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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部2年 校外実習編
90/136

85※

「サラ。起きて」

「うぅん…ふわぁ…おつかれさまぁ…おやすみぃ…」

「こら」


 そんな会話が隣から聞こえてきた。お姉ちゃんとサラさんって、仲良いなぁ…妹として、ちょっと嫉妬してしまう。


「起きるからつねらないで…」

「起きてから言いなさい」


 どうやら頬を抓られて起こされたらしい。意外と起こし方が荒い…


 誰かが馬車から出て、その代わりに人が入ってくる気配がした。お姉ちゃんだろう。


「…起きてるの?」


 ……なんでバレるんだろう。目閉じてるのに。


「もしかして、起こしちゃった?」

「…大丈夫。ずっと起きてたから」

「……寝れない?」


 隣にお姉ちゃんが寝転がるのを感じて、目を開ける。


「外で寝るのは初めて?」

「…うん」


 お姉ちゃんは以前に野営する機会があったということを()()()ことがあったから、落ち着いているんだろう。


「まぁ仕方ないかなぁ……ねぇ、リーフ?」

「ん?なぁに?」

「…あまり、探らないでね」

「…っ!?」


 気付かれてた…?!


「…あなたがわたしを心配してくれてるってことは、分かってるよ。でもね?わたしだって知られたくないこともあるの。それは、分かってくれる?」

「……うん」


 お姉ちゃんがわたしに…ううん。わたし()に何かを隠しているということには気付いていた。だから色んな方面から探っていたのだけれど……それすらも、気付かれてたなんて……。


「…ごめんね。こんなお姉ちゃんで」

「そんなことっ!?」


 思わず大声をあげそうになったけれど、お姉ちゃんから口を塞がれた。


「…今はまだ。けれど、いつか必ず、話すから」

「…分かった」


 お姉ちゃんがこう言ったら、必ず話してくれると信じている。だから、わたしはもう探らないことに決めた。


「……寝れそうにないから、サラさんと一緒に見張りするね」

「…そう。分かってるだろうけど、気を付けてね」

「うん」


 イルミーナさんとヴィクターさんを起こさないよう、馬車から出る。すると、ナターシャさんがわたしに気付いた。


「あら、起きたの?」

「寝れなくて…」

「そう。じゃあ2人が見張るなら、わたしは少し寝ようかしら」

「そうした方がいいと思います」


 そうじゃないと、もし何かあった時に動きが鈍ったりで、ナターシャさんまで危険が及ぶかもしれないから。


「じゃあおやすみ」

「はい、おやすみなさい」


 ナターシャさんが馬車へと入り、わたしはサラさんの隣に腰を下ろした。


「まだ早いわよ?」

「寝れないので」

「そう」


 先程の会話は小声だったので、聞こえなかったらしい。


「…じゃあ少し、話をしましょ?」

「いいですよ。何を話しますか?」

「そうねぇ……」


 サラさんが顎に手を当て、考える仕草をする。


「…うん。じゃあ、リーフィアがなんでクーをあそこまで好きなのか、聞きたいわ」

「そこまで気になることですか?」

「聞きたいのよ。だって()()()思うところはあるのでしょう?」

「……そうですね」


 わたしはサラさんに聞かせるようで…自分にも聞かせるように話し始めた。




 

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