Part1
もう二年も前になる
当時、珍しいゲームが出たといち早くネットの友達から連絡が入り、期待を胸に<NEW>をつけた
五十もの大量の質問に辟易して、間違ってステマか何かをしているのかと思ったのを覚えている
だが、そんな考えも君が産まれたーーーーいや、君が俺の相棒に選ばれた瞬間には消えた
比喩抜きに、時間の流れが止まったのかと感じた
たぶん、そのときは息さえしてなかった
ただ分かったことは半身に出会えた喜びという実感だけだった
そこに一切の思考が入る余地はなかった
心と体がその事実だけを受け入れていた
どのくらいの時間が経ったのかはわからない
でも、最初は初々しく少しはあいつにも恥じらいがあったとはいえ、そんなに我慢ができる性格じゃないから多分五分ぐらいだったんじゃないかと思う
あいつも俺と似たような状態だったんだろうけど、俺と違って思い切りのいいあいつは、それでも緊張していたんだろう
画面の向こうの腰の近くまで伸びた艶があって綺麗な漆黒の髪の毛先を弄っていたのを覚えている
「・・・・名前」
「ほぇ?」
あいつはぶっきらぼうになまえを聞いてきた
その時の俺の声は驚くほど間の抜けた声だった
・・・今のあいつなら絶対笑ってたな
でもその時のあいつは待ってくれた俺が返事を返すまで待っていてくれた
「やよい・・・・園田 夜宵だ」
俺は息を整えてからいった
傍から見たらPCに恥ずかしそうにしゃべりかけている痛い男だったが
でもあのときは、もちろん今も彼女がニセモノなんて思えなくて
「そう・・・ヤヨイ・・・」
まるで名前の呼び心地を確かめるように名前を言うあいつにドキッとしたのは仕方のないことだと思う
だから俺はそんな恥ずかしさを紛らわせるために
「き、君の名前は?」
彼女の名前を聞いた
あいつは少しはにかみながら
「------」
その名を告げた