5話『2回』
「「カンパーイ!」」
二人は焼肉屋に来ていた。
「いやあ、有難いぜ! 焼肉とか超久しぶりだわ! 人間界の焼肉とか2・3回しか言ったことがないからさあそして昼間から飲む酒はホントうまいぜ! また焼肉の油とよく合うわあ!」
そう言いながらサターテは生大を一気に飲み干し焼肉を食べる。
「プハアアアアアア!!」
「いやあ~! 焼肉うめええええ!」
ディビーもビールを飲みながら言った。
「でもよお~、アオスの奴さあ何で一人で行くと言ったら聞かないかなあ~、一人で気負い過ぎなところがあんだよなあ~、てか私も折れたからダメなんだけどさあ~、でもよ~そんなんだから死んじまうんだよお~、バカが!」
「そっすね! よくわかんないが」
サターテは適当に相槌を打った。
「おい、真面目に聞け!」
ディビーは怒り口調で言った。
「え」
サターテは何を言っているのか一瞬分からなかった。
「真面目に聞けと言ったんだ」
「はい」
サターテは取り敢えず納得して話を聞くことにした。
「それでさあ……」
数分後
「ふう~スッキリした~」
「そうですか、それは良かったですね」
サターテは面倒臭そうに言った。
「なんだよ、機嫌悪いな!」
「いや悪いわけじゃないが、真面目に聞いたらリア充の痴話喧嘩みたいなことばかりだからなんか聞いてて嫌になってしまってさ、自慢かよと思っただけだ」
サターテは少し不貞腐れる。
「まあまあ、機嫌損ねないで、君だって顔は童顔でかわいいんだから、クマあるところは気になるけど」
「あっこれ、ゲームのやり過ぎとアニメの見すぎと寝不足」
「完全に自業自得の状態かよ!」
と言ってディビーは少し呆れた。
「あっ、だったらお姉さんとこれからホテルに行かないか? いい汗かこうよ?」
「え!」
サターテは顔を赤くした。
(まさかここにきて童貞卒業! しかも女の子からの誘いでの! いや落ち着け相手は酒で酔っていてまともな判断が出来ていない。そんな状況でやるとかエロゲーをやってきた男としてダメだ、やはり俺の欲望としては正常な状態で恥ずかしいことを言わせるという状況を作って、それに及ぶのがいいに決まっている。それに俺にはマアリがいる)
「いや、えっと……」
(おいちゃんと答えろ童貞、緊張するな……)
するとディビーは笑いながら
「あははははははははは、冗談だよ、そんなことあるわけないじゃん」
と言った。
「おい、ふざけるなよ、お前が今話してるのは悪魔で魔王の息子でもあるんだぞ、調子に乗るなよ人間」
サターテは少しムッとして言った。
「ごっごめんなさい、少し悪酔いが過ぎたよ」
「いや別に、ただ俺じゃなきゃ確実に消されてたと思うからな」
流石にサターテも真面目に話した。
「はいすみません、次から気を付けます」
それを察しディビーも謝った。
そして二人はまた普通に肉を食べてビールを飲んでいた。
そして数分後、
「苦し、吐きそう」
「酒? それとも食べ過ぎ?」
サターテは手を口に押えながら
「両方」
と答えた。
「まあ人の金で10万も食えばそうなるわな、悪魔はみんなこうなのか?」
「おい、俺はまだマシな方だぞ、ヘルブブとかマジパネエからな! うぐ……」
と言ってからすぐにサターテは口を押えた。
「誰それ!」
「ベルゼブブの息子、俺と同じ711番目世代」
「世代とかあるのかよ!」
「え、あるよ悪魔って結構ヤるからね、俺の兄弟なんて俺以外はもう子供もちだからね」
サターテは少し不満そうに言った。
「いや、何で君だけ……」
「言うな、俺にはまだふさわしい女性が出てこないだけだ」
「ごめん」
ディビーは申し訳なさそうに言った。
「まあ、魔界の話は置いといて、今後の君の対応について話し合おうじゃないか」
「え、俺が人間界で住むとやっぱりなんかまずい?」
サターテはディビーに気まずそうに聞いた。
「まあ、何も問題が起きないとは限らないかな、私の所属してるエクソシストは大丈夫でも過激エクソシストは私の所属とも険悪でね、悪魔を根絶やしにすることは逆に人間界に災いを及ぶすのではとそうしないとだめとかで言い争ってるから」
「へえ、そこまでは知らなかったな、エクソシストがいることは知ってたけど、やっぱり考えの不一致は同じような組織にもあるんだな」
「そうね、まあそれが人間なんだから仕方ないんじゃない?」
すると、
