2話『息子だぞ!』
教会に金髪長髪で碧い眼の女性がいた。
彼女の名はマアリ・ガーレである。
マアリ・ガーレ彼女は神を信じていた。
そのため、毎週日曜礼拝に通っていた。
そして、いつも日曜礼拝を欠かさない女であった。
そして、その日もいつものように教会に通っていた。
すると、
ドゴッ!
下から音がして、足元を見ると後ろの白いワンピースのスカートが少し盛り上がっていた。
気になり、スカートの盛り上がった部分をめくると地面から男が顔を出していた。
「やあ! こんにちは、素晴らしい晴天じゃないか!」
「きゃああ!」
マアリはびっくりして悲鳴を上げた。
それを聞いた神父や信者たちは、駆け寄った。
「どうしたのですか、何かありましたか?」
「何かあったのですか」
信者たちが次々聞いていく。
「いえ、地面から男の子が顔を出した状態だから驚いてしまって」
神父が見るとひとりの童顔でオカッパ髪男の子が顔をのぞかしていた。
「あなた、どうしてそんなところにいるのですか、お父さんとお母さんはどう……っ!」
よく見るとその子には角が生えていた。
「何この子、何で角が生えてるの?」
「最近のコスプレというやつじゃないのか?」
「それにしては、リアルに作られ過ぎじゃないか? 本物じゃないよな?」
信者たちが騒いでいると神父は目を見開きながら言った。
「あなた、まさか悪魔じゃないですよね!」
神父が言った言葉に他の信者たちが黙った。
サターテside
その時、サターテは別のことを考えていた。
(これって、女の人のパンツを見てしまった展開だから、エロゲーでいえば最初の悪印象からだんだん好印象に変わっていくパターンだよな、そして、女の子は最後には自分から股開く展開に持ち込めるんじゃないのか? だったら、今パンツを見てしまったのはこの金髪長髪碧眼のお姉さんだな、でもパンツ見てしまっただけではあまり印象が少ないのかあまり怒ってないな、そうだ! 自分が悪魔だって言ってみよう、そしてサタンの子だと自慢すれば、少しは印象も強くなるだろう! もし信じてもらえなくても痛い子宣言で忘れるようなことはなくなるから、今後のフラグにも期待だな! 周りの奴の話は聞いてないが取り敢えずやってみよ!)
サターテはそう考え間の悪い時にこう言った。
「俺はサタンの息子なんだぞ! お前らなんかサタンパパンの前ではひれ伏すだけなんだからね! 勘違いしないでよね! お前らなんかこのサターテ様一人でボッコなんだからね!」
と言ってしまった。
信者が黙り震えだした。
その時神父が、
「……! っ貴様やはり悪魔なんだな! しかもサタンの子だと! この教会に何しに来た! ここは貴様みたいな魔の者が入ってはいいところではないのだ!」
神父がサターテに激怒した、それを聞いて他の信者も神父と同じく激怒した。
「そっそうだ! お前なんか怖くないんだからな! この悪魔! お前のようなもの神の前では無力なんだ! 今すぐ魔界へ帰れ!」
「そうだ! この汚らわしい悪魔め! 貴様に人間は負けないぞ! 我々の神がいる限り貴様の誘惑なんぞ無意味なんだ!」
神父や信者たちからの罵詈雑言が飛び続ける。
「もうやめてください!!」
そこに、マアリが怒鳴った。
それを聞いた神父と信者は黙り、一瞬静寂が流れた。
「マアリさん?」
神父はびっくりしたような顔でマアリを見た。
「皆で寄ってたかっていじめるのはよくないです。神を信じるものとして、その行為は酷すぎます。悪魔だからと言って、差別はしてはいけないと思います!」
「しかし、彼は悪魔なんだ! しかもサタンの息子と知れば皆警戒します! 確かに、サタンは地獄の魔王と言われていますが、だからと言ってみんなで、責めるようなことをするのは卑劣です」
そういうと、マアリはサターテの方を向きこう言った。
「申し訳ございません、皆さん魔王サタンの息子だと聞いて、驚いただけだと思うんです。なので、お願いです。許してあげてください」
マアリはサターテに優しい顔で言った。
「そんなことはいいので、パンツを見せてください」
サターテは、無神経に言った。
「まあ、お盛んなんですね!」
マアリは笑顔でそう言った。
(なんじゃあこいつ、何言ってるんだ、ムッツリか、ムッツリなのか?ちょっと心のぞいてみっか!)
