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第47話:襲来

ブクマ増えてます!有り難い…

目蓋を開けると金色の瞳と目が合う。


『おはようございますご主人様』


『おはようルイン』


朝食を済ませ準備を整え宿を出る。弁当と飲み物を購入しギルドへと着いた。


「セイラ!ルイン!おっはよー!!」


「おはよ…朝から元気だな」


ブンブンと手を振るストロベリルにルインが小さく手を振り返す。


「レンゴはいつも遅いの?お寝坊さんなのね!」


「まぁ朝から大変だろうからな…」


『お母さんでもお兄ちゃんでもありますからね…』


面倒見も良いし10人以上の子供達相手は大変だろう。


「きっとちゃんとした大人じゃないのよ!!」


「そう言う訳じゃ…」


「誰がちゃんとした大人じゃねーんだよ!」


「知らない!おはようレンゴサン!!」


「クソガキ…」


「おはよ」


会釈するルイン。


「うっす、待たせたな、悪い」


「気にすんなよ、別に待っても無いしな」


「私には?ねぇ私には!?」


「うるせぇ…悪かったよ」


「許すわ!!」


ストロベリルが居ると喧(やかま)しいがギルド全体の雰囲気が明るくなる。苦笑している物が大半だが悪い感じでは無いだろう。リリーナの下へ。


「おはようリリーナさん、例の件出来てる?」


「例の件って何!?」


「査定の事だよ、こう言うのが冒険者の間じゃ普通なんだよ」


「そうなの?格好良いわね!」


「ふふふ…例の件、準備出来てますよぉ」


『ストロベリルさん信じちゃいますよ?』


『良いんだよ、そっちのが面白いし』


リリーナが奥から四つ、麻袋を持ってくる。


「それでは…クロウラーの角が1本4000ネル、全部で387体分…絹糸が1万2000ネル、全部で107束、合計283万2000ネルですぅ。続いてマウントエイプの尾が7000ネル、92体分で64万4000ネル、魔石が2000ネルで37個、7万4000ネル。合計で71万8000ネル。全部合わせて355万ネルになりますぅ」