二人のフードを被った男がいきなり剣を持って襲ってきた。
「まったく、人の目を気にしないで飛び込んでくるバカもいるから困ってるんだよね」
そして二人はいきなり血を吹きだして倒れた。
そのまま二人は何もなかったように通り過ぎていった、その後たまたま通りかかった他の人が見つけその後救急車の音がした。
「なあ、さっき……」
「いやあ、すごいでしょまるで私止まったかの……」
「何で2回も同じ位置に戻ったの?」
サターテは疑問をぶつけた。
「さっき君が二人を切った時一人を切った後わざわざ同じ位置に戻ってまたもう一人を切ったよね? 何で? しかもV字に切ったのはなんで?」
「え……見えてたの?」
ディビーは恥ずかしそうに聞いた。
「いや、さっき話したばっかじゃん、俺悪魔だから人間よりはるかに超えた力持ってるって、そりゃ見えるでしょ、で、なんで?」
「そういえばそうだね、仲間からはすごいすごいと言われてたのをやってカッコつけたんだけど、うん悪魔には見えるよね」
そう聞くとサターテは
「えっ何々カッコつけたかったの? だから同じ位置に戻ったの? カッコつけることと同じ位置に戻ることって、えっどういうこと? 俺に詳しく教えてくれないかな」
サターテはクスクス笑いながら煽るように言った。
「いや残像を歪ませない為に……」
「え、じゃあ残像意識してあれやったの、だったら一回で一気に殺した方が良かったんじゃないの? 何でV字に切ったの? もしかしてその斬り方がかっこいいと思ったの? え、め……クフウフフフフフフウフフ、ごめ……あははははははははははははははは! やべえ、腹い……ははははははははははははは!」
サターテは笑いを堪えきれず爆笑した。
「おい、ちょっとお前も調子に乗るなよ」
と言って、ディビーは聖剣をサターテの首に当てた。
「あーごめんごめん、分かってたから反撃しなかったけど、向けるのやめて、一応斬られると致命傷になるからやめて謝るから、ごめんなさい」
「分かればよろしい」
そういってディビーは聖剣を鞘に納めた。
「てかその聖剣って、アロンダイト? 初めて実物見たわ、びっくり」
「すごいだろ、この聖剣は死んだ隊長から引き継いだものなんだ、いいだろう」
ディビーは自慢げに言った。
そして、サターテは不思議そうに言った。
「いや君がそれ持ってたらベルーラくらいすぐ殺せたろ、何で苦戦したん?」
「その戦いで隊長が死んで私がそれを持ってベルーラ殺したんだよ」
「そうなの? てか隊長どんだけ弱いんだよ、聖剣もってあいつ倒せないとか相当だぞ」
サターテは呆れたように言った。
「まあ、思いっきり隊長聖剣扱えてないの他のメンバーや部下にもろバレだったからね、それで隊長が死んだとき無駄なあがきと思って私が手に取ったら結構ちゃんと使えて、それで他のエクソシストからも認められて聖剣を私が所持することを許してもらえたんだよ」
「何で今までその隊長が持ってたんだよ、おかしいだろ、ちゃんと確かめろよその組織も」
「まあ、隊長実力だけはあったから、聖剣だけが使えないだけで、今まで使ってた武器と形状も違い過ぎて、結局使い慣れなくて死んじゃったけど」
苦笑いしながらディビーは答えた。
「で、ディビーはどれだけの実力を今あるの?」
「技量だけではアオスと互角ではあるよ、ただ能力の面では普通に負けてるってとこかな」
サターテはそれを聞いてある程度理解した。
「つまり、ディビーもある程度強い奴ではあるのか、そういやアオスで思い出したけど、あいつの聖剣の先が少し折れた、今ハンカチに包んでるんだけど、……あったこれだ、これってエクスカリバーだよね、これも実物は見たことないけど、触れただけで、結構痛かった、今はハンカチを使ってるから大丈夫だけど力自体は……」
「ちょっと待って、何、聖剣の先折っちゃったの?」
ディビーはそれを聞いて、びっくりしながら聞いた。
「いやまあすぐ再生したから大丈夫だぜ、そして今それは俺しか場所は知らないだろうし」
「再生するんだ、知らんかった」
「まあ、聖剣が人間の前で折れたなんて聞いたことないだろうし、それは普通は知らんもんじゃね? 俺は昔母さんに聞いたけど」
「そういえば、魔界を追い出したのはお父さんって聞いたけどお母さんは知ってるの?」
ディビーは疑問に思い聞いた。
「いや、知らないよ」
「え、お母さんに迎えに来てもらうとかは?
