Part1-2
それは絶望の根源だった
圧倒的な力で世界を脅かし、すべてを蹂躙していった
まだ封印が説かれてから一週間もたってないのにも拘らず三つの国とそれの討伐に向かった数千の命が葬られた
邪神龍アジダカーハ
その最強の悪の神の名を冠したURLMは確実にこの世界の崩壊させている
だからこそ俺たちが召喚された
「みんな準備は良い?」
決戦前の準備をする俺たちにギルマスは朗らかに笑いかける
それはこれから起きるボス戦を楽しむためではなく、これから始まるこの世界の存亡をかけた戦いに挑むために闘志を燃やしているのだと感じた
この場の誰よりも弱いはずの彼女は俺たちに向かって叫ぶ
「これより始まるのはこのゲーム、いいえこの世界の命運を握った戦いよ!だからこそみんなこの戦い負けるわけにはいかないわ!」
そんなもの百も承知だ
俺は隣の相棒の手を握りながら頷く
他のメンツもこの時ばかりは真面目に・・・しているのもいた、うん
『ネズミ』は寝たままだし『ウサギ』は相変わらず黙ったまま、ビビりの『亀』は怯えながらも聞いているが『猫』は相変わらず笑ったままだし
『夫人』と『女王』が珍しく沈黙を保っているのが驚きなくらいである
それぞれの相棒や他のメンツもまちまちである
こいつらとつるむようになってからゲーム時間で二年だが相変わらず苦笑せざる負えないぐらいキャラの濃ゆい連中である
まあ、どいつの相棒もうちの相棒には劣るがな!
「ヨイ、ちょっとうるさい」
口には出してないはずなのにさすが俺の相棒
もはやお互いの考えてくることなど手に取るようにわかる
「キモイから本気で黙りなさい」
はい、すんません・・・
流石にこれ以上は視線の圧力に耐えかねるのでギルマスの話に集中することにする
といってももう演説も最後の最後
だが別に彼女の演説を真剣に聞いているものはこの場には皆無だろう
俺たちはこのゲームをもう一つの現実と思っていることだけは一緒だが、多くの人間が人生をそれぞれの挑み方でチャレンジするようにいろいろな考え方がある
特に俺たちは多くがずれているから真面目に正義感を燃やしている奴などはギルマス一人だけであろう
遊び場を壊されては困るもの、最強のモンスターというのがどれくらい強いのか腕試ししたいもの、これから起きる戦いに何かを期待するもの
様々である
語弊を招くようで恐縮だが一つ訂正させてもらうなら彼らは一生懸命な彼女の姿に力をもらうのである
このギルマスのために俺たちは集まったのだ
目的も生き方も違えど俺たちはその二つの点においては違えることがない
「———というわけでみんな!いつも通り勝ちに行くわよ!」
「「おお!!」」
とはいえ俺はただの『一兵』だ
平兵らしく精々頑張るとしよう
そうして俺たちは現実で一周年を迎えた今でも最強のモンスターと言われたアジダカーハに挑み
そして撃ち滅ぼした
―――――たった一人のNPCの犠牲をだして