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第一話 The Beginning


 ――耳が痛くなるほどの静寂。


 屋敷中に香っていた花の香りはすっかり消え去ってしまった。毎日、その花を活けてくれていたメイドたちもいなくなってしまった。


 今はただ、むせ返るほどの鉄の匂いに耐える。


 ――嗚呼。わたくしを庇った執事も、わたくしを逃がそうと手を引いてくれた侍女も、この屋敷で働いていたたくさんの命が消えてしまった。


 わたくしを愛してくれたお父様、お母様もまた――。


「考え事なんて、随分と余裕があるようだね」


 その声は、気を許してしまえば一瞬で人間を魅了してしまうかのように美しかった。


「ほら。お前は私だけを見ていればいいんだよ、―――」


微笑みの気配を滲ませながらわたくしの名を呼ぶ、声。


 幾度となくわたくしを貫く痛みに思わず零れそうになる声を殺すため、わたくしは強く唇を噛み締めた。


「――嗚呼…、いい顔だ…。本当に美しいね、お前は。私がお前の願いを叶えてあげるからね」


 もう対価は支払われた。わたくしの願いは、ただひとつ。


 さあ、始めましょう?


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