目を輝かせるストロベリル。


「お一人様辺り142万6000ネルですねぇ」


「本当に貰って良いの!?」


「良いんだよ、最初に決めた事だから」


ルインとレンゴがギルドカードへと預けている。


「ストロベリルさんもギルドに預けませんかぁ?便利ですよぉ」


「どうしよっかな…マジックボックスもあるし…」


「普通、冒険者様ですとぉ預けるんですけどねぇ」


「預けるわ!冒険者だもの!!」


「ありがとうございますぅ」


まんまと口車に乗り説明を受けるストロベリル。


「たった一日で凄く稼げるのね!」


「普通は無理なんだぞ?セイラが居るからだ」


「そうなの?ジンさんの言ってた通り本当に凄いのね!」


「持ち上げるなよ、ストロベリル、今日は騎士になって」


「分かったわ!直ぐに済ませてくるわね!」


リリーナに手を握ってもらった後に戻ってくる。


「んじゃさくっと終わらせに行くかー」


在りし日の記憶、エリナとの出会いへ。金の剣をストロベリルに渡す。


「騎士なのに剣なのね?」


「ん?知ってたのか?」


「少しだけよ、騎士は槍が手に馴染む物って聞いたから」


「正解だけど、ストロベリルは騎士職にするつもり無いし」


「ふーん?私も剣が馴染んでるから良いんだけどね!」


手慣れた調子でクロウラーを倒していくストロベリル、油断すると後ろから不意打ちを食らいそうになるがルインとレンゴがフォローし滞りなく騎士での作業が終わる。


「んじゃ次で最後な、魔術士で」


「分かったわ!」


「行ってくるぜ…」


職業変更(クラスチェンジ)へ。これが終われば職業昇級(クラスアップ)だ。


『ストロベリルさんは勇者じゃ無くなるって言ってましたよね?どうなるんですか?』


「別に勇者でも良いんだけどさ、戦い方も分かったしもっと合った職業をすすめてみるよ」


『そうなんですね…』


「決めるのはストロベリルだけどね」


暫くして戻ってきたストロベリルに杖を渡す。


「私魔法なんて使った事無いわよ?」


「あぁ、それは…」


魔弾の撃ち方を説明すると問題なく撃てたので殲滅を開始する。

魔法…では無く魔術士の通常攻撃はTP消費も無く、早さもあり連続して放てるので恐ろしい早さでレベル上げも終わる。


「楽だろ?んじゃ一旦帰ろうか」


「今度はセイラも一緒なの?」


「あぁ、行くよ」


外へと出て教会を目指す。


「ストロベリル、俺のおすすめの職業があるけどどうする?」


「セイラの言う通りにするわ!ジンさんだってセイラの言う通りにしたら強くなれるって言ってたもの!!」


「オッケー、んじゃそうするかー」


「変な返事の仕方ね!」


「あー、セイラは遠い所から来たらしいからな」


「へぇー!そうなんだ?」


教会へ着き神父を呼んでもらう。ルインとストロベリルが祈って待っていると神父のネスが表れる。


「これはこれはストロベリル様、北の勇者様が何用で?」


「もう勇者じゃないから様は要らないわ!」


「神父さん、ストロベリルのクラスアップを頼む」


「貴方は…分かりました、どうされますか?」


「長刃使(バスター)で」


「格好良さそうな名前ね!それでお願いするわ!」


ネスから祝福の言葉を受けストロベリルの昇級が終わる。


「装備はどうするんだ?防具はこの前ジンが寄付したのが使えるはずだぜ?」


「そうなの?んじゃ防具はそれで良いや、武器は…ラゼバルトで選ぶか」


「どんな武器か楽しみだわ!」


もう使えないので杖と経験値装備を受けとりゼンジの店へ。


「こんにちは、新しい客を連れて来ましたよ」


「いらっしゃいませ、こんにちは皆さん…そちらの女性は確か…」


「私は冒険者のストロベリル・ラズ・ブルーレリーよ、宜しくね!」


「え、えぇ…私はゼンジです。宜しくお願いします」


ルインとレンゴは店内を物色し始めたのでストロベリルを連れて武器コーナーへ。


「まぁレベル1だからな、これ一択だ」


・幅広の長剣(バスターソード):攻撃力50 STR+1 LV1~長剣 LV1~超達 大剣程刃は厚く無く幅も広く無いがその分軽い長剣。良質級(アンコモン)。


「幅も長さも直剣の2倍くらい?大きいわね!」


「ストロベリルは両手持ちだろ?ロングソード使うくらいならこっちが良いよ、大剣よりこっちのが戦いやすい筈」


「分かったわ!ゼンジさん、これを頂戴!」


「ありがとうございます、7万ネルになります」


嬉しそうにギルドカードで支払いを済ませ剣を構える。


「この剣…馴染むわ…」


どっかの吸血鬼みたいな事を言い手元から長剣が消える。


「おっ、マジックボックス使いこなしてんじゃん」


「よく分かったわね!皆びっくりするのに!」


「普通だよな?」


「まぁお前と居れば大概がな…」


頷くルイン。


「ちょっと残念だわ…」


「そう言えばゼンジさん、何だっけ…クリエイティーンって防具の買取りとかしてます?」


「聞いたことはありますよ、ただし高級な物だけの様ですが…」


「ありがとうございます、次やる事が決まったな」


「お前まさか…」


「なになに!?何の話?私とルインも交ぜてよ!」


「あー、ストロベリルの持ってた鎧と剣あったでしょ?アレ、ゴミだから売りに行くぞ」


「えっ」


『ご主人様…あんまりにも可哀想な言い方だと…』


「ひ、酷くない?」


「諦めろガキんちょ、セイラはこの街一番の武具店の装備をゴミ呼ばわりする男だ」


「ガキんちょも止めて!えーっと…分かったわ…言う通りにする…」


「ひとつ訂正させてもらうぞ」


「何だよ?」


「街一番はラゼバルトだ」


そう言うとゼンジさんが嬉しそうに礼を言ってくれた。一旦ストロベリルの宿へ戻り鎧と剣を取りに行ってから二度と行かないと決めていた店へ。


