ファインダー越しの私の世界
今回のお題は、「星影×幽霊×アルバム」です。
これを見ただけでもう設定が分かってしまいますね。
お題は後書きの方がいいのかな。
どんなに手を伸ばしても触れられないからこそ、求めてしまうものがある。
アルバムを眺めていた。彼と出会ってから今までの思い出がその中には詰まっている。
彼とのデートは決まって、月のない夜だった。そんな夜は星の瞬きがより繊細に見えて、色んなものの境界が曖昧になっていく気がした。
一度会う度に一枚写真を撮る。彼の姿は写真の中でだけは鮮明に輝いて見えたから。
何でも明るく染め上げてしまう月が、私も嫌いだった。何にも明らかにならなくていい。曖昧なままでいい。そう言うと彼はいつも、優しく淡く微笑むのだった。
私も彼も決して互いに手を伸ばさない。現実だけは見つめない。
触れられないままでよかった。きっと心はいつも触れ合っていたから。届かないと気付くことが怖かった。私たちの視線の先には結局何も映ってはいないのだから。
題名はもともと「遠き日」とか「その目の先に」とかにするつもりでしたが、
Twitterのタグで見たことがあってなんだかこの話の題名としてはぴったりだなぁと思ったので、
あえてこれを拝借しました。
お話はお題を見たときに、はっと思い付きました。綺麗なお題なので、綺麗めな話です。
彼女はたぶん、心霊マニアか廃墟マニアなんだと思います。
月とか鏡は真実を移すらしいですが、今回カメラには彼女の心を映してもらいました。
実際写真は心を映すと私は思うので、それっぽさは出ているのではないかと思います。