そう思ったサターテはすぐにマアリの心をのぞいた。
(男の子ですものね! 元気があるのね! 私にはまだわからないけど、悪い子ではなさそうね!)
(ええええ! 何言ってんの!明らかにパンツ覗きたいとか人間界の犯罪でしょ! セクハラでしょ! しかも本心かよ! びっくりだよ! 寛大すぎるでしょ!)
サターテはそう思いながらも
(でも、こういう女性って落としたたらすごく萌えるっていうか、達成感とかすごくありそうだ! 手か俺好みすぎるんだが!)
そう興奮していたが、
「っ……!貴様、マアリさんになんてこと言うんだ! この方はお前を庇ったんだぞ! それを蔑にするなど! 恥を知れ!!」
「フヒッ! 決めたぞ! 俺は君を落とす! 決定事項だ! ああ、何だがワクワクしてきたぜ! ヒャアハハハハハハハハハハハハハ!」
神父の注意を無視してサターテはマアリに地面に埋もれていた手を出して指さしながらそう宣言した。
「……え!」
マアリはいきなりのことで困惑した。
「きっ貴様! いま彼女に堕とすといったか! やはり貴様ら悪魔はどうしようもない存在だな! 皆さん、悪魔から彼女を守りましょう」
「そうだ! 悪魔なんかに彼女を引き渡してたまるか! 絶対に守ってみせるぞ! みんな、何でもいい武器になるものを!」
「マアリさん、あなたは下がっていて!」
「でっでも!」
「お願い、みんなあなたを守りたいの、あんな悪魔に渡したくないの! お願い」
信者たちはマアリを守るためカバンなどや十字架のネックレスや本などを手に取った。
「デューフフフフフフフフ! 落とした暁には貴様に、サターテ君になら私の初めて奪われてもいいよって言ってもらうぜ! デューフフフフフフ!」
「貴様、彼女に悪魔の子を宿らすつもりか! させない、絶対にさせてなるものか!」
「くらえ!」
信者の一人が持っていた十字架ネックレスをサターテに突き立てた。
ドスッ
「やったか!」
「ん? 何、どうしたの何か用カナ?」
「効いてないだと! バカな! 神の与えし聖なる十字架が悪魔に効かないなんて!」
「えっ、いや確かにそれも一応神の加護少なからずあるけど、そんな効かないよ、ばっかじゃないの! ベーッだ! 俺を殺したいなら、普通は聖剣でしょ、ウケるわあ」
「そっそんな……」
信者は絶望の顔を浮かべた。
神父も今あるものではこの悪魔を倒すことが出来ないと察した。
「皆さん、ありがとうございます。でももういいんです」
「そっそんなだめです、まだ手があるはずです。最後まで諦めては……」
神父はそこから先の言葉を出す前にマアリは言った。
「いいんです。私なら大丈夫だから。サターテさんと言いましたね、私をこのまま連れて行ってもいいですよ、でもお願いです。っっどっどうか、っどうか、皆さんを殺さないでください、わっ私を連れて魔界へ帰ってください。おっお願いです。」
マアリは泣きながらサターテに言った。
「えっ、無理だけど」
「っ!そっそんなお願いです、どうか、皆だけはお救いください。お願いです、サターテさん」
マアリはサターテに泣きながら懇願した。
「いや、殺さないのが無理でなく、魔界へ帰るが無理なんですけど」
「っえ!」
マアリは、サターテの顔を見ながら驚いた。
「あっあの、帰れないとはどういうことでしょうか?」
「騙されてわいけません、マアリさんこの悪魔はあなたを油断させようと……」
「いやさあ、なんか親父にいきなり魔界から追放くらってさ、もうびっくりだよ、俺はただ自分の考えを主張しただけだし、自分の趣味で生き方を決めてただけなのにさあ、なんか分からんがキレられて、おかしくない、それで子ども捨てるとかおかしない?」