「いらっしゃいませー!本日は何かお決まりですか?」


「買取りの査定を頼みたいんだが…」


一瞬胡散臭そうな者をみる目になるが直ぐに笑顔に。


「もしかして勇者様の物ですか?ご案内させて頂きますね」


この店員…伝説級(SSR)の武器でも見せてやろうか…。

奥へと案内されると白髪の禿げ上がったデ…恰幅の良い男が待っていた。


「鑑定師のムソーと申します、早速見せて頂いても?」


鑑定師か…確かレンゴが前に魔眼がどうたら言ってたな…。


「お願いするわ!」


ストロベリルが鎧と剣を出す。


「やはり勇者様の…これは…素晴らしい鎧と剣ですな!!」


オッケーコイツは節穴だ。


「どうでしょう?二つで…3000万ネルで」


「そんなに良いっ「安い、話になんねぇ。他行くかー」


「「えっ」」


ストロベリルを遮り口を挟むとレンゴとストロベリルが驚く。


「やはり無理ですか…4500では?」


「いったいいくつ宝石が使われてると思う?鎧だって新品同然、剣は鞘にだって細かい装飾が施されている」


「そ、そうですな…5000…」


「別に金に困ってねぇし他当たるわ、悪いな冷やかして」


「す、少しお待ちを!6000!6000では!?」


「仮にもだ、北の勇者が旅に出る時に持たされた一級品だぞ?」


「し、しかしそちらの女性はもう勇者様では…」


「ハッ!国から授けられた鎧と剣に6000?笑わせんなよ」


「しかしそれは勇者様に…」


「認められたから与えられたんだよな?ラハブの勇者に負けなかったらコイツは勇者のままだった、それによぉ」


「そうですが…」


「元でも何でも勇者の装備が置いてある店なんて無いんじゃねーのか?ラハブ勇者の噂は広がって他の街からも冒険者が来るよな?考えてみろよ、勇者の装備が置いてある店の宣伝のデカさを」


「ですが、ラハブの勇者ジン様の装備では…」


「ラハブのなんて付ける必要あんのか?勇者ので良いだろ?他の街の奴等が分かんのか?どうする?1億…てのが妥当だと思うけどよ、9000で手を打ってやっても良いぜ?同じ街に住んでる縁でな」


「は…8500…」


「8800、これ以上は無ぇ、首を縦に振らないなら交渉の余地無く帰らせてもらう」


「分かりました、すぐ用意させて頂きます!おーい!何かお飲み物を用意させていただけ!!」


「おっ悪いね、金貨を用意するのは大変だろ?ギルドカードに入れて貰えるか?」


「お気遣いありがとうございます、そうさせて頂いてもよろしいですか?」


「ストロベリル、ギルドカードを出してくれ」


「わ、分かったわ!」


目の前で入金が行われ額を確認。


「世話になったな、また寄らせてもらうよ」


「はい!本日はありがとうございました!!」


外へ出るとレンゴとストロベリルが五月蠅い。


「おい!お前ゴミとか言ってなかったか!!」


「そうよ!それを最初の3倍近くまで!!」


「あー性能は間違えなくゴミだよ?本当は良い装備とかって事は無いから安心して」


「じゃあなんで!?教えてよ!」


「見栄だよ見栄、あそこの店の鑑定師、目が腐ってんのかこれは素晴らしい!とか言ってただろ?だから豪華な物が良い物って思い込んでんだよ。バカだよなー」


「言い過ぎじゃねーのか…」


「何だかあの人可哀想になって来たわ…」


『交渉って大切なんですね』


『まぁあれは見る目が無い奴相手だから出来たんだよ』


「このお金どうしよう…」


「好きに使えよ、ストロベリルの物だったんだ」


「でも、自分で稼いだ訳じゃ…」


「金なんてあって困るもんじゃないし、装備だって良いもの揃え始めたらマジで足んないからな」


日々金策に走った時の事を思い出す。


「分かったわ…ありがとうセイラ!!」


「気にすんな」


「しかし8800万か…凄いな…」


「ふふーん、なによレンゴ、何か奢ってあげようか?」


「要らねえよ、さんを付けろガキんちょ」


「ガキんちょは止めてよ!!べーーーっだ!レンゴがお金に困っても知らないんだから!!」


「さんを付けろって言ってんだろうがクソガキィ!!」


ギルドの方角へ逃げるストロベリルをレンゴが追いかける。


「な?仲良いだろ?」


『ご主人様の目は節穴です…』


ギルド2階の冒険者用のスペースで弁当を食べる。ヤトには肉の串焼き。


「美味しいわね!ちょっと味付け濃いけれど!」


「んで?この後どうすんだ?コイツいい加減うるせぇぞ」


「とりあえずレベル32迄は面倒見てやるよ、キリも良いしな」


「ちょっと!邪魔者扱いしないでよ!それに32なんて何処がキリ良いのよ!」


「それはこっちの話」


32になればその職業らしい防具が装備出来る。スタートから少し成長したと言う目安だ。ほんの少しだが。


「んじゃまたクロウラーからか?」


「いや?片手剣も両手持ちで使ってたからな、熟練度もそこそこあるだろうし俺達に合わせてもらう」


作業は早く終わらせたいのだ。


「つー事は…攻略進めるのか?」


「あぁ、ルインも退屈してるからな…次は3界層…」


『わ、私なら大丈夫ですよ?』


「楽しみだわ!私の強さ見せてあげるんだから!」


「油断すんなよガキんちょ」


「また言った!ねぇ!なんなの!ガキんちょじゃないもん!」


「うるせぇな…」


ストロベリルが皮の防具を借り、ギルドを出てダンジョンへ向かう。ストロベリルが浮き足立ち先行する。


「ずいぶん突っ掛かるな?」


「あ?あぁ…」


「本当に嫌いなのか?」


「そう言う訳じゃねぇよ、フゥー…只の嫉妬ってやつだ」


先を促す。


「親に合わせる顔が無い、だったよな?相手が居るだけでも幸せだろ…それにまだアイツはガキだ。冒険者ってのは何があるか分からねぇんだ、ガキなんて親に守られてダチ作って馬鹿して遊んで大人になるのが一番なんだよ」


