第58話:VS剛気豪傑
バトル回
歓声が上がり会場が一気に盛り上がる。
「小僧、礼を言おうか?わざわざ街の為に恥をかいてくれるんだろ?」
赤い手袋をした両手を広げやや前傾したシヴァルバが言う。
「俺こそ礼を言うぜぇ…アンタを倒せば最強だからなっ!!」
武器を抜き、【加速】し踏み込む、同時にWSに依る急襲。
「なぁっ!?」
「ふん!!」
WSをシヴァルバが額で受ける。否、額に依る攻撃で相殺。
「隙だらけだ小僧」
宙空で無防備な状態になった所でシヴァルバの体が一瞬輝く。咄嗟に防御姿勢を取る。
「ハッハッハ!地割れ落とし!!」
防御無視の宙空投げを食らい背中から地面に叩き付けられる。
「がぁっ!」
被ダメージ効果に依り出来た僅かな隙に足首を捕まれ宙空へ放り投げられる。
「ほーら…よっと!!」
トゲ付きの肩での体当たり、壁まで一気に吹き飛ばされ砂煙が舞う。
「「「おおおおぉぉぉぉ!!」」」
沸く観客席。
「小僧!棄権するか?奇襲染みた真似は俺には効かないぞ!」
砂煙が晴れると同時に走り出す。
「はっ!んな勿体無い事するかよ!少し安心したぜおっさん!」
ちゃんと繋げれる奴だ。反応も良い。
「アンタ投節者だな…悪いが格闘職の相手は得意だぜ!」
投節者、投げ技と関節技を極める格闘系三次職。通常攻撃の幾つかとWSの殆どに怯み耐性持ちで技の威力も高い。
「ならば示してみせろ!口だけなら幾らでも居たぞ!!」
両手を組み大振りな打ち下ろし、それを左左左の連続通常で相殺。
「アーマーは壊せるんだぜ?」
弾かれた拳同士だがこちらの方が先に動ける。
「さっきのお返し…だぁ!!」
弱中強攻撃から【闘志】を発動し昇掌、シヴァルバを追い、跳ぶ。追撃の右脚左脚右脚のチェーン、お互い宙空だが食らい判定中のシヴァルバにダメ押しのWS。
「らあっ!!」
地に着くとシヴァルバの体が一瞬輝く。後退で避け距離を取る。
「反撃か…まぁ甘いけどな」
ゆっくりと立ち上がるシヴァルバ。
「小僧…今のは効いたぞ…ブフゥッ」
吐血しながら言う。会場が静まりかえる。
「どうした?盛り上げてやれよ」
「ハッハッハ!!吠えたな小僧!!ハッハッハ!!」
「はっはっはっはっは!!楽しいなぁ!?」
「小僧…二つ名にぴったりな性格だな!ハッハッハ!」
会場がざわめく。
「小僧、本気で行ってやろう…」
「出し惜しみすんなよ」
「死ぬんじゃないぞ…偉大なる恩恵!」
シヴァルバの体から緑の蒸気が上がる。そのまま宙に消えるのでは無く纏わり付くように。
<偉大なる恩恵>:任意発動型。STR+200 WS与ダメージ60%増。発動中毎秒TP消費60。発動者の攻撃全てが怯み耐性を伴う。
「良い覚醒持ってやがんな…」
「お前は何も無いのか?それじゃあ行くぞ…!」
腰を曲げ肩を突き出しながらの前身攻撃、それを完全防御で防ぎ距離を取る。
「案外慎重だな?小僧」
「当たり前だろ、覚醒中の相手に捕まるなんて危な過ぎだしな」
「ならこれは防げるか?」
膝を曲げ砂を巻き上げながら高く跳ぶシヴァルバ、宙空からの体重を乗せた蹴り。それを完全防御で
「ちっ!」
目の前へと着地したシヴァルバに舌打ちをする。フェイク跳び、まんまと掛かる。
「力抜くなよ!?」
シヴァルバの重い拳が腹に刺さりくの字に曲がる。
「ぐぅっ!」
巨大な左拳で右のこめかみを撃ち抜かれる。輝きを放ちながら右掌で顔面を捕まれそのまま地面に持っていかれる。
「極めるぞ!!」
蹴り上げに依って浮いた足を掴まれ乱暴に、高く高く宙へ放り出される。
「死ぬなよ小僧!俺の敗けになっちまうからな!ハッハッハ!」
無防備な状態の宙空で背中を取られ腕を後ろに回される。腰の辺りで胡座を組み腕を絡め取られ抵抗も出来ない。
「このまま下を見ながら落ちるのは怖いだろう?顔を上げさせてやるよ」
「ぐぐぐ…っ!」
髪を掴まれ首を上げられる。両足もキッチリと掴まれ体全体が無理矢理反らされる。
「強者の余裕…」
轟音と共に衝撃が走る。衝撃は地を這い中央から壁まで届きヒビが入る。痛みは遅れてやってきた。
「死んでねーよな?」
砂煙が晴れシヴァルバが立ち上がる。
「すげええ!!」「アイツ死んだんじゃねーの」「無謀すぎたんだよ!」「流石に殺さねーだろ?」
「立ち上がるか…」
口から血を流し白い胸当ても紅く染まる。左目が燃える様に熱い。
「どうする?続けるか?」
「………る…ろ」
「あん?なんだ?」
「こ…に…だ」
「気力だけか?口も回ってねーじゃねーか…」
「はっはっはっ…!ぐう…!」
「まだ笑うか!ハッハッハ!」
「はっはっはっはっは!!こんなに楽しいんだ!!続けるに決まってんだろ!!!」
闘う、争う、本能が求める。勝利での決着を。
「次は俺の番だな…!」
口角を上げ嬉しそうに嗤う。
「そんな番なんて無ぇぞ…次で終わりだ!」
二人の男が対峙し笑う。本当に楽しそうに…。
まだ続きます。次回決着