「この人間界から魔界に連絡は出来ないから気づくまで待つしかないかな、それに気づいても母さんに権限ないから気づいても無理だろ、今の魔界の全権限は親父にあるし」
「なんか複雑ね」
そんな会話をしながらマアリの家に戻った。
そして、サターテが隠した聖剣エクスカリバーの場所へと言った。
「ここ、ここ、このタンスの裏に隠した」
「へそくりか!」
「まあ、売ったら結構な額にはなるんじゃね」
サターテはへらへらしながら言った。
「史上最強の金額をたたき出すへそくりになるだろうな」
そんな会話をしていた。
「てか悪魔にとってそれってヤバイ物なんでしょなんで消さなかったの?」
「え、俺にとってはどうでもいい、てか破壊した方が面倒臭そうだからかな」
「なるほど、たしかにエクスカリバーほどの聖剣が破壊されたら情報も上がってしまうしね。なら持ち帰ってもらった方が命も狙われないと言うことか、過激派以外は」
ディビーは納得した。
そして、エクスカリバーをディビーに返した。
「このカケラはもらっていい、何かに使えるかもだから」
「まあ、カケラぐらいならいいよ、どうせ再生してるし」
そして、サターテはエクスカリバーのかけらをタンスの裏に隠した。
「あ、あとごめんだけどお願いがあるんだけどいい?」
「ん、何」
「お姉ちゃんなんだけどさ、なんか厄介ごとに巻き込まれやすい人なんだよね」
「まあ、俺なんかを居候させるからな」
「それでさ、一応私も警戒網張ってお姉ちゃんが厄介ごとに巻き込まれたときはお姉ちゃんが知らない間に助けるようにしてるんだ」
サターテは疑問に思った。
「あれ、お前外国にいるんじゃなかったっけ、今日のこともだけどなんでこんな早く日本に着いたの?」
「一応私も聖剣の力ぐらいはちょっとは発動できるんだよ、それで転移しただけだよ」
「なるへそ、力を引き出す以上のことも出来るんだな人間は勉強になったぜ」
サターテは納得した。
「まあそれが出来るのはエクソシストの中で私とアオスぐらいだからあまり知られてないけど」
「お前らいったい何者だよ」
「知らん」
ディビーはあっさりと答えた。
「まあいいや、話をもどそう」
「それでさ、君居候するんでしょだったら私の代わりにお姉ちゃん守ってくれる?」
そしてサターテは
「え、いいけど一応契約書に名前書いてもらってもいい?」
と言った。
「おい、お姉ちゃんの魂を取るつもりか」
ディビーは怒り口調で言った。
「あ、大丈夫だよ、これは魂の契約用の書類じゃないからただの悪魔との軽い契約と思えばいいよ、つまり軽い代償で済む契約書」
「ならいいか、一応確認させて」
「いいよ、日本人用の言葉の書類だけどいいよね?」
「うん大丈夫、お姉ちゃんにも私からごまかして説明するから」
そう言ってディビーは契約書を隅から隅まで読んだ。
「てか、普通に厄介ごとに首突っ込ませないほうが早くね?」
「そうだけど、お姉ちゃんって守ってあげたい系女子じゃない?」
「同意、分かってるねディビー」
「そっちこそ!」
そして、そんな会話をしている間に、書類を読み終わり数分後にマアリは帰ってきた。
「ただいま~、あらディビー帰ってきたの? 久しぶり、……」
「お姉ちゃん! お帰り! 元気してた!」
マアリはディビーに気まずそうに答えた。
「う……うん元気だよ」
「もうお姉ちゃん、確かにアオスは死んじゃったけど、あれはアオスが選んだ道だからショックはあるけど、いつまでも悩んで苦しむのをアオスがいいっていうわけないと思っているからもう大丈夫だよ、また新しい人生に向かって走り続けるんだから! だからそんな顔しないでお姉ちゃんは笑顔が一番なんだから!」
「ディビー、ありがとう」
「いえいえどういたしまして」
「じゃあ、ご飯作るからね!」
そして、マアリは晩御飯を作り3人で一緒に食べた。
「そういえばディビーはいつまでいるの?」
「数日はいるよ」
「そうなの? うれしいわ」
マアリは嬉しそうにする。
「お姉ちゃん、ごめんだけど、ちょっと家族のサインが必要だからこれに名前書いてくれない?」
「良いわよ」
「!?」
そんな会話を聞いてサターテは驚いた。
そしてマアリが書類にサインしている間に、
「おいディビーこいつ大丈夫か、何も読まないでサインしてるぞ、詐欺引っかかりやすいだろ!」
「大丈夫、お姉ちゃんは私だからサインしてるだけで、他の人にはサインしないようにしてるから、てか私がそうしろって言ったから大丈夫になった」
「それって被害受けてんじゃねえか」
「大丈夫、だました相手には私が報復してるから」
サターテはそれ以上何も聞かなかった。
そしてマアリとサターテの契約は完了した。
その後サターテは風呂に入って寝た。