ヒロインに何着せる?~キャラクターお洋服講座!~【現代恋愛作家様向け】
作家のみなさんは現代ラブコメを書く時、ヒロインに何を着せていますか?
学園モノだから、ヒロインはずーっと制服を着ている?祝日も?盆も?正月も?
そんなわけはありませんよね!
休日デートには私服を着ますし、お風呂上りには部屋着やパジャマに着替えますし、夏には水着や浴衣を着る……そんなヒロインが多いはずです。
女性作家ならいつも着ているような服を書くだけですから、そんなに負担はありません。自分の着ている服を参考に、想像を膨らませるだけでいいでしょう。
しかしTwitterを眺めていると、どうやら男性作家にとっては「イマドキ女子の服装」を書くというのはかなり難しいらしい、ということを知ったのです。
まずとっかかりのイメージすら湧かない!
こういう服って、なんて呼べばオシャレに聞こえるんだろう?
そもそも女の子の服に興味ない。でも俺の書くヒロインをより可愛くしたい!
これは、そんな「女子ファッション難民」な作家さんに向けて、かつて銀座や仙台ほか地方を転々としながらアパレル販売員をしていた私が、ゆる~く「お客様のヒロインに何を着ていただきましょう?」とご提案するエッセイです。
<服装はキャラ設定の第一歩>
表題の通りですが、「その女の子がどんなタイプのヒロインなのか?」を提示するのに、服装描写は役に立ちます。
制服を着ていれば、学生。
スキニーパンツにだぼっとしたブルゾンなら、痩せ型の活動的な女の子。
ノースリーブニットにロングスカートを履けば、お姉さん系。
などなど、キャラ付けをしたり、ヒロインの魅力を際立たせたり、時に服装が変わったことで心情の変化を読者に知らせることも出来ます。
いつも上下ジャージだったヒロインが、主人公に出会ってからマキシワンピにジャージの上着を合わせるようになったりすると「ちょっと主人公のことを異性と認識して来たらしい……でもジャージの着心地は捨てき切れないらしい」ことがうかがえます。
服は、キャラクターの一番外側の部分。着せたり脱がせたりすることで、はっと目を引く展開を作り出すことも可能なのです。
<そんなこと言われても難しい。時間がないから手っ取り早くうちのヒロインを今っぽく、かわいくする方法を教えて!>
そんなあなたにおすすめなのがWEARというワードローブ投稿サイトです。
これは若い女性(男性やキッズも)が「今」着ているコーディネートがランキング形式(又はタイムライン形式)で閲覧できるサイトです。このランキングの常連になると「ファッショニスタ」「インフルエンサー」などと呼ばれるようになり、企業案件を任されてモデルをしたり、商品開発に携わったりすることもあります。
「小説家になろう」ならぬ「ファッショニスタになろう」。
これがWEARというサイトなのです。
WEARがインスタより便利なのは、おしゃれに興味のある人が今検索している「沸騰中」ワードを知ることができたり、タイムライン順に並べることによって「今」の季節にどんな人がどんなイベントでどんな服を着ているかが一目瞭然であるという点です。
「今の若い子が着がちな(買いがちな)服って何だろう」
「キャンプをする時の女子の格好って、どんなの?」
「おばさん(おばあさん)がするおしゃれって、どんなものがあるの?」
「服装自由なOLさんは、一体毎日何を着ているのだろう」
そういった疑問にも簡単に検索で辿り着けます。
画像から、自分のヒロインに着せてみたいコーディネートを選んで描写するとよいでしょう。
このサイトはメンズ服も多く掲載されています。女性作家さんも、年下のヒーローに何を着せるか悩んだ時、ぜひこのサイトを活用してみてください。新しい発見がありますよ。
<服にはどんな種類があるのだろう?言葉を知っておくと創作に便利!>
お洋服販売業界では、上半身に着るものをトップス、下半身のことをボトムスと呼びます。
これはお洋服の販売サイトを見ると非常に細かく分類されています。気になる方は「作家たるもの語彙を増やすのも仕事」と思って、今からでもそういったサイトを覗いてみることをお勧めします。
☆トップスには、こんな種類があります。
上着、コート、カットソー、Tシャツ、ブラウス、ニット……
☆ボトムスには、こんな種類があります。
スカート(ミニ・膝丈・ロング)(フレア・タイト)
パンツ(フレア・ワイド・ストレート・スキニー)ジーンズ、トラウザー……
☆ワンピースのほか、ツーピースという服が存在します。ツーピースは、現在ではセットアップと呼ばれています。便利で現代女性にとても人気の服のようです。
☆靴(スニーカー、パンプス、ハイヒール、サンダル、ブーツ……)
☆バッグ(ハンドバッグ、斜め掛けショルダー、リュック、トート、クラッチバッグ……)
☆部屋着
ジャージ派?パジャマ派?まさか浴衣?ええっ、まさかのバスローブ派……?
