表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 終
67/136

62


 その日の授業は至っていつも通りであった。

 ……クーリアが寝ていないことを除けば。何故クーリアがいつものように寝ていないのかというと……


「お姉ちゃん、寝ちゃダメだよ?」

「………」


 リーフィアのせいであった。

 一応転入生でありまだ慣れていないリーフィアの為に、ナイジェルが席をクーリアの隣にしたのだが、そのせいでクーリアは寝ることが出来なかったのだ。


「……クーリアが起きて授業受けてるところ、俺初めてみたかも」


 思わずナイジェルが呟いた。


「……お姉ちゃん、どういうことかな?」

「ひぅ?!あ、いや、その……」


 クーリアがまるで猫に睨まれたネズミのように縮こまる。

 授業中のことは家族には誰一人として話していないので、リーフィアは今日初めて知ったのだ。だからこそ、尋ねた時の声は……凍えるような声だった。


「はぁ……まぁ分かるんだけど」

「あ、そう?」

「……(だって正直お姉ちゃん学園に通う必要ないでしょ?)」

「まぁね」


 だがクーリアは自身の学習状況をリーフィア以外に教えていないので、学園を飛び級で卒業するという手段をとることは出来ないのだ。


「よし。じゃあリーフィア、これを解いてくれ」

「はい。33です」

「正解だ……やっぱり姉妹だな」

「なにがです?」

「いや……普通に解いたが、これまだ習ってないんだぞ?」

「そうなんですか?でも簡単ですし」

「……なんでこの姉妹俺のクラスにいるの?」


 全くもって正論である。


「望んだからとしか…」

「わたしは()()のせいだし」


 ……一教師をアレ呼ばわりである。


「はぁ……まぁ、いいか。とりあえず座学はここまでだ。この後は実習だが……」

「はい。行っていいですか?」

「はぁ……絶対戻ってこいよ!?」

「分かってますよ」


 第一としてリーフィアという存在が今回はいるので、クーリアは遅れることはしたくなかった。

 ………おそらく静かな怒りを貰うことになるからである。

 クーリアの兄妹で最も怖いのは、1番下のリーフィアなのだ。


(……凍りたくないんだもん)


 ……これは比喩ではない。本当に凍らされるのだ。実際クーリアは一度凍らされたことがあるのだが……低体温症で死にかけた。

 なので絶対凍りたくないクーリアは、遅れないようにしようと心に誓ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