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第三者目線

作者: 王奈優真

僕は学校が始まる1時間ほど前に起床した。母はすでに朝食を作り終えてテレビを見ている。

家を出る準備を済ませる。庭に置いてある自転車を取りに行く。

高校までの道のりは自転車で15分ほどだ。遠いわけでもない、人と比べれば比較的に近いこの距離を

朝の僕には憂鬱に思えて仕方がない。

家を出てすぐの角で顔見知りのおばあさんと会釈を交わしたりしながら

川沿いの道を抜けて走っていく。そろそろ寒さも本格的になってきたなとかそんな他愛もないことを

考えているうちに学校に到着した。駐輪場に自転車を止めて校舎に向かう。

下駄箱で靴を履きながら思う。校舎は5年前に改装されたとはいえ、少し汚い。

雨上がりの木の匂いのような湿っぽいあの学校独特の匂いがかすかにする。

自分のクラスは三階にあるので階段を使ってのぼっていく。

今日もホームルームの始まる10分ほど前に教室に到着した。今日は1時間目から

数学があったよなとかそんなことを考えながら、教室のドアを開け中に入ると僕は妙な空気を感じていた。

いつもならまだこの時間はクラスのうちの、いわゆる一軍系の女子や男子が何人かで

集まって人の机を占領しつつ話込んでいるのだが、今日は違う。全員、正確に言えば2,3人を除いて

なぜかもう着席している。その誰もが口を開かずスマホを見ているか、

静けさに耐えかねたように、貧乏ゆすりをしている者さえもいる。

この周りの様子を見て不思議に思いながらも僕は隣の席の難波にそれとなく話題を振ってみることにした。

こいつとは中学も同じで仲も良い方で朝はよくスマホゲームについて話したりしている。

僕が席につくといつもは向こうから話題を振ってくるはずなのにそれが今日はなかった。

まさか、この不穏な空気は僕に対するものなのか、とかそんな被害妄想的なことをふと思っていた矢先、そんな予感は杞憂に終わることとなる。「昨日の事件、、いやわざわざ言わなくてもいいよな」

彼はポツリとそう口にした。何を言っているのか理解できなかった。なんのこと?と聞こうとしたが

何故か聞けなかった。聞いてはいけないということが直感的にわかったからだ。






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