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動揺


「あー羨ましいー!」



「朝からどうしたのよ綾香」



「どうしたもこうしたもないよ! 朝から見せつけるようにアピールしてくれちゃってさ!」



「何の話し?」



 なんか事件でもあったのだろうか? 綾香の他にに荒ぶっているクラスメイトは見受けられないけど。



「優子と涼木くんだよ!」



「私たち?」



「そうだよ! アタシもイケメンの彼氏とイチャイチャしたいー!」



「別に私たちはイチャイチャなんて…」



「アタシは見ましたよ! 朝から手を繋いで登校なんてラブラブですなー」



「からかわないでよ綾香」



 アレを友達に見られてたのかと思うと余計に恥ずかしい。



「からかってないわ!! 本気で羨ましいだけだわ!! リア充爆発しろ!」



 にしても綾香は本当に見た目と中身のギャップがすごい。

 見た目はクール系美少女で寡黙そうなのに、実際にはテンションが高くてよく喋る。



 初めて話した時はそのギャップにびっくりしたのが懐かしい。



 それにしても、コミュニケーション能力の高い美少女JKなのに、なんで綾香には彼氏が出来ないんだろう?

 


 そこはかとなく漂う残念臭を男子たちは見破っているのだろうか?



 だとしても、もっとモテもいいとは思う。前世の私だったら異性として好きになってると思うし。



「なんかごめん…」



「くー! アタシも優子みたいに少女漫画みたいな恋がしてみたい!」



「少女漫画って…それは大袈裟じゃない?」



「大袈裟じゃないわ! 何なら優子たちの関係性だけで漫画が一つ描けるから!」



「そうなの? 少女漫画は読まないから分からないけど」



 まあ、確かに偽装カップルなんて漫画みたいな話しかもしれないけど。



「くぅ……! つい最近まで恋愛なんて興味ありませんみたいな顔でスカしてたくせに!」



 本気で悔しそうな表情を浮かべる綾香。こんなシーンでも可愛いく見えるんだから美少女は得だなーと思う。



「綾香には言ったでしょ…私たちの関係」



「いやいや、本当に気づいてないの優子?」



「何が?」



「本当に自覚なしか…」



「だから何がよ?」



 さっきから綾香は何の話しをしてるのだろう?



「だって優子大好きじゃん」



「何を?」



「涼木君のこと」



「は?」



「アタシからみたら優子はとっくのとうに彼に堕ちてると思うけど」



「私は堕ちてないわよ」



 失礼な。



「ふーん、じゃあアタシが涼木君を狙ってもいいの?」



 急なそんな事を言い出す綾香。



「好きにすればいいじゃない…」



「本当にいいの?」



「別にいいわよ」



 なんでだろう…想像するだけで胸が痛い。



「カッコいいしアタシの好みだから、本当に狙っちゃうよ。もしそうなったら優子は応援してくれるの?」



「う…」



 どうしよう。

 それはなんか嫌だ。



 胸がモヤモヤする…



「ほらー。動揺してるじゃん。アタシに涼木君を取られたくないんでしょ」



「違うし…ただタイミング的に今は困るなーって思っただけだし」



「本当にー?」



「本当に…」



「ま、今のは冗談なんだけどね。アタシは友達の好きな男を狙ったりはしないから」



「別に好きじゃないし…」



 なんか嫌だ。それはきっと涼木がどうこうではなくて、綾香をアイツに取られるのが癪に障るだけだ。



 だから、綾香が涼木を狙わないと言った時に少しホットしたのもそれが理由だ。



 そ、それに……あ、アイツがす、好き…なのは…私だから…もし綾香が涼木を狙っても失恋をすることになる。



 友達にはできるだけ悲しんでほしくないから、だからそれを回避できて良かったと思っただけだ。


 

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