合コン4
「じゃあ皆んな揃ったことだし自己紹介から始めようか。僕は丸山悠太。趣味はボルタリングとカフェ巡り。」
「へぇー、そいつは初めて知ったぜ悠太。俺は一度たりともお前がそんなことしているの見たことがないけどな」
「カフェ巡りは男同士でしたいものじゃないからね。ボルタリングも気が向いた時に1人で行きたいんだ」
「ほーう。まあ、そういう事にしといてやるよ」
「もう僕のことはいいでしょ。そんなことよりも早く自己紹介しなよ将吾」
「そうだな」
こんな感じで最初に自己紹介をするところから合コンは始まった。
最初から彼女の欲しい男2人がぶつかり合っている。
そして女子から1番人気だったのはやはりイケメン君こと八神蓮だった。
さっきの自己紹介で初めてフルネームを聞いたけど、顔だけに限らず名前までカッコいいのはずるいと思う。
そんな彼は開始早々から女の子たちに質問攻めにされたのだが……
「蓮さんは休みの日は何してるんですか?」
「別に何も」
「趣味はなんですか?」
「特にない」
ただ、当の本人が女子たちに全く興味がないので反応が悪い。
「好きな異性のタイプはなんですか?」
極めつけはこの質問に対する回答…
「2次元の女の子」
きっと女子たちは、ならなんで合コンに来たとツッコミたくてしょうがないだろう。
でもしょうがないのだ。だってあの男はアニメのフィギュアに釣られて来ただけなのだから。
女子たちはイケメン君と仲良くなろうと質問を繰り返したが返答が悪く。結果として空気が悪くなり気まずい雰囲気が流れている。
そんな中で先陣を切ったのはカフェ巡りの悠太だった。
「綾香ちゃんは好きな食べ物とかあるの?」
「アタシですか。そうですね、パスタとか好きですよ」
「そっか。そしたら僕パスタが美味しいお店を知って」
そのまま会話の流れで食事に誘おうとするが、そこで隣から妨害があった。
「あ、手が滑った」
「痛っ! 何するのさ将吾」
「悪い悪い。それより綾香ちゃん今度パスタの」
「あ、手が滑った」
「痛っ! 悠太テメェ! わざとだろ!」
「それはこっちのセリフだわ!」
どうやらこの2人は綾香狙いのようでお互いに邪魔をし合っている。
1番の目玉であるイケメン君はやる気がなく態度が冷たい。そして他の2人は綾香を取り合って醜い争いを続けている。
当然そんな事をしていたら合コンが盛り上がるわけもなく、ぎこちない会話を偶にしながら黙々と食事をするという地獄絵図になって合コンは終了した…
「なんか凄かったね。」
合コンが終了したのを見届けた私の第一声だった。
「…」
涼木から反応が返ってこない。
「涼木?」
返事ないので隣を見てみれば目をつぶっている涼木。
もしかして寝てる…?
「寝てるの涼木?」
本当に寝てるみたいだ。今日は私が付き合わせちゃったけれど、コイツには全然関係ないことだし退屈だったかな。
「おーい」
「…」
一応もう一度声をかけて見たけど返事はない。
改めてまじかで見ると本当に綺麗な顔してるなー思う。
無防備に寝ているところなんて何だか可愛らしい。
だからなのか、もっと涼木の顔を見たくて、自然と顔を近づけてしまった。
「いやいや…落ち着け私」
何で男の顔なんか覗き込んでるの? 冷静になった私は慌てて顔を離した。
でも、私が顔を離した瞬間に寝ているはずの涼木の目がパチリと開いた。
「キスしないの?」
「し、しないわよ! というかアンタ起きてたの!?」
「うん」
狸寝入りだったのか!
「いつからよ!?」
「先輩からの視線を感じてさっき起きた」
「さっき?」
「そう。先輩が「寝てるの涼木?」って俺に話しかけて来た時から」
「ほぼ最初からじゃない!」
「そんなに寝てる俺のこと見たかったの?」
「べ,別に…」
「先輩ならいくらでも見ていいよ」
「いいわよ!」
「その代わり俺も先輩のこと見るね」
そう言うやいなや私のことを見つめてくる涼木。
ああ、何でコイツに見つめられるだけでこんなにドキドキするんだろう。
身体が熱くなってまるで自分が自分じゃないみたいだ。
ああ、本当に私はどうかしている。
こんな男に心をかき乱されるなんて。




