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アイドル・オン・ステージ


宇佐見 薫子 18歳 160cm 50kg

スポーツ万能 ダンス経験あり

趣味はカラオケ 特技はアクロバット

親族の薦めで御社のアイドルを知り応募 



アイドルっぽいな、それ。

ガチっぽいな、それ。


神にはなれないしなりたくもないが、偶像にはなれそうです。イエス!アイドル復活祭!十字架はいりません、この身一つで蘇らせます。


同僚から妹属性のために宇佐美の名字を借りてやった。そう珍しい名字ではなく潜入捜査がバレる可能性は低いし、兄妹となると捜査現場への手引きもしやすいのでね。まぁちょっとした遊び心ってやつだ。

復讐心?アイヘイチュー?なんのことですかね



「失礼します」


心配していた体格はめでたくスポーツガチ勢少女に収まった。その恵まれた体躯を見せつけるように姿勢良く、自信有りげでハキハキとした声質を使いながらオーディション会場である雑居ビルの一室に入る。


外見由来の可愛らしさは最初から諦めていたので、狙いを一点に絞り中性的な色気を纏う。


「本日は当事務所のオーディションにお越し下さりありがとうございます」


「こちらこそ、審査のお時間を取っていただきありがとうございます」


面接官が一人机越しに女性が座っていた。いかにもできる人といった風貌だ。男性のプロデューサーだと思っていたなかで突然現れたバリキャリに本職である公僕の精神が憧れで疼く。促されてパイプ椅子に腰掛け軽く挨拶をした後に、彼女は真剣な目でこちらを見た。


「それでは、まず歌の審査をさせて頂きます。歌の方はアイドルソングであればジャンルも年代も問いませんが、必ず1曲歌いきってください」


なるほど、ありがちな想定内。

それじゃ少し攻めますか


「御社の劇場デビュー曲を歌わせて頂きたいです」


「カラオケ機には収録されていませんが、」


「どうしてもグループの関係者の方に私が一番大好きでアイドルを目指すきっかけになった歌を聞いていただきたいのです。」


審査員は無言で言葉の続きを待つ。



「アカペラで歌わせてください」


面接官はカラオケ機器で歌えとは言ってないのでね、自己アピールへの貪欲さは必要ですよね。


「……いいでしょう。ですが、オケ音源をこちらで用意しますので合わせてください」


「ありがとうございます!」


狙い通り、いやそれ以上だ。

流石にアカペラで歌わせてくれといった子はいないだろう。それに劇場デビュー曲だ、思い入れがない方がおかしい。幾度となくデビューのためにアイドルたちが練習している姿を見て、本番のライブで披露された回数も桁違いだろう。


それだけ彼女たちのパフォーマンスが記憶に残っているはずだ



それをもし上書きされたら?






急遽持ち込まれたCDデッキからメロディが流れ始める。

元メジャーアイドルが練りに練った自己プロデュースを披露しよう。



まずはアイドルらしい可愛らしさは歌声のギャップでカマす。

フリが始まり完コピした振り付けを魅せつけつつオリジナルメンバーの歌唱に寄せた歌声で万能プレイヤーさをアピール。

卒業メンバーのパートや全体歌唱の部分は私が作り上げたボーイッシュで強い歌声をぶつける。模倣だけではなく強い個性を持っていることを知らしめる。

もちろん観客である面接官から視線は逸らさない。


アイドル オン ステージ



どうだ即戦力だぞ 

喉から手が出るほど欲しいだろう


「はい。ありがとうございます」


あっ、あれ?表情が微妙そうなんだけど


「それでは、休憩を挟んで10分後に面接です。面接室の隣の部屋が待合室ですのでそこでお待ちください」


「はい、よろしくお願いします」


面接までいったってことは、一応大丈夫なのか……?

面接官がなに考えてるかわからんが、眉間にシワが寄っていてすごく怖い。思い出ぶち壊されて怒らせちゃったかな。どこもかしこも仕事にストレスは付きものってことで一つ許してほしい。圧迫面接は辞めてください……


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