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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 終
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 クーリアは現在、とても困惑していた。それこそ、今までにないほどに。

 その理由が………


「今日から一緒だねっ!お姉ちゃん!」


 ──目の前で笑顔でそう言い放つ、リーフィアの存在のせいだった。

 今クーリアは学園にいる。つまり、高等部1年の教室だ。なぜそんなところにクーリアの妹である、リーフィアがいるのか。それは数時間前の出来事まで遡る……。



◆◆◆




 対抗戦が終わってから早数日。クーリアはいつものように学園へと向かう。だが、ただ一つだけ変わったことがあった。それは……


「おはよー!クー!」


 毎朝サラがクーリアの家まで迎えに来るようになったということだった。

 最初は遠慮していたのだが、もうクーリアは諦めることにした。


 しかし、変わったのはそれくらいで、またいつものような日常が過ぎる。そう、思っていた。

 ……だが、担任のナイジェルの一言によって、それは崩れ去ることになった。


「今日から転入生というか……飛び級の生徒が編入することになった」


 その言葉で騒ぎ出す生徒たち。それはそうだろう。なにせ飛び級生など、ほとんど前例がないのだから。


「静かにしろー。入ってきてくれ」


 ガラガラと扉が開き、その飛び級生が入ってくる。

 クーリアは別に飛び級生が編入してくるからといって、大して興味はなかった。

 ………その飛び級生を見るまでは。


「……え」


 思わずクーリアが呟く。教室に入ってきたのは、朱色の髪をした女の子。


「初めまして!リーフィアといいます!」


 そう。入ってきたのは……クーリアの妹、リーフィアだったのだ。



「なんで…」


 前で自己紹介をした後近づいてきたリーフィアに、クーリアが問いかける。それは「なぜ教えなかったのか」ということと、「なんで飛び級をしたのか」という、二つの意味が含まれていた。


「えへへ。だって驚かせたかったんだもん!」

「はぁ……」


 クーリアはその言葉だけで全て理解した。リーフィアが本当に純粋に、それだけの為に頑張ったということが分かったからだ。


「……お兄ちゃん達はこのことを?」

「知らない」

「はぁ……ちゃんと言いなさいよ……」

「だってぇー。教えちゃったらお姉ちゃんにバレちゃうじゃない」


 確かにすぐに教えるだろう。あの二人ならば。


「という訳で、これからよろしくね!お姉ちゃん!」

「…………はいはい」


 返事は面倒くさそうではあったが、実の所、内心はちょっと喜んでいたりした。今まで時間が無かったり、都合が悪かったりなどで、あまり会うことができなかったからだ。


(でもこれは……騒ぎになりそうだなぁ)


 前例があまりない飛び級。それをなし得たリーフィアは、かなり目立っていた。それと同時に、なぜそこまでの頭を持ちながら、一番下のGクラスなのだろうという疑問の声もあった。


(わたしと同じクラスにいたいからって、わざわざくることはないでしょうに……)


 そう。ただクーリアと同じクラスが良かったが為にリーフィアはGクラスへと編入したのだ。


 そんな理由を聞いて、クーリアはリーフィアの才能が潰れないか心配になると同時に、これからの学園生活が騒がしくなりそうだとも思うのだった。




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