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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 終
68/136

63※

 クーが図書館へと去った後、私たちは魔法の実技をする為に運動場へと向かった。


「お姉ちゃんは、いつもあんな感じなんですか?」


 その道中、クーの妹である、リーフィアが話しかけてきた。


「そうねぇ…まぁ、大体あんな感じね」

「そうなんですか……」


 あら。この反応を見るあたり、クーはあまり学園でのことを詳しく話していないみたいね。


「はぁ…この学園のAクラスが、お姉ちゃんにとって居場所が良かったなら、押し込むのに」


 ……押し込むって、なかなか凄い考え方をするのね。

 でも、クーにとって居場所がいい、か……確かに、Aクラスはクーにとって居場所がいい所ではないわね。貴族が多いから、『白』であるクーは蔑まれるでしょうし。


「まぁ、クーはクーでこの生活を満喫してるみたいだし?」

「それは見てて思いますけど……正直お姉ちゃんにとってGクラスに通うくらいなら、もう学園に来る意味ないんですよね」

「そ、そうなの?」


 確かにクーはとても頭がいいけれど……


「あれ、お姉ちゃん言ってないんだ」

「え、何を?」

「うーん…お姉ちゃんが言ってないのなら、私の口からは言えません」


 …それもそうね。今度クー自身の口を割らせましょう。


 話しているうちにいつもの運動場へと着いた。


「よし。今日の座学で行った魔力計算をもとに、魔法の行使を練習するぞ」


 今日の座学で習ったのは、中級魔法の魔力計算。私たちが以前対抗戦で使っていたのは、全て初級魔法。今回が中級魔法の、初めての行使になる。


「それぞれの得意な属性で集まってしろよ。ただし、俺の目が届く範囲で練習すること。試し打ちはあの的にやれよ。決して人に向けるなよ!」


 マンセル先生が言う的とは、訓練柱と呼ばれる的。魔法の威力を測定することが出来る魔道具で、学生程度の魔法ではビクともしない。


「「「「はーい」」」」


 全員が声を上げる。さてと…どうしようか。私の得意な属性は火と風だけど、今回はリーフィアに合わせましょうか。


「リーフィアはどの属性が得意?」

「えっと…一応無なんですけど……」


 無、かぁ……それは少し厳しいな。私は出来るけど、2人だけで練習するのは目立つし。


「他は?」

「そうですね……強いて言うなら、水でしょうか。特に氷が」


 氷……もうその魔法を使える時点で、リーフィアは中級魔法を使いこなせていることが分かる。氷は水の属性の上位互換。使うにはそれなりの技術が必要だからだ。


「…とりあえずここで氷は禁止ね」

「わかってます。これ以上注目集めたくないですし」


 まぁねぇ…周りを見れば、かなりの視線が集まっているのを感じるし。


「じゃあ水にいきましょうか」

「はい」


 10人程度の水のグループと合流する。すると案の定

、リーフィアは質問攻めにされていた。教室ではクーと話していたから、質問する機会がなかったのよね。


「おーい。早くしないと時間無くなるぞー」


 マンセル先生の声が届き、質問は一時中断された。


「ふぅ…」

「お疲れ様」


 私は質問攻めで疲れた表情をするリーフィアへと話し掛けた。


「はい…まさかここまでとは」

「まぁね…飛び級生だからってこともあるだろうけれど、それに加えて【天使】の妹だからかな」

「?【天使】とは?」

「…クーのことよ。一部の間では【天使】とか、【蒼銀の天使】だとか言われてるわ」


 クーはこのこと知らないみたいだけど……


「そんな呼び名が……まぁ、見ていて不思議な印象などは与えると思いますが… 」


 そう。それが一番の理由だ。クーには秘密が多い。謎要素が多いからこそ、【天使】などと呼ばれているのだ。

 

「でも、妹であるあなたも、クーのことを不思議だと思うの?」

「そうですね……はい。お姉ちゃんは自分のことを全然話してくれませんから……まだお兄ちゃんよりかは話してくれてるみたいなんですけど」

「そうなのね…」


 …しかしクー、ちょっとは家族との交流を増やしたほうがいいと思うわよ?


「(……話さないのなら、無理にでも聞き出そうと思ってたのに……お姉ちゃん、飲んでない。気付かれたか……)」

「え、なに?」

「なんでもないです」


 そうかしら…無理に聞き出すとかって聞こえた気がしたんだけど……


「早くやりましょう、時間がありません」

「え、ええ。そうね」


 確かにもうあまり時間はない。早く練習しないと……。

 ……でも、クー。今回も遅れないかしら……







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