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彩香 ゲットだぜ!


「んんー。いい気持ち」

 リリーは一時間目の授業が終わると校舎を出、あてもなくぶらぶらと歩いた。正確に言うと、教室棟から部室棟へ歩いている。

 すると、どこからともなく女の子の泣き声がする。

「…………っひく…………っひく」

 その時、リリーに電流走る。


「……泣いている」

 リリーはその泣き声がする場所へ走る。女の子が助けを乞うている。それを助けるのが勇者だ。

「はっはっはっ」

 リリーは駆け走り、耳を研ぎ澄ませ、その娘を探す。すると。

「き、君っ!」


「……えっ……はっ」

 プレハブ作りの部室。その二階の外廊下の角に割り座をし涙する少女がいた。

 リボンの色からして一年生。リリーの後輩にあたる。制服はきちんと着ていて、スカートも膝丈だ。少女は割り座をしているのでわずかにスカートがまくり上がっている。少し見えるふとももが、清楚さと官能さを感じさせる。膝小僧はすこし土ぼこりがついている。それもそのはず外廊下は基本的に靴で上がっている。おかげで外廊下の鉄板の凹凸にグランドの土がついているのだ。汚ならしい土が白く美しい少女の膝小僧にへばりつく。なんともいやらしい。その土は膝小僧だけではなくふくらはぎを覆う靴下までにもついていた。靴下は真っ白なのに黄土濁した土がまたしてもぶっかけるようについている。白い脚を、靴下を汚すとはなんとも不届き者か。それらに対し少女の靴はまったく土はついてない。土親父は靴を舐めたくはなく、脚を舐めたかったらしい。


「大丈夫かっ?」

「えっ…………あの……」

 リリーはプレハブ作りの部室を眺めると、異様さを感じた。


(この部室、外階段がない)


 実はこのプレハブ作りの部室はいくつものの部室が集合している。最初は卓球台を入れるために作ったのだが、それからどんどんといろんな部室をくっつけたのだ。二階建てにし、新たなプレハブ部室を連結した。それによってもともとあった外階段を取り外し部室と部室をつなげるように鉄板を付け足した。もちろん、取り外した分建物の端に取付け足した。しかし、雨風に晒され老朽化が早くボロボロになった外階段は外された。新たな外階段を取り付けるまではしごをかけて行き来をしている。


「あの、どうやって上ったの?」

「えっと……はしごを」

 少女は指を指した。リリーは少女の指を指す方向へと見ると、あった。はしごが。

(……なるほど)

 リリーはそれを見て直感する。

 おそらく、この少女ははしごをかけ上ったのだが、それを誰かがはしごを外して少女を下りられなくした。少女の体格では二階から飛び下りるのは危険だ。足を骨折させてしまう。

 だから、泣いていたのであろう。


「待って、今はしごを持ってくるから」

 リリーはそう言って、無造作に横倒しされたはしごを起こし、二階の外廊下へとかける。

「大丈夫? 下りられる?」

「あっ、はい。ありがとうございます」


 リリーはがっちりとはしごを押え、少女はゆっくりと一段ずつ下りる。

「あっ」

 少女ははしごを一段一段と下りる度に、ゆらりゆらりとスカートを揺らす。風は吹かずぶわっとスカートを捲ってはくれない。だが、少女が降下運動する度にその振動が脚を伝わり、腰へ伝わり、スカートへと伝わる。見える、見えない、見せる、見せない。ふともものももチラが何度も何度も繰り返し、リリーの心臓をドキドキさせ、鼻息をはあはあさせる。少女のスカートは膝丈でミニスカートではない。もし、ミニスカートであればこの角度ならばっちりと見えたであろう。ミニスカートの女子高生を階段からスマホで盗撮したことがあるならわかるだろう。しかし少女のスカート膝丈スカート。この角度からスマホで盗撮しようにもギリギリ見えない。だから、リリーは願う。パンツが見れますようにと。だが、現実は非情だ。そんな願望を許してはくれない。リリーは仕方ないのでスカートの裏から太陽を見ることにした。スカートの生地が太陽光にかざすとうっすらと透けて見える。本当なら表からスカートの中を透けさせてもらいたかった。だが、現実は非情だ。しだいに、少女が下りて来ると太陽は隠れ夜になった。リリーはあぁもう夜になったのかと思い顔をうつむかせる。その時、むにゅとリリーの頭頂部になにやら柔らかいものが埋まる。その時、あっ……と少女の可愛らしい声がした。羞恥に満ちた声。リリーはその声に反応しはっと顔を上げた。すると、むにゅうとリリーの顔面になにやら柔らかいものが埋まる。くんくん。いい匂いがするぞ。リリーは一体このいい匂いする正体は何なのかと思い、目を開かせるのだが……見えない。まだまだ闇夜に包まれている。視覚がダメなら嗅覚だ。リリーはくんくんと匂いを嗅ぐ。なにやらいい匂いなのであるが、やっぱり何なのかわからない。仕方ないので顔面の触覚に頼るが、柔らかいの情報以外がわからない。リリーはなんとかならないかなぁと思ったその時。


「あ、あの……顔……退いてください」


 少女の声がした。リリーは少女の指示通りに顔を退かせると、あっこれはお尻だったとようやく知覚できた。



「あ、あの……ありがとうございます」

 少女ははしごから下りると、ぺこっと頭を下げる。

「私は、リリー。君は?」

「あっはい。彩香です」

「あやか?」

「はい。彩香です」

「では、彩香…………」



【選択肢】


①『なんで、はしごなしに上ったの? もしかして猫?』


②『もしかして……いじめられている?』



「もしかして……いじめられている?」


「………………」

 彩香は顔をうつむかせた。沈黙は肯定。

 リリーはそれを察してそれ以上は言わなかった。だが、

「……私がいけないんです」

 彩香が口を開いた。



【選択肢】


①『「あまり自分を責めちゃダメよ」と慰める』


②『「私でよければいつでも聞くわ」と微笑む』


③『気にしないで私達、友達でしょ?』


④『気にしないで私達、恋人でしょ?』


⑤『気にしないで私達、夫婦でしょ?』


⑥『「あなた暗い娘ね、友達がいないのも当然よ!」と罵る』


⑦『話がつまらなそうなので立ち去る』



「あまり自分を責めちゃダメよ」


「あ、ありがとうございます。先輩」



【選択肢】


①『先輩じゃなくて、リリーって呼んで』


②『呼ぶんなら、「お姉さま」じゃなくて?』



「彩香。呼ぶんなら、『お姉さま』じゃなくて?」

「えっ、……そんな恥ずかしいです」



【選択肢】複数可


①『彩香、私が嫌いなの?』


②『いい子だから、言う通りにしなさい……』


③『私の目を見て話なさい……』



「彩香、私が嫌いなの? いい子だから、言う通りにしなさい…… 彩香、私の目を見て話なさい……」

「えっ……そ、そんな」

「彩香!」

「わっわかりました。二人っきりの時は『お姉さま』で、他の人のいる前ではリリー先輩で……ね? お姉さま……」

「うう~。彩香!」

「きゃっ」

 リリーは嬉しさのあまり、彩香に抱きついた。



【選択肢】彩香は……


①『友達だ』


②『後輩だ』


③『恋人だ』


④『妻だ』


⑤『セフレだ』


⑥『妾だ』


⑦『いじめられっ子だ』


⑧『どうでもいい人だ』


⑨『妹分だ』



「彩香! あなたは今日から私の妹分よ!」




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