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時間が経つにつれ、教室にも人がちらほらと増え始める。しかし、大方見知った顔ぶれであった。
そしてほぼ全員が集まったと思しきタイミングで、教室の扉からある人物が入ってきた。以前クーリア達のGクラスを担任していた、ナイジェル・マンセルだ。
「げ」
「……マンセル先生。生徒の顔を見ての第一声がそれなのは、どうかと思いますよ」
サラが苦言を呈する。まぁ以前からの問題児が集まっていたのだから、思わずその声が漏れるのも無理はないだろう。
「…とりあえず、席つけー。出席取るぞー」
サラの言葉が聞こえていたのかどうかは分からないが、まるで誤魔化すように出席を取り始めるのだった。
「やった!お姉ちゃんの隣だ!」
「結局同じ並びになったわね」
リーフィアとサラ。その2人に左右から挟まれるようにしてクーリアは座っていた。これは高等部一年の時も同じだったのだ。
「…頼むから寝ないでくれよ」
クーリアと目が合った瞬間、ナイジェルがそんなことを口走る。しかし、その声色には少なからず諦めの色が含まれていた。一年間クーリアの担任をしてきて、クーリアの性格は嫌でも理解していたからである。
「……善処します」
そんなナイジェルの言葉に、クーリアがちょっとの間をあけ、そう答える。
まぁ隣にリーフィアがいるので、できる限り寝ることはしないだろう。
…凍りたくないので。
「とまぁほとんど見知った奴がほとんどだとは思うが……俺がこの教室の担任、マンセルだ。これからよろしくな」
ナイジェルがそう言って片手をあげる。教室にいた生徒は少し反応に困り、ただ苦笑いを浮かべるのだった……