「俺とルインは?」


「お前をガキなんて言う奴が居るかよ、詮索はしねぇけど訳だってあって遠くから来たんだろ?ルインちゃんは奴隷だからな…俺がとやかく言える筋合いは無いだろ」


「夢を追うのは悪い事か?」


「そうは言ってねぇよ…」


「守ってやるのは親じゃなくても良いんじゃねーのか、今ストロベリルの回りには俺もルインもレンゴだって居るじゃねーか」


「ちっ…分かった分かった、ただし世話はやかねーからな」


「分かった分かった」


嫉妬…では無く心配なのだろう。口は悪いが良い奴。


「セイラもレンゴも遅いわよ!!ね?ルイン!」


ルインの手をとり先行するストロベリルが叫ぶ。


「さんを付けろクソガキ!」


「汚い言葉!育ちが悪いのね!!ルイン、逃げるわよ!」


『私も!?』


仲良くダンジョンへと着く。2界層攻略後に訪れた[狭間2]へ。


「こっから先は?」


「俺もここまで来たのはこの間が初めてだったからな…」


『綺麗な所だと良いですね!』


「早く行きましょうよ!冒険者なんだから冒険しないと!!」


「だな!!」


「でしょ!!」


「はしゃぐなよガキ、確か3界層は…[使者の砂漠]だったかな」


「ガキって言わないで!!バーカバーカ!!」


ストロベリルの頬をレンゴがつねりながらゲートへ。


「じゃ、使者の砂漠…行くかー」


白く染まった視界が覚めると崖の上から広大な砂漠が確認出来た。真ん中には巨大な川が干上がった様な跡がある。


「依頼も受けてないし片っ端から、とりあえず俺が最初に行ってどの程度のモンスターか確かめる」


『おっけーです!』


「了解」


「私は!?」


「ストロベリルは俺が確かめ終わってから、最初は一発当てるだけを考えて戦闘してくれ。倒そうって考えなくて良い」


「それじゃ強くなれないじゃない!」


「戦闘に参加さえしたら大丈夫だよ、パーティだからな」


「分かったわ!」


階段を下り砂漠を進むと4メートル程の巨大な蠍が表れる。


・砂漠の火蠍(レッドスコピオル) LV28 砂漠に潜む赤い蠍の魔物。


ジンの防具の素材にも使われていたモンスターだ。


「一気にレベルが上がったな…良い狩り場だ!」


蠍との距離を詰め、左拳左拳右脚(弱弱中)の連続攻撃(チェーンコンボ)。そこからWS<連撃(コンボ)>を発動、蠍は怯む事無く尾に依る鋭い攻撃。尾の先には毒が付与されており、火に焼かれた様な痛みを受ける為名前の由来とされている。確かそんな設定。


「らあぁっ!!」


鋭い尾に依る攻撃を拳で相殺し、飛び上がりながら体を回転させ右、左、右と交互に蹴りを入れる。そのまま体を縦に回転させWS<踵落し(カカト)>を発動、脳天へと衝撃を受けた蠍が沈み、沈黙する。


「まぁこんなもんか」


『お疲れ様です!』


「凄いわね!一瞬よ一瞬!」


「どんな感じだ?」


「ルインとレンゴは余裕、ストロベリルは一発食らったらヤバ…不味いって感じかな」


「レンゴが余裕で私は不味いって何よ!」


「あのなぁストロベリル、どう思ってんのか知らねぇけどレンゴは他のそこらの冒険者よりも出来るぞ?」


レンゴが矢を外しているのは今だ見ていない。大弓は中々に扱いが玄人向けだったりするのにだ。


「私だってレベルが上がれば…!」


「その通りだよ、だから最初は当てる事だけを意識してくれ」


一発食らえばヤバイが死ぬ程じゃないのでどうとでもなる。


「分かったわ…レンゴ!勝ったと思わないでよ!?」


「思わねーよひよっこ」


「ひよっこって何よ!ちょっと可愛いじゃない!」


「んじゃさくっと行くかー、ストロベリルはとりあえず一発当てたらレンゴの所に下がれ、俺とルインが前衛、レンゴは間を縫って援護宜しく」


『おっけーです!』


「了解、お守りはしてやるよ」


「要らないわよ!!」


蠍狩り(作業)開始。ストロベリルは言われた通りぞ前線を直ぐに離れ観戦、ルインは矢を穿ちながら双剣、大鎌を駆使しWSを交ぜながらかすり傷さえ負わず良い動きをしてみせる。レンゴも隙を見て確実に矢を穿つ。二時間程狩り続けた結果。


