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旅に出る

「ん…はっ!お母さん!!」


寝てしまっていたようだ。そういえばお母さんが倒れて…。

私の目の前にあるベットに寝ていた。

私はそっと息があるか確認する。

……まだ、息がある。


「はぁ…。」


ほっとして力が抜ける。

お母さんの呪いはどうなったのだろう。


「えっ…」


謎の闇が近づいて来ている。もしかして…魔王?

魔王な訳ないと信じたい。だが、もしもの時の為にお母さんを守る姿勢をとった。


すると、私はその闇に吸い込まれた。その瞬間目の前が暗くなった。

ふわふわとした意識の中、私は考える。


(私は…どうなったの?お母さんが話してくれたのと同じ…。やっぱり、闇の正体は…、)


「我は魔王だ。お前の母に呪いをかけた。お前の母は、お前が20歳になったらしぬ。お前に子どもができ、その子どもが20歳になったら、お前は死ぬだろう。そして、お前の子どもの子どもが20歳になったら、お前の子どもが死ぬ。この呪いは、お前の家族が我を殺すまで続く。」


闇が消えそうになっている。

私は思わず、掴めないはずの闇を掴もうとした。すると、意外と掴めてしまった。


「いでっ!何だ。我に何か用か。」


魔王は逃げようともせず、こちらの話を聞こうとしてくれている。

今なら倒せるかもしれない。


私はいつも腰に着けている護身用のナイフを取り出し、魔王に斬りかかった!

すると魔王はナイフを避け、こう言った。


「まさか斬りかかってくるとはな...。闇の状態で斬り掛かられるのは初めてだ。」


まあ、倒せる訳ないか...。

でも...どうしよう。反撃されないだろうか...。私はナイフで身構える。


「で、何の用だ?」


「え?えっと...。」


聞きたいこと...言っておいた方が良いのだろうか。

私は勇気をだして聞いてみることにした。


「お母さんは...私が20歳になったら死んでしまうと言っていたけど、生きているわ。それはどういう事なの?」


「あー...それはなぁ...。寝ている状態だからだ。」


「?」


「お前が23歳になるまでお前の母は、ずっと寝ているという事だ。」


「えっ?!でもどうして...」


「そ、そ、そんなのお前に関係ないだろう。大人の事情と言うやつだ。」


魔王はそう言うと、サッと消えてしまった。

私は驚いたが、お母さんが死なないと知って、安心してその場に倒れ込んだ。


...その後、私は病院の先生に事情を説明し、お母さんは、病院で入院する事になった。魔王の言う通り、お母さんが起きる事はなかった。

ひーくんとうーくんには、お母さんがまた入院する事だけを伝え、魔王の事や呪いの事は伝えなかったが、お母さんの入院手続きなどで忙しかったため、旅に出るのは明後日ということになった。

ひーくんとうーくんには笑顔で振舞っていたが、不安でいっぱいだった。後3年間だけで、魔王が倒せるだろうか。勿論、今のままで行っても即死するだけだ。でも、一体どうしたら...。

その次の日、ある程度の手続きが終わり、病院から帰ってきた。


「ただいま……」


もちろん返事はない。ただただ自分の声だけが鳴り響く部屋に寂しさを覚えた。

夕飯を食べる気にもならず、自分の部屋に向かっていく。

……ベッドに潜り込んだのは良いものの、当然眠りにはつけない。

暗い部屋の中、ベットに腰を下ろして考える。私は、直接的に魔王を倒すことはできない。腕力もないし、使える魔法も、回復魔法ばかりだ。……だから、サポートだけは本気でしなくちゃ!足を引っ張りたくはないわ!明日が旅に出る日。準備をして置きましょう!




次の日……


「ん〜……はっ!今日は旅に出るんだったわ!早く起きなきゃ!」


部屋にある鏡を見ながら、肘の辺りまである髪を後ろの方で低めにリボンで縛る。

クリーム色の髪のせいで赤のリボンが引き立つが、そんなことは気にせず、部屋を出て階段を下りる。

服を着替え終わると、棚から出てきたフランスパンをかじりながら大きいバックを背負い、前を向いて玄関を出る。

私は家に向かって、「次があるといいな……」と呟いた。

……私が待ち合わせの村門前まで来ると、うーくんやひーくんはもう来ていた。


「今日は早いわね!」


「……」


「どうしたの?」


余りにも沈黙が続いたのでそう尋ねると、動揺した様子でこう返した。


「な、なんでもねえよ!、」


「何でもないよ、」


「?」


私はどうしたのだろうと思ったが、まあいいかと思い、門を出た。

うーくんとひーくんはその後に続いた。


「もう村ともお別れだね。」


ひーくんが言った。


「「そうだな。そうね。」」


2人は村の方を向いてしばらく立ち止まっていたが、私は前を向いてスタスタと歩いていった。

2人は、私が先に歩いていってしまったことに気付き、走って私の元までやってきた。

「行こうか。」

私はもう行って居るのだが。ひーくんの言葉にうーくんが頷く。


「俺たち、何処に向かってるんだっけ?」


「この前言ってたでしょ!?草原町よ。」


「周りに草原があるっていう単純な理由で付けられた名前の町なんだよね〜」


「俺たちの村より都会なんだってな〜。人も沢山居るらしいし!」


私達はどんな町なのかを話しながら向かう事にした。

まず、町の外には草原が広がっているという事や、村からとても遠いということ…大きいギルドがあるなど……ギルドの掲示板には様々な情報がのっていてそれを見てみたいなどの話もした。


「なんか地面がジメジメしてきたなー」


「……!待って、ここ……」


「モンスターゾーンに入ったみたいね……!」


「モンスターゾーン……って……」


モンスターゾーンというのは、その名の通り「モンスター」が出る「ゾーン」の事だ。

ゾーンによって出るモンスターが違う。ここはヌメヌメ地帯でカエルのモンスターが出る。


「ここってカエルが出るのよね、?」


「ああ、そうだったはずだぜ。」


私はぶるぶると身震いをした。


「カエル、苦手なんだっけ?」


「え、いや、そんなわけ……」


「ゲコゲコ!」


「キャーー!!!!!」


カエルの声を聞いて私は叫びながら近くの岩に隠れた。


「はは!俺だよ、俺。」


うーくんがからかうように笑いかけてくる。

ひーくんもクスクスと笑っていた。


「も、もうっ!」


そうして私達はいつまでも笑っていた……。その後何があるかも知らずに……。

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