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ナンパ



 土曜日。

 今日は涼木とのデート日なのだが、早めに着いてしまった私は奴を待ち合わせ場所で待っている。



「うん、今日も可愛い」



 暇なので待ってる間にスマホをいじろうとしたら、画面に反射した自分の顔を見ながら無意識に呟いていた。

 我ながら前世の頃と比べたら考えられないくらいのナルシストになってしまったものだ。



 街中でこんな発言をしてしまったのは、自分からデートに誘っておいて私より到着するのが遅い涼木がいけない。



「ねぇ君1人? 暇なら俺らとお茶でもしない?」



「俺たち奢っちゃうよ」



 ほら、涼木が来るの遅いからナンパなんてされる羽目になる。

 


「結構です」



「そんなこと言わずにさー」



「モテない可哀想な俺たちを助けると思ってさー」



 モテない可哀想な男は駅前で堂々とナンパなんかしないのでは?

 そもそも明らかにナンパ慣れしてそうだし。日常的にやっていそうだ。



「彼氏がいるんで」



 こういう時に彼氏がいるって理由を使えるの便利だなーと思う。

 まあ、彼氏がいなくても知らない相手ならバレる心配もないから嘘ついてもいいんだけど。



「えー、俺たちにしない?」



「きっと俺たちの方が彼氏よりカッコいいって」



 いや、それは絶好にない。確かにこの2人はちょっとだけカッコいいけど、涼木のイケメン具合には絶対に勝てない。

 実際にどっちがカッコいいか聞かれたら、100人中99人がアイツのことを選ぶと思う。



 涼木はムカつくことに、その辺のアイドルが霞むぐらいのイケメンだから。



 私も男だった前世にあれぐらいビジュアルが欲しかった。そうすれば彼女の1人や2人や3人は作れてただろうに。



「結構です」



「そんなこと言わずにさー」



「なんなら彼氏も一緒でいいから」



 それにしても、この男たち本当にしつこいな。どう考えても脈がないんだからとっとと諦めろよ。




「俺の女になんか用?」



 時間の無駄だし、このナンパ男たちいい加減に消えてくれないかなーと思っていたら涼木がやっと来た。



「え、何このイケメン…」



「彼氏が来たんでもういいですか?」



「え、ちょっと! というかこのイケメンが彼氏なの!?」



「行こうぜ先輩」



「無視すんなよ!」



「あ…!」

 


 怖っ!

 威圧感凄すぎ。自分に向けられたわけじゃないのにゾクッとした。



 そんなものを向けられたナンパ男たちはたまったものではなかったのだろう。逃げるようにして去っていった。

 


「ヒッ! な、何でもないですー!」



「俺たちはこれで失礼しますー!」



「大丈夫?」



「大丈夫だけど、アンタが来るの遅いからナンパされたじゃない」



 でも、涼木の雰囲気は少し怖かったけど、ナンパ男たちをあっさりと撃退したところにはカッコいいと思ってしまった。



「先輩が来るの早いだけじゃね」



「別にそんなことないわよ」



「もしかして、俺とのデートが楽しみすぎて早く着いちゃった?」



「違うわよ」



「本当に?」




「本当よ。何で私がアンタとのデートを楽しみにしないといけないのよ」



「俺は楽しみすぎて全然寝れなかったけどね」



「な…!」



「先輩との初デートだし」



 何その不意打ち!

 なんでもないような顔してサラッと恥ずかしいこと言って!



 私は絶対にドキッとなんかしてないからね!



「そう。じゃあ早く行きましょ」

 


 赤くなってるかもしれない顔を隠すように私は歩き出す。



「先輩」



「なによ?」



「店の方向そっちじゃない」



「し、知ってるし…」



 ああもう恥ずかしすぎて死ぬ。今日の私は何かおかしい。きっとそれもアイツのせいだ。


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