表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 終
75/136

70

「そろそろ行こっか」

「アウ!」


 クーリアが手提げ鞄にリーヴォを入れて、転移の準備を行う。


(…直接は怖いな。少し遠い)


 遠ければ遠いほど、消費する魔力は増加する。そして多くの魔力を用いるために、その制御も困難になる。なのでクーリアは、少し目的地から離れた、こちら側に近い場所へと転移することにした。


「…《テレポート》」


 目を閉じ呪文を紡いだその瞬間、クーリアの姿が掻き消える。




「……ちょっとズレたか」


 予想通りの場所より少しズレた場所へ転移してしまったが、誤差の範囲内であった。


(ここまでの距離を一気に転移したことってあまりないからなぁ…)


 そもそも使う機会がほぼないのだから、当たり前である。


「さて。リーヴォ、案内お願いしていい?」

「アウ!」


 クーリアが持つ鞄からリーヴォが飛び出し、森の中へと進み始める。一応クーリアも場所は分かるのだが、万が一迷っても困るので、リーヴォに道案内を頼んだのだ。




「っ!止まって!」

「アウ!?」


 森を進んでいると、急にクーリアが声を張り上げた。その理由が……


「グォォォン!!」


 雄叫びを上げながら、目の前に熊型の巨大な魔獣が現れたからだった。


(索敵はしてたのに…!)


 クーリアが思わず唇を噛む。

 夜になれば魔獣の活動は活発になる。それ故に反応の数は昼間の比ではなく、それら全てを脳内で把握することなど不可能。なのでクーリアは最低限の範囲を索敵していたのだが、それが仇となった。

 


「ちっ!」


 クーリアが魔導銃を引き抜く。試し打ちなどしていない。ぶっつけ本番だが、やるしかない。


「リーヴォ!」

「ガウ!」


 リーヴォが体長3メートルはあろうかという熊型の魔獣の足に噛み付く。魔獣の意識が、一瞬だけそちらへと向いたタイミングを、クーリアは見逃さなかった。


「喰らいなさい!」


 クーリアが引き金を引く。するとドパンッ!と重い炸裂音が響き、銃身から青白い輝きを放つ弾丸が放たれた。それと同時に銃身の後方がスライドし、白煙を上げながら薬莢が排出される。

 その弾丸は真っ直ぐ狂いなく、まるで吸い込まれるようにして、魔獣の胸を貫いた。


「グォォ…」


 ズシンと熊型の魔獣が膝をつく。そしてそのまま横倒しに倒れた。


「…倒した?」


 クーリアが恐る恐る近付く。それでも魔獣は動かない。どうやら倒せたらしい。


「ふぅぅ…怖かったよぅ…」

「ア、アウ?」


 クーリアが近付いてきたリーヴォを抱き絞める。いきなりの行動にリーヴォは困惑気味だ。

 クーリアは、魔獣と戦ったことはある。だが、ここまで大型の魔獣と戦ったことはなかった。それ故の恐怖と、安心感を感じていたのだ。


「……えっと、大丈夫?」


 しばらくクーリアがリーヴォに頬擦りしていると、聞き覚えのある凛とした声が背後から聞こえた。

 クーリアが振り向くと……予想通り、あの人間とは思えないほど美しい女性が立っていた。


「……ひとまず、場所移動しましょうか。こっちよ」


 女性は熊型の魔獣に一瞬目線を向けてから、そう行って歩き始めた。

 クーリアもここから離れたかったので、大人しくその後をついて行った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