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アタシの友達



「佐伯さんって1年の涼木くんと付き合ってるの!?」



「流石ね佐伯さん! あの噂のイケメンとお付き合いしてるなんて!」



 アタシが在籍しているクラスでは、朝からとある生徒の話題で盛り上がっている。



「嘘だろ! 俺らの佐伯さんが他の男に取られるなんて!?」



「今まで数々の告白を断ってたのは実は俺の事が好きだからじゃなかったのか!? これから俺は何を目的に生きていけばいいんだー!」



 女子は恋バナで盛り上がり、男子は優子に彼氏が出来たことに嘆いている。



「優子!」



 そんな渦中の人物であり、アタシの友人でもある佐伯優子に私は話しかける。



 彼女との出会いは漫画みたいな劇的なものではなくて、たまたま1年の最初に同じクラスで隣の席だったというだけだ。



 隣の席に座る同性ということで、あわよくば友達になれないかなとアタシは彼女に話しかけた。

 優子とは波長が合うのか、話していて楽しかったし、一緒にいると居心地が良かった。



 だからアタシたちが仲良くなるのに時間はかからなかったし、気がつけば友達になっていた。



 そんな彼女に対する私の第一印象はとにかく顔がいいだった。

 そう、この女はムカつくぐらいに顔がいいのだ。それこそ、街を歩けば10人中10人が振り返るぐらいには。



 さらには顔だけじゃなくてスタイルも抜群なのだ。制服を押し返すあの巨大な山脈は反則だ……



 クッ、アタシの何がいけないというのか。下を見れば悲しいぐらいの絶壁。小学生の頃から毎日のように牛乳だって飲んでいるのに……



 そんなスタイルもビジュアルもいい彼女はとにかく男子にモテる。

 


 だけど、男なんてよりどりみどりで選びたい放題の彼女に彼氏が出来たことはない。男になんて全く興味ありませんっていう感じだ。



 しかし、そんな優子に恋人が出来た。これはもう気になりすぎて夜しか眠れないレベルだ。



「どうしたの綾香?」



「どうしたのじゃないよ!? 涼木くんと優子が付き合ってるってマジ?」



 さっそくアタシはことの真相を優子に確認する。



「あー、ちょっと来て」



 流石に教室の真ん中で話すのが嫌なのか、優子は廊下に私を連れ出した。



「それでどういうことなの?」



「本当に付き合ってるわけじゃないのよ」



「え?」



 どういうこと?



「なんというか……成り行きで偽装カップルをやる事になったみたいな」



「偽装カップル?」



 何その漫画みたいな展開。ちょうどアタシが読んでる少女漫画みたいだ。



「そう。お互いに異性よけで付き合あうことになったの」



「現実でそんなこと起きるんだ」



「ま、そういうことだから。他の皆んなには内緒にしておいて」



「了解」



「じゃあ、教室戻ろうか」



「うん」







・・・







 放課後。

 アタシは優子にこの後の予定を問いかける。



「優子はこのあとデートだったりするの?」



「しないわよ」



「えー、本当に?」



「ええ、今のところ…」



「そろそろ現実みようよ優子」



「なんのこと……?」



「あそこで女子に囲まれてるの涼木くんでしょ」



「…」



「あ、こっち来た」



「あー」



 彼がコッチに向かって来たことでめんどくさそうな表情を浮かべる優子。



「デートしよ先輩」



「は?」



「じゃあ行こう」



「ま、待って!」



「この後は予定があるから!」



「予定?」



「そう、そこに座ってる綾香とお茶をする予定が!」



 そんな予定は初耳だ。



「そうなの?」



優子に言われてコチラを見る涼木くん。



「大丈夫。特に予定は無いから優子のことは好きにしていいよー」



「あざす」



「どういましましてー」



「ちょ、私の意見はー!」



 優子は叫んでいるが、問答無用で涼木君によって教室から連れ出せれて行った。



 ごめんね優子。裏切り者っていうようにアタシの事をみていたけど、そっちの方が面白そうだったから。

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