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128.2 ある元孤児の冒険者の話

4巻 とらのあな購入特典SS


 私、アルル。元孤児の冒険者!

 とはいっても本当に駆け出しも良いところなんだけど……。

 仲間達と冒険者で一攫千金を夢見て、少し早目に孤児院を出た、孤児あがりの冒険者にありがちの経緯で王都まで出てきた、これまた在り来たりの経歴だったりするんだよね。まあ、孤児なんてそんなのばっかりだからウダウダ言ってても仕方ない。

 でも、王都にきてからは苦労の連続で、これから先もやっていけるのか、ずっとずっと不安だった。そもそも早めに孤児院を出たのだって、あの子があんな事になったからだし……。

 そんな不安をずっと抱えたまま日々を過ごしていたら、死んだって聞いていたあの子に再会した。まさか、生きてたなんて!

 孤児院に居た頃の私はちょっと捻くれてて、素直になれなくて、あの子、レンに素っ気無い態度を良く取っていた。でも、居なくなってからずっと後悔してた。もっともっと仲良くしたかった、トリエラの事が羨ましかった。だから、レンに再会してからはもっと素直になって、仲良くしようって思って、そうする事にしたんだけど……。

 ……うん、ちょっと会わない間にあの子、なんだかよくわからないくらいにすごい子になってた。

 まず、すごい可愛い美人さんになってた。綺麗な顔だとは思ってたけど、ちゃんとしたらこんなになるなんて思っても居なかった。

 つぎに、なんか色々武器とか貰った。全部自作らしい。……自作? これが自作? 普通に店で売ってるヤツより凄そうなのに……?

 そして、すごい料理が上手になってた。運よく生き延びてからずっと1人で頑張ってきたって言ってたから、必要に駆られて上達したんだろうけど、私としてはちょっとショックだった。

 私も孤児院に居た頃から料理とかに興味があって、今の仲間達との生活の中では時々料理の真似事みたいな事もしてた。みんなにも美味しいっていってもらえて、将来は料理屋とか開けたらいいな、なんて漠然と考えたりもするようになってた。

 でも同じくらいの時間、冒険者をやってたレンの方がありえないくらい料理が上手になってて、正直すごい敗北感だった。

 いやいや、負けてられない! むしろレンにお願いして色々教えてもらおう! って思ってたら、レンの方から色々教えくれた。うう、同い年なのに色々負けてる……!

 その後も一緒に行動するたびに料理の事を色々教えて貰った。


 勉強を教えて貰った時にご飯を作った時。

 皆で頑張って借りた家に招待した時。

 孤児院の皆に会いに行った時。

 王都に帰る時。


 本当に色々な事を、凄く凄く丁寧に教えて貰った。お陰で自分でもはっきり分かるくらいに料理が上手になった。私の夢を応援してくれるって言ってた。

 ……私もうレンに頭上がらないや。


 いつか、レンに美味しい料理を食べさせて驚かせたいなぁ。


 そんな事を考えるようになったある日、レンにあんな事が起きるなんて思っても居なかった。……そしてレンはまた居なくなった。

 でも、大丈夫。きっとまたいつか会える。だからソレまでに料理の腕を上げて、レンの事を驚かせよう。


 ……よし、今日もがんばろう!

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― 新着の感想 ―
[一言] この子はきっと将来伸びる( ˘ω˘ )b
[良い点] おお!今回は元孤児の料理好きのアルルの話ですか? うん!限られた文字制限とは思えないほど内容が濃くて面白い! さて!次はどんなSSが読めるのか楽しみです♪ 期待してますよ~あし先生~☆
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