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私はこうして車校を辞めた

作者: 免許諦めた人

2018/3/27更新しました

 車、それは人が生活をするなかで非常に便利な移動手段であり、田舎に住むのであれば必須とも言える。そんな車の運転には免許が必要となってくるのだが、今回は免許を取るために行く車校を中退した話をしていこうと思う。


 私が免許を取るために車校へ行くことになったのは、大学2年の春。親に免許は取っておけとしつこく言われたことがきっかけだった。私は身分証と足の確保のために原付の免許は取っていたのだが、普段は自転車で相当な距離まで移動していたので車の必要性を感じていなかった。雨の日に少し不便さは感じていたが、たまには良いかなと歩く口実にしていた。しかし親や兄弟、果ては親戚にまで説得され渋々車校へ行くことになった。ATの方が楽そうだなと思っていたのだが、父から「男はMTだ」といわれ、親の金ということもあり逆らえなかった私はMTを選んだ。


 初めての運転の日「まずは基本を憶えてもらう」と、ゲームセンターに置いてあるような車外のようすの写る画面と運転席だけがある機体(名前が分からない)がある部屋へ入った。数人が同時に入って操作を始めた。同じようなズブが居るし緊張しなくていいだろうと思っていたが、それが間違いだった。エンジンをかけいざ運転開始というタイミングで、早速私はエンストを起こした。どうやらクラッチを上げすぎたようである。「落ち着いてもう一度エンジンをかけて」といわれたが、いきなりのエンストにテンパってしまった私はどうにもうまくかけられず横に先生が立っての指導となった。その後も動かすたびにエンストさせ続けた私は、すっかり運転する気力を失っていた。それからしばらくは座学だけを取り実技を先延ばししていた。しかし担当の先生から「そろそろ動かさないと忘れちゃうよ」と言われいよいよ本格的に車を動かすことになった。


 初めて本物の運転席に座った日は、とにかく緊張でお腹が痛かった。なんとか車校へ行き車に乗り先ずは手本を見せるからと先生が動かすのを見ていた。流石に手慣れていてスムーズに車を操作していく、いよいよ自分が運転する番となったのだが、さっき見たはずのエンジンをかける手順が思い出せない。しばらくまごついていると先生が見かねて手順を教えてくれた。なんとかエンジンをかけアクセルに足をかけて踏み込むと、がたんと車が大きく揺れて停止した。前回のようにエンストしたのである。やはりクラッチの上げすぎが問題だった。先生からは半クラッチしてからゆっくりと上げていくと言われたが、その半クラッチがどの程度踏み込んだ状態なのかが私には理解できなかった。その後何度も練習しやっと前に動かせるようになった。その日は残りをゆっくりと外周を回って終わったが、終わる頃には足首が痛くて仕方なかった。初めての運転をした日、私は自分に向いていないと母に電話をかけた。しかし母には「私にもできたから」や「慣れればできるようになる」としか言われなかった。


 次の運転の日程が決まり、また運転席に座った私の手は緊張と不安とでかなり冷たくなっていたのを憶えている。その日はなんとかエンジンをかけられエンストもせずにスタートできた。先生から「今日も外周を回ってそれから止める練習をしよう」と言われ外周を回っていたのだが、前の車との距離が近くなりブレーキを踏んで距離を保とうとすると「速度を落とすときは2速から1速にする」と注意された。前の車との距離を保つ事で精一杯だった私は、ギアチェンジの事が頭から抜けていた。慌てた私はブレーキから足を離してしまい、前の車とぶつかりそうになったところを補助席にあるブレーキを先生が踏み、ぶつからずにすんだ。このとき私の頭の中はやるべき事ができなかったことと、ぶつかりかけたことでやはり軽くパニックを起こしていた。結局その日も外周で終わりとなった。足首の痛みは前回より増していたように感じた。この頃から運転席に座ることに少しずつ恐怖を感じるようになっていった。


 3度目の運転日は適当に用事が入ったので行けないと言って休んだ。前回は一週間あいてからの運転だったが今回はサボった事もあり約1ヶ月ほど期間が空いた。もう既に私は運転に対して心が折れていた。他人からすれば車の運転などと思うかもしれない。しかし私にとっては一体なんの拷問を受けているのだと思わせるほどにMTでの運転は苦しいものだった。それでも私は何日もかけゆっくりとだが「行かなきゃいけないんだ」と言い聞かせた。そしてやっとの思いで3度目運転に至った。


