないSNSを見て、私の1日が始まる。


カーテンを開け、適当に朝ご飯を作り、テレビと布団に挟まれた位置にあるテーブルへと持っていく。栄養が偏ったご飯を朝日と共に体へと染み込ませる。起きてから1時間30分経った。今着ているパジャマを洗濯機に入れ、適当に脱いだままでくたびれた洋服を手に取り、袖に手を入れ服を纏う。私の社会への戦闘態勢が整い始める。音楽アプリに作った『朝からテンションを上げる曲』というプレイリストを漁り、今の自分に合う曲をかけながらメイクを始めた。メイクを終え、ヘアアイロンで髪の毛を巻く。これで私の社会への戦闘態勢が整った。


部屋についたドアを開けると、人々の悲愴がまとわりついた空気が私を撫で回した。寒気と共に不快感が私を支配した。


「はぁぁ」


社会への小さな抵抗として大きなため息をついた。


私の住んでいるマンションは8階まであり、コンクリートできている。私の部屋は3階でエレベーターより階段で降りるほうが速く道路に降りれる。なのでいつもは階段を使っているのだが、今日はいつもと違う事をしようと思い、エレベーターを使うことにした。実を言うと、私はエレベーターが怖かった。何故ならエレベーターの中にあり、エレベーターを操作するボタンの前に立つと後ろに誰かがいるような気配を感じ、とても居心地が悪かったからだ。でも何故かエレベーターの後ろに立つ気にはなれなかった。その古びたエレベーターは必要以上に私を揺らし、奇怪な音をたてて1階へと続くドアを開ける。いち早くドアを通り抜けマンションの扉を開ける。


「今日を謳歌するぞ!」


そう心の中で叫び私自身を鼓舞した。

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