告白
初投稿です。
思わず、手をポケットに突っ込んでしまいそうな寒さだ。
今年冬は中々に厳しい。
そんな中、俺はとある病室を訪ねた。
「また、来てくれた」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「当たり前だ。約束しただろ」
俺は彼女の隣に腰掛ける。
白い病室とは真逆の艶やかな黒髪。 それは彼女がここにいることをより、明確にしている様だった。
肌は抜ける様に白く、黒い綺麗な瞳でその落ち着いた口調から初見では少し冷淡そうに感じるが俺に優しく微笑む彼女はとても穏やか だ。
「君は本当に優しいね。私を助けてくれた上、こうしてお見舞いにも来てくれる」
「そりゃあ、約束したわけだし」
助けたなんて大層なものではない。階段から転落した彼女を偶々、見つけて救急車を呼んだだけだ。
彼女には身寄りがない。両親は彼女が高校生の頃に死別し、彼女を引き取った祖母も一昨年に亡くなっている。
そんな彼女に初めて見舞いに来た時に家族は見舞いに来たかなどと聞いてしまった俺は罪悪感から、退院するまで出来る限り、見舞いに行くと約束した。
「別に知らなかっただけなんだから、気にすることないのに。本当にひとが良いね」
彼女は悪戯っぽく笑った。
「いやいや、こんな美女とお話しできるなんて役得だよ」
俺は体格が良い上に筋肉質なせいで女性に敬遠されがちだ。彼女みたいな美女と楽しくお喋りする機会などほとんどない。
けれど、
「私ももうすぐ、退院だ。喜ばしいことなんだけど、ここで君と話すことがなくなると思うと寂しいよ」
「そうだな、、、」
彼女の言う通り、退院すればこうして会って話すこともないと思うととても寂しい。
「だからね」
「ん?」
「私と恋人になって欲しい」
「へ?」
突然の告白に変な声を出してしまった。
人生で女の子、それも飛び切りの美女に告白された経験など皆無な俺は頭が真っ白だった。
「私は君の強いところや本当は寂しがり屋なところ、何より優しいところが大好きだ。だから、これからも君と一緒にいたい。君の隣にいたい」
告白というよりがプロポーズみたいな言葉だった。
普段、割とクールな印象の彼女からは想像出来ない程にストレートな表現だ。
それだと言うのに俺ときたら、答えを伝えるどころか口ごもってばかりで何と男らしくないことか。
そもそも、答えを出すのに考える必要はない。何故なら、俺の気持ちは彼女と同じなのだから。
一週間後
いつも通りに彼女の居る部屋に入る。そこには病院服を来た彼女ではなく、コートに身を包んだ彼女が立っていた。
「退院、おめでとう」
俺がそう言うと彼女は抱きついてきた。
「ありがとう。これからもよろしくね」
「こちらこそ、よろしく」
俺は彼女のことを抱き返した。
この暖かさは冬であることを忘れせる程に心地の良いものだ。
内容を少し訂正しました。