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魅杏 ゲットだぜ!


「…………データが謎だ」


 リリーはスマホから図鑑アプリをタップして加奈子にかざした。すると、加奈子のデータが出る。のだが、能力の部分は???で謎になっている。


「加奈子、学校の名前なんて言うんだ」


「とうぎょ」


「何!? トウキョー!?」


「いや、違うわ。とうぎょ、統御学園よ」


「何で、そんな名前なんだよ」


「それは、知らないわ」


 リリーはデータを見ると、加奈子は女子中学生だった。私立学校法人統御学園中等部二年。


「あの、私……そろそろ学校に行くわね」


「ああ。戸締まりは任せろ」


 リリーが返事をすると、加奈子は学校に行った。


「…………学校か」


 リリーは生まれてからこれまで、学業の学校に行ったことはなかった。


「ここの地方は魔王のいない世界なのかなぁ」


 リリーはカントー地方に生まれ、魔王トウキョーがカントー地方を治めていた。その魔王を倒すために勇者と呼ばれる軍隊が作られた。それに対し、そんな勢力を討伐するため魔王軍と呼ばれる軍隊も作られた。

 勇者は勇者学校に入り、戦闘の勉強をする。リリーは戦闘には特化した女勇者となり、学業という勉強はあまりしてこなかった。


「………………付いて行くか」


 リリーは加奈子の家の戸締まりをし、家を出た。


「おーい、加奈子ーー。私も学校に行くぞーー」








「えーー。ついてきたの?」


「別に、いいだろ」


「関係ない人が来ちゃだめよ」


「そんな固いこと言うなよ」


 リリーは加奈子の肩を抱く。


「きゃっ。……でも」


「加奈子。君は私の玩具だ」


「あ……ぅ…………」


 加奈子は顔を赤く染め、押し黙った。

 リリーの能力の選択肢の影響だ。

 リリーが加奈子は玩具だと選んだから、加奈子はリリーの玩具となった。

 加奈子は嫌だと言えず、リリーの玩具になるしかないのだ。

 それほどリリーの能力は強力で、選択肢に世界を滅ぼすとあれば……世界は滅ぶだろう。


「このまま、食べちゃおうかな」


「ぅ………………う…………」


 加奈子はさらに顔を赤くする。

 リリーはこうやって加奈子を手玉にして、玩具にしてる。


「ふふ。嘘だよ。行ってらっしゃい」


 リリーはそう言うとぽんっと加奈子の背中を押し、学校に送った。目の前は校門だ。


「う、うん。じゃあ、行ってきます」


 加奈子はリリーに向け手を振り、学校へと姿消していく。


「………………」


 リリーの身長は170代はある。中学生の女子より大きい。多くの男子にも言えるだろう。


「中学生ていう、年齢でもないんだが……」


 リリーは勇者学校でこんな青春を送る年齢は過ぎた。もし、魔王がいなかったら…………。


「そんなこと、考えても仕方ない」


 リリーはそう言って、学校の校門をくぐり抜けた。


「よし、学校に潜入だ!」


 リリーは制服ではなく勇者服を着いての学校潜入だった。



「ちょっと、あなた」



 リリーは振り返ると、そこには…………


「その格好からして、学校関係者ではありませんよね。

 どなた?」


 肩にかかるくらいの髪に、この上なく整った目鼻立ち。腰が高く足も長く、すらりとしたスタイルを誇っている。とてもセーラー服が似合っている、勝ち気そうな女の子が佇立していた。



【選択肢】


①『「リリーです」と言い、会釈する』


②『「リリーよ」とぶっきらぼうに言う』


③『「リリーで~す」と可愛い子ぶる』


④『まず、自分から名乗れ!』


⑤『「う、美しい人だ……」と放心してつぶやく』



「う、美しい人だ……」


「えっ……なっ……何よっ!」


 目の前の少女はリリーに誉められると頬を朱に染めた。


「いえ、あまりきれいなものでつい。そうだ写真を撮りませんか?」


 リリーはスマホを取り出し、カメラアプリを開かずに図鑑アプリを開いた。


「なっ……勝手に……撮らないで」


「ごめん。もう撮っちゃった」


 リリーはスマホの画面を見る。


(この娘……能力者だ)


 スマホの図鑑アプリからは、魅杏という名前があり、能力の欄には……


「支配力の能力」


 支配力の能力。魅杏の能力は人を上手く操る。


「それに、資金力もある。っ!? 統御学園の買収に成功!?」


「なっ、何よ。それが何か」


「魅杏。君は学園を買収したのか?」


「えっ!? な、何で、私の名前を……」


「いいから、私の質問に聞いてくれ。そうなのか?」


 リリーは魅杏に近づき、くいっと顎クイをした。


「えっ……う、……うん」


 魅杏は顔を真っ赤にして答えた。


「そんなことが可能なのか?」


「統御学園は学校法人だから……。学校法人が買収された前例はいっぱいあるわ……」


「それで、魅杏。君は、統御学園を買ったのか」


「え、ええ」


「どうやって?」


「端的に言うと学校法人の理事長にお金を渡すことで購入する……ということだわ……」


「前理事長を買収したのか」


「えっと……、まず買収元である私が学校法人統御学園に寄附をする。続いて学校法人の理事長が寄附金相当額の退職金を貰い、退職する。最後に、そのあとの理事長に買収元の関係者が就任する。……ということよ……」


「それだと、理事長が渡したくないと言えばそれまでじゃないか」


「でも、……渡したいと思えば一円でも成立する取引よ……」


「それで、現理事長は誰だ」


「……私よ」


 リリーは顔がぶつかるくらいに魅杏に接近する。それをして、魅杏は耳まで真っ赤にした。


「ねぇ、理事長。私をこの学園に入れてくれないかな?」


「ええ!? で、……でも、理事長ってのは学校運営のものでして…………校長や教師、事務員さんたちも頑張っていまして……そんな強権は…………」


「ねぇ、魅杏。お願いだ。なぁ」


 リリーは魅杏の耳もとでささやく。


「えっ、…………あっ…………」


「どうかな。魅杏」


「う…………うん…………わかった……やってみる」


「ありがとう。魅杏」


 くんくん。魅杏の耳もとは良い匂いがするな。


「で、でもすぐには厳しいかも…………書類作成など時間もかかるし……最速でも週明けになるかも」


「それでも、かまわない。憂鬱な月曜日に君と会えるのなら、幸せだ」


「う…………ぅ……」


 魅杏の首もとまで真っ赤になった。その時。


【選択肢】魅杏は…………


①『友達だ』


②『理事長だ』


③『恋人だ』


④『妻だ』


⑤『セフレだ』


⑥『妾だ』


⑦『お金持ちだ』


⑧『どうでもいい人だ』


⑨『お財布だ』



 …………来たか。このタイミングで。

 魅杏を我が手に入れたら最強だろうな。

 とんでもない資金力。理事長という強権。

 これは、一つしかあるまい。



「魅杏」


「ふぇ? 何?」


「君は……」


「う、うん」


「私の……お財布だ!」






 こうして、リリーは魅杏をお財布にした。リリーの持ち金には金額と魅杏の名が刻まれた。魅杏は超お金持ちで、リリーが旅行へ行こうよと言われたら喜んでリリーの分のお金を出す。

 魅杏は教師という支配者の支配者だ。しかし、リリーはそのさらに支配者となった。

 生徒を使役する支配者を使役する支配者をも使役する支配者となったのだ。


 玩具……加奈子

 財布……魅杏

 勇者……リリー




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