ここまで描写できると、主人公とヒロインはかなり仲が深まったのだと思わせることが出来ますね。
☆下着
ブラ・ショーツ
☆色も重要な要素
パステルカラー、くすみカラー、ビタミンカラーなど、色には色んな言い回しがあります
「パステルピンクのスカート」「くすみピンクのリップ」など、同じピンクでも様々なバリエーションが作り出せます。
色合いで服を説明すると、ヒロインの解像度が上がりますね。
<流行っていない要素を省こう>
ラブコメの読者層は高校生~20代くらいだと言われています。
それ以上の年代の作者さんは、彼らと青春時代がズレています。そういうわけで、悲しいかな読者層が困惑してしまう語句(死語)を書いてしまいがちなのです。
以下は、現在は使用されていないオシャレ用語となります。ご注意ください。
※1
「パンティ」という呼び方は多分、一部の小説の中にしか存在していません。女性がショーツのことを「パンティ」と呼ぶことはありません。「パンティ」という言葉をシリアスな場面で登場させると一気に古臭い恋愛小説になってしまいます。読者層が若いラブコメでは「パンツ」か「ショーツ」と呼びましょう。(何回パンティ言うねん自分)
※2
ミニスカニーソはコスプレ界隈以外では廃れました、ご了承ください。とにかく女性が膝上スカートを履かなくなったのです。
※3
森ガールは全員森に帰ったようで、都会にはもういません。
※4
エビちゃんOLはもういません。派手髪&膝上丈花柄ワンピは20年前の流行のようです。
※5
実は「流行」という言葉自体が流行遅れとなりました。
ミニスカだろうがボディコンだろうが、ヒロインがそれを着たくて着ているなら、着せといてあげましょう。今は着たいものを着る時代です。
(じゃあ今までの説明書きは何だったのだ、と思われたかもしれませんが、時流に沿わない服を着せるためには「そういうのを着たい子」であるという説明が必要、というわけなのです)
<ブランドやメーカーの名称を使って服を想像させるのは悪手>
どのブランドもその年によってブランドコンセプトが変わるので、○○の服と表記したところで誰も想像つかなくなってることが多いです。
また、価格帯も数年後には高く(低く)なっている場合があるので、当時書いていたキャラクターとの矛盾が生じやすいです。高校生ヒロインが買えるはずのない価格帯の服やバッグなどを持っていた場合、読み手を困惑させてしまいます。
最近は不景気で、人気だったはずのブランドやメーカーがいきなり経営破綻または日本から撤退!などという事態も多いので、使用の際は注意が必要です。
末長く違和感なく読んでもらうためにも、いたずらにブランド名を乱用することは避けた方がベターです。
<ヒロインにあげるプレゼントについて>
ヒロインにハートモチーフのアクセや、デカいぬいぐるみを事前描写なくいきなりあげるのはやめておきましょう。
服に合わせづらい、インテリアに合わせづらいなど何かとお荷物になるので、現代の女性は余り喜びません。
読者からすると、ちょっと違和感を抱くプレゼントとなります。
あと、化粧品やハンドクリーム・香水は、その人の肌に合う合わないがあり、絶対女子自身が選びたいものなのです。あげると負担になってしまうので、これもいきなりさっとあげるものとしては不適当です(この間あげたの使った?とか聞かれたら辛いのですよ)。
高価/高級なものだからお肌に安心、というわけでもないようです。
もし小説内で主人公がこういったものをプレゼントする場合、ヒロインの欲しいものを前もって探ったり、一緒に買いに行く(選びに行く)展開を加えておくと、女の子がそれらを貰って喜んだ場合の説得力が出ます。
現実でも虚構の小説内でも、ヒーローはヒロインのことを深く知っておいてあげましょう。
以上です!
皆さま、ヒロインにぜひかわいい服を着せてあげて下さいね☆