マアリも神父も他の信者も固まった。
そして神父と他の信者は
(この悪魔は何を言い出すんだ)
と思った。
「かわいそうに」
「「「え!」」」
神父や他の信者が一斉にマアリを見ると涙を流しながらサターテを見ていた。
「親から捨てられたのですね、今あなたは一人ぼっちなのですね?」
「まあ、そうっちゃそうかな、だがしかしだな、人間界にはアニメもゲームも漫画もラノベもエロゲーも様々なコンテンツが揃ってるからな、楽しみでもあるべ、デュフフ、想像するだけで胸キュンだぜ!」
「ふふっ、前向きなんですね、わかりました、それでもあなた一人では心細いでしょう、よかったら私の家で一緒に暮らしませんか?」
「な! 何を言ってるんですか! マアリさん! 悪魔と一緒に暮らすなんて正気ですか! ダメです! この悪魔はあなたを誑かそうとしてるんですよ!」
「そうです! マアリさん騙されてはいけません」
神父や信者たちは皆サターテがマアリと一緒に暮らすことを反対した。
「それでも、悪魔とはいえ親に捨てられたと聞いてはほってはおけません。サターテさんどうでしょうか?」
「おっマジで、やったぜ! これで恋愛モードもバッチリだ! これからよろシコね! お姉さん!」
「ふふっ! 恋愛はまだ私には分かりませんが、そう思える時が来たらよろしくお願いしますね!」
「マッマアリさん! いったい何を言ってるんですか!」
信者がそういったとき神父は言った。
「じゃあ、君は教会じゃだめなのか! この方に取り憑くのであれば、教会にいなさい」
と言った。
「え、やだよこのお姉さんがいい、大体悪魔が教会に住むってそれこそ問題じゃね! お前意外とバカだな、マジウケる」
と言って神父をバカにした。
「こっこいつ!」
「いいんですよ、神父様私がこの子の面倒を見ます、私妹が今仕事で海外にいるから寂しいんです、だから家族が増えるみたいで楽しみです」
「あっ悪魔ですよ!それでいいんですか!」
「いいんです、ご心配ありがとうございます」
「っ!わっわかりました。仕方ありません、あなたの優しさに負けました。しかしもしその悪魔があなたに牙を向けたらその時はすぐに連絡してください、すぐに駆けつけますから!」
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ、この子いい子そうですし」
こうしてサターテはマアリの家に住むことが決定した。
(だが、この教会にもし俺みたいな悪魔の敵エクソシストに関わるの人間がいたらこの女ごと俺を襲うだろうな! ヒヒヒッ、いったい誰が裏切り者か心のぞいてみよっと!)
サターテは面白半分で信者と神父の心をのぞいた。
(今日から新しい家族が増えるのね! うれしいわ!)
(いや、こいつじゃなくて)
(このことは、内密にしないと、特にエクソシストには内緒にしなければ彼女に危害が及ぶかもしくは処刑されてしまう。この悪魔のせいで彼女が処刑されるのはダメだ! 絶対に! 例え神父ではいられなくなっても)
(ああ、なんて慈悲深いんだマアリさんは、あなたは素晴らしい女性だ!)
(絶対に彼女を守る! この悪魔が何かをしたら地の果てまで追って殺してやる!)
(マアリさんの優しさに万歳!)
(マアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさんマアリさん)
(マジかこいつら! 引くわ! てか、もうこいつが神でいいんじゃね! 一人ストーカ混ざってなかったか! つうかライバル多いなあ、絶対負けねえぜ! 恋愛フラグは俺のものだ!)
サターテは固く決意した。