セイラ LV37

ルイン LV37

レンゴ LV38

ストロベリル LV21


「うーん旨い」


『何が美味しいんですか?』


『ん?経験値だよ経験値、強くなってるんだよ』


『確かに…魔物相手も楽になった気がします』


「やっぱすげぇ早さだよな…」


「私はまだ戦っちゃ駄目なの?」


「もう普通に戦って大丈夫だよ」


「やったわ!見てなさいレンゴ!!」


「さんを付けろって…」


ストロベリルにはWSの説明は要らない様なので省き、全員で攻撃に参加する事によって殲滅速度が更に上がる。更に三時間。


セイラ LV39

ルイン LV39

レンゴ LV39

ストロベリル LV33


「うっし、今日は終わり!」


『流石に疲れました…』


「稼ぎがとんでもねー事になるな!」


「疲れたわー!手だって血が滲んできてるし!」


「冒険者の証だろ」


「そうね!服も汚れちゃったけど気にしないわ!」


「さっさと帰ろうぜ?」


「そうだな、二人は先に帰って良いよ俺とルインは査定頼んでから帰るから」


「分かった、頼んだぜ」


「レンゴはそんなに早く帰りたいの?一緒に行けば良いじゃない!」


「良いよ、レンゴはストロベリル送ってあげて」


もう陽も沈んでる筈、子供達も待ってるだろう。


「んじゃ明日な」


会釈するルイン。


「おう、おら行くぞガキ」


「止めてよ!レンゴの弓使い!」


「それ悪口じゃねーからな…」


ダンジョンを出て中央広場で別れる。


『ストロベリルさんが居ると賑やかですね』


『やかましいって言うんだよ、まぁ明るくなるし良いんじゃない?』


『このまま一瞬に行動するんですか?』


『戦力なるとこまでは来たしそれでも良いかもね、最初は32迄って思ったけど筋は良いみたいだし』


『私も負けてられないです!』


鼻を鳴らすルインの頭を撫でギルドへ。


「こんばんは、オークスさん居る?」


「居ますよぉ、レンゴさんとストロベリルさんは一緒じゃないんですかぁ?」


「先に帰ってもらったよ、何かあった?」


「いえ…ストロベリルさんに防具返してもらって無いのでぇ」


「あー忘れてた、明日の朝で大丈夫?」


「それなら大丈夫ですよぉ」


リリーナに謝りギルド三回へ。


「おっ!久しぶりだな暴れん坊!」


「あっちは暴れん棒ってか?くひっ」


「はぁ…久しぶりねお兄さん」


「アンタ達か…その暴れん坊っての止めてくれ」


風爆のゲイル、策略のフロイト、雷攻ロザリナへと会釈するルイン。


「今から査定か?俺達も見ていいか?」


「嬢ちゃんの装備また良くなってんな、可愛がって貰ってんだな…夜も?くひっ」


「アンタ本当に止めなさいよ…」


「別に構わねーよ、良い女だから羨ましいんだろ?そっちにも良い女は居るのにな?」


「あら?嬉しいこと言ってくれるわね」


「相変わらず言うじゃねーか兄ちゃん、まぁ魔女の血は優秀って冒険者達の間じゃ有名だからな…正直羨ましいぜ、悪かったよ」


「ふーん、まぁ程々にしてくれよ」


「ガッハッハ!ロザリナは男だぞ!早く査定しろよ!気になるだろ!」


「おいおいおいおいちょっと待て!査定より気になる事言ったろ今!!!」


「あ?知らなかったのか?」


「だって…嘘だろ…?」


いやらしさが隠しきれない程漂う色気、武器(胸)だって素晴らしいものを携えている。


「本当よ?お兄さん風に言うなら強力な武器も持ってるわ、確かめてみる?」


「い、いや…」


そこで声が掛けられる。


「おーい、そろそろ良いか?こっちは待ってんだぞ」


オークスに救われ作業台へと行き今日の戦果(サソリ)を広げる。


「これ本当にお前達が?」


「あと二人、レンゴと…ストロベリルって言ったら分かるよな」


「あの北の…」


「レンゴもなのね…今度声掛けてみようかしら?」


スマンレンゴ。


