表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷い夜話  作者: 初瀬 泉
24/65

クチナワ 2

「そ、そこのつきあたりを右に行ったところで今日は見かけた」

「そう。ありがとう」

 どこにも謝意など感じられないような素っ気ない声でユズリは言い、男の指差した路地の奥へと歩き出した。遊佐も黙ってその後に続く。

 そうも簡単に信じていいものなのかと疑問に思ったが、背後からひそかに聞こえてきた言葉にいらぬ心配だったことを知った。


 ――管理者の娘だよ。間違いねぇ。あんな態度でかい小娘なんて二人といねぇよ。

 ――あれだろ? この間の刀狩番付で折継と並んだ記録を打ち立てた女だろ? あんなナリしてよう、気に入らない奴は容赦なくぶった斬るって話だぜ?

 ――マジかよ。あんなガキが?

 ――バカ! 聞こえたらどうすんだ! いいか、あのガキには関わらない方が身のためだ。何つっても背後に管理者もいやがるんだからな。触らぬ神に何とやらだ。

 ――ったく。クチナワに折継にあのガキに、管理者の周辺てのはろくな奴がいねぇ。


 なるほど。日頃のユズリの素行に加え、こんな場所でも多大な影響力を持つシノの存在あってか。そしてこれから会いに行くクチナワとやらも彼女らと同類らしい。

「随分有名人なんだな」

「管理者の娘だし、うちはこの町と縁が深いからね。前回の刀狩番付で記録更新したからまた少し名前が売れたわ」

 まっすぐ前を向いたままユズリは大した興味もなさげに答えた。

「刀狩番付?」

「一言で言うなら、誰が一番刀狩りましたランキング」

「ああ、そう言えば刀狩好きなんだっけか」

 確かシノが以前そのようなことを言っていたはずだ。

「報償もらえるしね。無法者はムカつくし、たまには刀振らなきゃ勘も鈍るし。まさか昼の世界で斬り合いなんてできないし」

「銃刀法違反で即逮捕だな」

「そういうこと」

 ユズリは当たり前のように答えるが、彼女なら昼の世界では木刀でも携えて歩いていそうだ。さすがに口に出しては恐ろしいので言わないが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