プロローグ 致命的なのはバグ
またまた新作です。
これはまだ手元のノートでは第3話に当たる部分までしか書けてませんが。
必ず全部書くので楽しみに待っていてくださるとうれしいです。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
最初、自分を見ているのかと思った。
あたしによく似た女の人が、誰か分からない異形の人に連れされれていく。茶髪の長い縮れ毛が強引に掴まれて。
でもあたしは痛くなかった。
異形の人は、女の人を無理やり馬車に乗せた。よく見ると女の人は、後ろ手に縄で縛られている。
あたしは不意に弾かれたように、女の人を助けよう! と思った。
あたしは叫ぶ。でも、なぜか声が出てこない。思わず自分の喉を触った。喉仏が出ている。慌ててあたしは自分を見た。
……男だ。あたし!?
あたしはオロオロする。でもそんなことをしてる場合じゃない!!
女の人はあたしを見て言った。その声はあたしの大事な人の声だった。
「助けて!!」
走り出そうとしたあたしの足を、突然誰かに蹴飛ばされてあたしは転んだ。そのまま地面に伏せさせられる。頭を押さえつけられていて、右耳が地面に擦れて痛い。ついでに両腕もねじりあげられた。
「ブレイブ、いやだ!!!」
やっぱりこの声の主は……。 そう思いきる直前、あたしの意識が消えた。
★ ★ ★
「……頭いったあーー……」
まだごわんごわんと鳴っているような頭を押さえながら、あたしは唸った。寒い。と思ったら下着姿だった。
あたしは思わず両腕を抱えた。柔らかい。見ると、女だった。あたしだ。
「……?」
周りを見回す。食べかけのフライドチキンが2つ、床に転がった空であろうビールの缶が3つ。
とりあえず、寒いので服を着る。白いセーターに、灰色の長パンツ。本当はシャワーを浴びたいがそれどころじゃない。
自己紹介が遅れた。あたしは、人気ゲームクリエイターの倉田 勇気、32歳と付き合ってちょうど3年になる、28歳、女。名前は黒沢 明日香。もうすぐ独卒つまり独身卒業予定だ。
その勇気が、今は隣にいない。また、独りでプログラムでもいじってるんだろうと、勇気の仕事部屋である「PC室」に行った。
でも、勇気はいなかった。それどころか、この家にすらいないということに気が付いた。PCはつけっ放しなのに。
「どこ行っちゃったのよ……」
スマホで電話をしてみた。……出ない。
メッセージもしてみた。勇気は、スマホは男性にしてはよく見て、こまめに返信をくれる方だから、きっと見てるだろうと思ったけど、既読にすらいつまでたってもならない。
……何か、おかしい。 あたしは思った。
PC室にもう一度行った。あたしたちの仕事場。あたしの机には、ゲームで使ったイラストが描き散らかしてある。その1枚を見て、ぎょっとした。
「俺たちが作った証に、プレイヤーとして、俺たちを入れておこうぜ? 永遠に俺たちが一緒に居れるように」
プロポーズされたあの時、勇気が言った。
だから、描いた一枚。そこには、あたしと勇気によく似た男女が、ウエディングドレスとタキシードを着ているイラストが描いてあった。
夢に出てきた女の人は、あたしだ。でもあの声はどう聴いても勇気のものだった。
1つの可能性が出てきた。
ーーあたしたち、ゲーム内で入れ替わっちゃってる? でも何で?
って何あたし変なこと考えてるんだろ。だめ。だめ。あたしは頭をぐしゃぐしゃと掻いた。
ふと、1枚のメモが目に留まった。
『設定と性別が逆になる致命的なバグを発見。救出に向かう。明日香、俺としてプレイしてくれ。 勇気』
「はああ!? ちょっと何言ってんのよ、勇気!?」
言いながら、メモを口にくわえて、素早くキーボードを叩いて、ゲームにログインし、ウェアラブルカメラを被った。
ゲームの中には、長めの黒髪、切れ長で鋭い瞳、薄い唇。どう見ても、「倉田 勇気」がいた。
最後までお読みいただきましてありがとうございました!!
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