「レッドスコピオルか…中級者用にうってつけの防具の素材だな…量も相変わらず…今夜は徹夜だな、明日の朝には済ませる」


「お願いします、稼げますね?」


「まぁな!んじゃ早速作業に取り掛かるか!」


宜しく頼み一階へ。


「飲みにでも行くか?」


ゲイルが口を開く。


「んーまぁ良いけど」


「んじゃラビットに行かないか?店員のスカートが短いんだ」


「あんなの下品よ…」


結局宿屋街の近くにあるフロイトおすすめのラビットに決定する。水色のメイド服の様な格好の女性店員が多く、パンツが見えるくらいに短いスカートだった。


「レッドスコピオルって事は今3界層か?」


刺激的な香りのする料理と酒が運ばれてきて食事をしながら話が始まる。ルインは酒を一口飲むと苦い顔をしそれ以上口を付けなかった。


「そうだよ、ゲイル達は?」


「俺達は6界層で詰まってる、他の冒険者と一緒に来たが限界だな」


「これ以上はいくらなんでも危険だからな、冒険者等級(ランク)Aは最低必要だ」


「良くやれてる方でしょ?稼ぎもあるんだし良い装備整えてからまた行けば良いのよ」


「12界層…迄攻略されてんだよな?誰が?」


「んなもん決まってるだろ、西の最強…剛気豪傑のシヴァルバさんだよ」


「へぇ…」


西の最強、ソイツが12界層迄しかクリア出来なかったんなら。


『ルイン、当面の目標が決まった。とりあえずダンジョン制覇だ』


『私は最初からそのおつもりだと思ってたんですが…』


暫く談笑したあと別れる。会計は持ってくれるそうだ。


「ごちそうさま、またな」


会釈するルイン。


「おう!界層が追い付いたら組んでやるよ!」


「あんまり激しくするなよ!くひっ」


「またねお兄さんにお嬢さん」


すっかり夜も更けてしまった。宿へ戻りヤトの分だけお願いする。


「ピイィ!!」


指で闘いながらルインがシャワーから上がるのを待つ。ヤト用の巨大な魚の揚げた物が運ばれて来る。バクバクと首を突っこみ食べ始めるヤト。ルインと交代して自分もシャワーを浴びる。


「今日は疲れた?」


部屋へ戻りヤトと遊びぶルインへと尋ねる。


『少しだけ…体が思ったように動ける様になってきたので嬉しい気持ちの方が大きいです』


「そう、キツい時は言うんだよ?」


『はいっ!』


ベッドへ潜るとやはり疲れているのか直ぐにウトウトするルイン。


「おやすみルイン」


『おやすみなさいませご主人さま…』



白い男が現れる。同姓でも見蕩れる様な整った顔立ちの頭の天辺から爪先まで白い、嘘の様に真っ白な男が。


「気を付けて、そう言ったのを忘れて無いよね?」



目が覚める。寝起きから気分が悪い。


『おはようございますご主人様』


「おはようルイン」


気分の悪さも吹き飛びテキパキと準備を整える。朝食を済ませギルドへ。


「兄ちゃん!これも持っていけ!」


いつもの弁当屋のナイスミドルにそう言われ少し大きめの麻袋を渡される。


「フラガリアアナナッサって甘い実だ、貰いもんだけど冒険の合間にでも食べな!」


長ぇ名前の実だなおい、聞いた事…どっかで見た気もするが…。


「ありがとナイスミドルなおっちゃん!」


「なんだそりゃ?」


「気前の良い格好いい男って意味だよ」


気を良くしたのか笑顔で親指を立て合図する店主。似合う。途中飲み物と鳥の丸焼きを五つ購入しギルドへ。


「おはようセイラ!ルイン!レンゴはまだよ!駄目駄目ね!」


「おはよストロベリル」


会釈するルイン。


「ルイン!お姉さまのとこ行きましょ!」


『えっと…』


『行ってきなよ、リリーナのとこ誰も居ないし』


ストロベリルに連れられルインがリリーナの下へ。緑の髪でおっとりとした見た目に似合わない武器(巨乳)のリリーナ、ピンクの肩まで掛かる髪に元気いっぱいのストロベリル、真っ黒な髪が耳に掛かるくらいまでのショートヘア、フードに隠れているが金色の瞳をした美少女のルイン。絵になる。回りの冒険者の目も穏やかだ。


