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第三話

街の外の森。

 少し歩くと、ぷるぷる動く水色の魔物が現れた。


「スライムだ!」


 ガルドは折れた剣を構える。


「いくぞ!」


 ブヨン、剣は簡単に弾かれた


「……あ」


 ミリスが杖を振る。


「ファ、ファイア!」


 蝋燭のような火が灯った。

 スライムは全く気にしていない。


 エナは両手を上げた。


「ヒール!」


 ……やはり何も起こらない。


 これは思った以上だ……と感じた。

 スライムはゆっくりこちらへ近づく。


 ガルドが叫ぶ。


「やばい! 逃げ――」


 その時。リンネが前に出た。


「下がってろ」


 三人が振り向く。


「……?」


 ベルトに手をかけた。


「太陽よ、我に応えよ」


 三人はどうやらだいぶ困惑しているようだ…


「変身!」


『ソーラーナイト!』

『ソーラーソード!ソーラーシールド!

  光り輝く太陽戦士! ライダーリンネ!!』


 眩しい光が森に広がる。


 次の瞬間。


 そこには、変身した姿のリンネが立っていた。


「……は?」「え?」「えええええ!?」


 俺は剣を構えた。


「行くぞ」

『ソーラージャンプ!』


 一瞬で距離を詰める。


「ソーラーソード!」


 スライムは真っ二つになった。

 三人は口を開けたまま固まっていた。

 すこししてようやくガルドが口を開いた。


「今のは何だったんだ?」


 それに続きミリスも言う。


「……あの鎧、体そのものみたいに馴染んでました。」


 エナも驚きを隠せない。


「か、かっこいい……!」


 俺は剣を収めた。


「言っただろ。変身するって」


「「「え、えええええええ!?」」」


 その後も――

 ズバッ! ピカッ! ドン!

 気づけば周囲には倒されたスライムが転がっていた。俺はその中心に立っている。


「……」


 三人は固まっていた。

 ガルドが口を開く。


「お前……めちゃくちゃ強くないか?」


 俺はスライムの残骸を見ながら言った。


「そうか?」


 ミリスが近づいてきた。


「いや、いやいやいや! 変身って何ですか!? どうやったの!? っていうかその鎧どこから出たんですか!?」


 エナも身を乗り出す。


「さっきの光の剣もすごかった! それ魔法なの!?」


 ガルドは腕を組んだ。


「お、お前、本当にFランクか?」


 少し考えた。


「……多分」

「多分!?」


 その時。

 ミリスが足元を指差した。


「これ……スライムの核じゃないですか……?」


 そこには、五センチメートルくらいの小さな青い石が転がっていた。ガルドが説明する。


「スライム倒すと出るんだ。これをギルドに持っていくと報酬になる」


「なるほど」


 その後もスライムを倒し――

 気づけば袋の中は核でいっぱいになった。


 ガルドが袋を見て言う。


「……こんなに集めたの初めてだ」


 ミリスも頷く。


「普通は三個とかですよ」


 エナが数えた。


「ええっと……二十七個あります!」


 俺は肩を回した。


「これは多い方なのか?」


 三人が声を揃えて言った。


「「「多すぎるよ!」」」


 しばらくして。四人は街へ戻った。

 冒険者ギルド。扉を開ける。


 中の冒険者たちが振り向いた。

 ガルドが受付へ向かう。


「スライム討伐、終わったぞ」


 受付の女性が微笑む。


「お疲れ様です。核はありますか?」


 ガルドは袋を置いた。

「では確認しますね――」


 袋を開けた瞬間。

「……え?」


 手が止まった。


「……」


 ギルドの空気が少し静かになる。

 受付はゆっくり言った。


「……こんなに?」


 ガルドは自信満々で言う。

「そうだ」


 受付は俺を見た。


「……え?Fランクパーティーが二十七体も倒したんですか?」


 ガルドが笑った。


「俺たちじゃない」


 親指で俺を指す。


「こいつ一人だ」


 ギルドがざわついた。


「おいおい、あいつ一人で二十七個だってよ」

「は?」

「新人だろ?」

「Fランクでレベル1じゃねえのか?」

「ありえねえ」

「嘘ついてんじゃねえか?」


  疑いの目がこちらに向けられる。

  ガルドが不満そうに言った。


「本当だって言ってるだろ」


 だが周囲の冒険者は納得しない。


「Fランクがそんなに倒せるわけねえ」

「核拾ってきただけだろ」

「ランク上げのためにどっかで買ったんだろ」


 俺は腕を組んだまま黙っていた。

 その時。ギルドの奥から、低い声が響く。


「……騒がしいな」


 一瞬で空気が変わった。

 冒険者たちが道を開ける。


 奥から歩いてきたのは――

 白い髭を生やした老人だった。


 だが、その体は細くない。

 長年鍛えられたであろう筋肉

 背中の巨大な黒い剣

 まるで猛獣のような目

 

 ミリスが小さく呟く。


「……ギルドマスター」

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