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積極的




 昨日の放課後は一悶着あったが、私と涼木の偽装カップルという関係は継続されることになった。

 でもそれは今まで通りの関係ではなく、別の目的が新たに追加された。



 この期間に私を堕としたい涼木と……アイツのことなんて好きじゃないと証明したい私。



 なんだかよく分からない複雑な関係になってしまった気もする。



 それでも、私たちの日常が大きく変わることはないだろう。



 そう思っていたのだけど……







「ねぇ…」



「どうしたの先輩?」



「いや、なんか……近くない?」



「気のせいじゃない」



 絶対に違う。



「前までこんな距離感じゃ無かったでしょ!?」



 私と涼木の距離は少し動くだけで肩がぶつかるんじゃないかと思うぐらいの近さだ。



 というか、既に何度かぶつかっている…



「そうだっけ?」



「そうよ」



「まあ、先輩が好きな気持ちが溢れちゃっただけ」



「そ、そう」



 何よそれ…そんな事をストレートに言われたらなんで返せばいいのか分からないじゃない…



「じゃあ行こ」



 そう言って私の手に自分の手を絡めてくる涼木。



「ちょ! そこまでは許してない!」



 周りには通学中の生徒がいるなかで、手を繋いで登校するなんていう羞恥プレイは私にはできない。



「恥ずかしいの? 俺は平気だけど、先輩がどうしても嫌だっていうならやめるよ?」



「べ、別に恥ずかしくないわよ!」



「まあ俺は先輩の照れた表情見れたから既に満足だけどね」



「誰が照れてるって! 別にこれぐらい平気よ!」



「じゃあいいじゃん」



「そういう問題じゃなくて! なんで私がアンタと手を繋がなくちゃいけないのよ!」



「だって俺たちカップルだし。カップルだったら別にこれぐらい普通じゃない?」



「そ、それは…そうかもしれないけど…」



 確かにコイツの言う通り、恋人だったら普通に手ぐらい繋ぐだろう。そうなると周りに私たちが恋人だと信じさせるには必要なアピールなのかもしれない…



「本当に嫌なら別に無理しなくていいよ。先輩が嫌がることしたくないし」



 宣言通りに手を離そうとする涼木。その顔はなんだか寂しそうに見えて…自分から手を伸ばし



「ま、待って!」



「何?」



「別に嫌じゃないから…」



 ああ、私は本当にどうかしている。自分から涼木の手を掴みに行くなんて…

 


 でもこれは涼木を男として好きだからではない。

 私はただ…このまま手を離したら負けたような気がしただけで…



 断じてコイツと手を繋いでいたいなんて思ったわけではないし、ましてや手が離れそうになった瞬間に寂しいだなんて感じてない。



 だって私が男相手にそんな事を思うわけないから…

 

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