「うっす、待たせたか?」


「おはよ、大丈夫だよ。朝早いと大変?少し遅くしようか?」


「気なんて使うなよ、早いほうが稼げるだろ?」


嫌味の無い笑顔を浮かべるレンゴ。


「お前モテそうだよな」


「何だよ突然、よっぽど小綺麗にしてなきゃ冒険者なんてモテねーだろ」


「そんなもんか?彼女とか居ねーの?」


「出来ても子供たちと遊ぶのがよっぽど好きなのね!とか年下なのに大人ぶってるとこが気に食わないってな、俺大人ぶってるかぁ?」


「ブフォ!ぶっては無いんじゃねーか?」


「プハッ!笑うなよ!」


「自分で笑ってんじゃねーか!」


男同士盛り上がりながら依頼を漁る。一枚剥がしルイン達の下へ。


「あっ!おはようレンゴ!遅いわよ!」


「朝から元気なガキだな」


「お姉さまに言われたの!ムキになるのは子供だって、恋愛も女が大人にならなきゃ駄目なんだって!だからレンゴにも怒らないわ!淑女だから!」


「そりゃどーも、リリーナちゃん何教えてんだよ」


リリーナにもちゃん付けなのか…。ぶってるだけなのかチャラいのか…。


「淑女の教えですよぉ、お姉さまですからねぇ」


『私もぉ色々教えていただきましたぁ』


『それやめてね、俺頭悪くないから』


『はぅ…』


あざとい、それにヤられる自分も自分だが。


「ところでリリーナさん…「例の件!例の件は!?」


ストロベリルに割って入られる。


「はぁい、準備出来てますよぉ。直ぐにお持ちしますねぇ」


ドンドンドンドンと4つの麻袋を一気に置く。


「それでは、レッドスコピオルが全部で517体、鋏がひとつ2万8000ネルの1034本で2895万2000ネル、甲皮が4万6000ネルで合計2364万4000ネル、尾が6万ネルで3100飛んで2万ネル…8361万6000ネルを4等分で…2090万4000ネルになります…」


固まる四人の間から麻袋をひとつ取る。


「今からゼンジさんとこでストロベリルの防具揃えるんだから早くしろよ」


「いやいやいやいや、えー!?お前なんでそんな普通なんだよ!」


「私一億ネルになっちゃうんだけど…」


『一生生活出来るんじゃ…』


一生は無理だろう…。


「私手が震えちゃいましたよぉ、セイラさんはどうしてそんな普通なんですかぁ」


稼ぐだけならこっちは異様に稼げるが見たこと無い数字でも無い、金策をサボった事も無いし。


「いつまでそうしてんの?行くよ」


丁寧にギルドカードを渡すルイン。そして丁寧に受け取る。たかがカードなのに…。


「お、おぅ…」


「私誰かに襲われたりしないわよね?」


こっちの世界じゃ心得の取得が広まって無いようなので多少のレベル差の相手じゃ襲われても平気だろう。そんな街では無いので安心だが。


「す、凄い装備も買えるわね!」


「そのレベルで凄いのなんて無いから」


珍しさ(レアリティ)も普通(コモン)(表記無し)、良質(アンコモン)、希少(レア)、秘宝(スーパーレア)、伝説《スペシャルスーパーレア》と別れているがレア度が高いほど強い装備とも一概に言えない、入手難易度が高かったり使い勝手が良かったりな物が多い。ルインの外套(ディープブルー)も低レベALLの使い勝手の良いタイプだ。


「ストロベリルの装備はもう決まってるから」


ラゼバルトへ着きそう告げる。


「いらっしゃいませ、本日は…?」


「ストロベリルの防具をね、前衛用の黒蝶蟲装備(アゲハシリーズ)ってあります?」


「はい、ご用意しますね」


「どんな装備なの?」


「人気装備だよ」


奥からゼンジが戻ってくる。装備はマネキンに装着しており見せ方が上手い。


「わぁ…可愛い装備ね!」


目を輝かせる先には真っ黒な、フリルは少なめだがゴスロリと呼ばれる形のドレスが。人気の理由は性能もあるが一番は見た目。世の少女(オッサン)達がこぞって装備するのだ。動きやすい様になのかゴワゴワとはしておらず体のラインが出るタイプで胸にだけ大きめのリボンが付いている。背中には折り畳み式のギミックが仕込まれており、戦闘中に動きに合わせて虹色の羽が靡(なび)く。腕には黒い肘から手の甲を覆う腕護(ガントレット)、脚には膝下から爪先に掛けて黒い脛当て(グリーブ)。