 実際の3度目の運転は、休んでいる間に運転に関するサイトなどを見て細かく動作を確認し何度もイメージしたおかげでなんとかエンストを起こすこと無く運転することができた。しかし運転が終わった後の足首の痛みや様々な事を意識しながら運転した事による頭痛で帰り道は苦しく辛いものだった。「なぜ車の免許など取らねばならないのか、原付の免許ではいけないのか」と何度も何度も答えの返ることはなく、もし答えが返ったとしても私の期待する答えでは無いことは分かっている質問を一人で繰り返していた。そして次の乗車の予約をしていないことを思い出し「次の予約しないとな」と気を重くしていた。


 次に車校へ行った時は乗車時の担当の先生に会わないように気をつけながら座学の時間ギリギリに車校へ向かった。車校へ行くのは気が進まないこともあり2週に一度程度。全く車に乗車する気はおきなかったのだから、座学に関しても当然やる気など起きなかった。そんな通学方法をしていたある日、時間割を見間違えてしまっていた私は心の中で「しまった」とごちりながら帰ろうとしていたのだが、運悪く担当の先生に見つかってしまった。「○○君」と呼ばれ流石に反応しないワケにもいかなくなってしまい返事を返して話に応じてしまった。「久しぶり、全然乗車に来ないからどうしてるかなと思ってたよ」と軽い調子で話しかけてくる先生。先生には私が車の免許をほしいと思っていないこと、親から言われているから通っている事を話していた。乗車に来なくなった理由を察しているからか少し雑談をしていた。好きなゲームの話や学校の事など数分話をした後、先生が「それで次いつ乗ろうか」と切り出してきた。この頃には既に3度目の乗車から3ヶ月近くが経過していた。私も流石にそろそろ乗らないと講習回数的にまずいと思っていたため近い日程での予約をした。


 4度目の乗車、以前乗車した時の感触など残っているはずも無くまたもや発進の時点で躓いた。何度か挑戦しやっとの事で動かした私に「じゃあそろそろ障害物やってみようか」と言った。運転に集中していた私は反射的に「はい」と答えたが内心では「は?なんでこのタイミングなわけ、久々の運転で直線すら怪しいのに!」とかなりテンパっていた。障害物の近くに来たときに「先ずは速度をおとして」といわれ速度を落とした。次に「バックミラー、サイドミラー、目視での車の確認」といわれ視線を動かしてミラーを見た私に「しっかり確認して」と先生が注意をしてくる。今度は顔も動かしてしっかりと確認をした。「そしたら右にウインカーだして」と言われたがこの時点で既にいっぱいいっぱいだった私は左にランプを出してしまった。左になっていることを指摘された私が急いで右にウインカーを変えた時点で目の前に障害物が迫っており車を停止させることになった。ぎりぎりでの停車であったためブレーキを踏んでしまい「ブレーキはゆっくり数回に分けて踏むって教えたよね」と言われてしまった。なぜぎりぎりでの停車だからぶつからないように急ブレーキをかけたのに注意を受けるのかと憮然としていたが、そのままでいても仕方ないと少しバックをしてからなんとか障害物を抜けることができた。しかし抜けた先でも問題は待っていた。直ぐ近くに停止線があった。私は今度こそゆっくりとブレーキをかけなんとか緩やかな停車をできたと思っていたが「ここは2速に上げてそれから1速に落として停車だからね」と言われそんないくつもの動作をこの距離でできるわけ無いだろ!と思いながら「はい」と答えることしかできなかった。その日は足首の痛みも頭の痛みもあったがそれ以上に全身が疲労していた。5度目の乗車の予約をして車校を帰る時には自然と「もう嫌だ」とつぶやいていた。



初めまして

ここまで読んでいただきありがとうございます。

初めての投稿ということもあり稚拙な文章ではありますが、ある程度更新したら修正かけていこうと思います。

短編として投稿しているのでこのページにこのまま続ける形になるのかな?


本編の内容ですが、ずいぶん序盤で心折れたなと思われた方、その通りです。かなり早い段階でもう嫌だとくじけてました。心が折れるたびに期間を空けてなんとか繋いで車校に行っていました。


3度目と4度目の運転について更新しました。

普通の方からすれば何でも無いことですが私の処理能力では障害物後の停車までの流れは何度も練習してやっとできるかできないかの代物でした。


こんな感じでゆっくりと更新していこうと思います。


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