「兜(ヘルム)も考えたんですが、ストロベリルさんにはこちらの方がお似合いかと…」


そう言いながら大きな黒い蝶の形に似たリボンを出す。


・黒蝶のリボン:防御力1 AGI+6 【炎熱耐性・極小】 LV24~ALL 熱に強い黒糸から作られた大きなリボン。希少級(レア)。


「良いんじゃないかな?ストロベリルはどう思う?」


「可愛いわ!ゼンジさん、全部頂戴!!」


ゼンジが荷物を纏める。


「そいえばレンゴも次いでに装備変えたら?フェザーにして大丈夫だよ?」


「前にも言ってたな…長く使えるんだったよな?」


「そそ、性能良いしね」


レンゴがゼンジに頼むと奥から装備を持ってくる。マネキンは無しだ。


「派手じゃねーか?」


「そうか?」


情熱鳥装備(パッションシリーズ)、羽根装備と呼称されるそれは色は赤だが暗く落ち着いた色で鎧や胸当てでは無く、狩人と言う感じがする人気の装備だ。頭は鍔の長いハット型の茶色の帽子、灰色の長袖のシャツと長ズボンの上から肩の無い丈夫な赤い上衣を重ね、前掛けの様な赤い腰装備、左手には茶色の分厚いグローブ、同じ色のブーツの様な脛当て。


「まぁ良い装備なんだろうから買うよ」


支払いを済ませる。ストロベリルの装備が42万、レンゴの装備が65万ネルだ。効果付きなのは確認しているので格安だ。


「んじゃギルドに戻って着替えたら行こうか」


ギルドへ着き二階へ。ストロベリルはリリーナに案内され受付の奥で着替える様だ。


「似合ってんぞレンゴ」


「そうか?」


小さく拍手するルイン。


「実力に合った装備だから大丈夫だよ」


チンピラ風冒険者だった見た目からランクBらしい相応の見た目に。下へ降りるとストロベリルが待っていた。


「どう?似合う!?」


漆黒のピッチリとしたドレスに身を包み前髪を残したまま後ろの髪をリボンでハーフアップにしている。


「おっ、似合ってるな」


またも小さく拍手するルイン。


「ふふん、セイラもルインもありがとう!!」


レンゴの方へと向かうストロベリル。


「何だよ?」


「レンゴも格好いいじゃない!見直したわ!!」


「お、おぅ…そうかお前も悪く無いんじゃねーか?」


「そうでしょ!?ありがとう!!」


素直な言葉に戸惑うレンゴ。


「準備出来たし二階で飯食って行くかー」


二階でヤトを喚び全員で食事を済ませる。


「依頼は何にしたんだ?」


「空飛ぶ蟷螂(フライングマンティス)だな、多分3界層の奥に進めばいるんじゃない?」


『砂漠は虫ばっかりなんですね…』


「飛んでも私が斬ってあげるわ!」


「飛んでる相手をどうやって斬るんだよ…」


「まぁレンゴの出番だな」


飛んでる相手に矢は効果抜群、例外無く。


少しひと息付きダンジョンを目指す。


「そいえばさー、あの中央の変なのって何なの?」


「あーアレか?アレは…


怒雄雄雄雄雄音!!!


轟音が響きレンゴが示した先のシンボルのある場所に巨大な土煙が舞う。


「あ?」


「まさかレンゴ…」


「いやいやいやいや、違うだろ!な…ん…」


土煙が晴れ、辺りから悲鳴が上がる。


『ご、ご、ご主人さま!!』


「な、なによコイツ…」


「セイラ、どうする…どうする相手じゃねーか…」


「あ?勿論…」


≪餓嗚嗚嗚嗚嗚嗚嗚嗚嗚嗚嗚嗚嗚!!!!≫


灰色の巨大な体から咆哮が上がる。


「「「ドラゴンだあああああああ!!」」」

「逃げろ!!」「どうなってるの!!「早く行けー!!」

「押すな!」「嫌よ…嫌ああああぁぁ!」


恐怖の悲鳴や嗚咽の混じった怒号、放心し動かない者に口汚く罵声を放つ者。


「灰被りの竜(シンデレラドラゴン)…」


二ツ目の災厄…そう呼ばれ、人に燃やされた何千、何万の竜の死灰から産まれたとされる高位(ひとつ上)の竜(存在)。


逃げ惑う人々。誰も皆震え怯えている。


「楽しませ(遊ばせ)てくれよ?」


唯一嗤う者が居る。口角を上げ唇を歪ませながら。


≪雅雄雄雄雄雄雄雄雄雄怨!!!≫


灰色の絶望が再び唸りを上げる。全てを呑み込む咆哮を。


一人だけ呑まれ無い者が居るが…。


「気を付けて」


その者は別の言葉に気をとられていた…。




纏めるのが下手すぎる…

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