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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
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「だからわたしは……手に入れる。その力をな!」


 狂っているとしか思えなかった。たが、本気でやろうとしているようだ。

 クーリアは身の危険を感じ、魔法を使って逃げようとする。

 ………だが、クーリアが魔法を使おうと魔力を放出した瞬間、首輪に放出した魔力が全て吸収されてしまった。


「えっ!?」

「無駄だよ。それは魔封じの首輪なのだからね」


 魔封じの首輪。それは主に奴隷に付けられるものだ。魔法の魔力を吸収し、魔法を使えなくするもの。

 魔法を使えない状態ならば、クーリアがここから逃げることは不可能に近い……いや、不可能だ。


(どうしよう…どうしたら…)


 クーリアは必死でここから逃げる術を模索する。通信具を使おうとするが、耳に無くなっていることに気付く。


「探しているのはこれか?」


 メンティスが目の前でチラつかせたのは、クーリアの通信具であるイヤリング。否、イヤリング()()()もの。水晶は砕け散り、金具は折れ曲がって原型を留めてはいなかった。

 クーリアは思わず唇を噛む。口の中に鉄の味が広がる。


「そうだ。その顔だ。わたしはその顔が見たかったんだよ!」


 もうメンティスは完全に常軌を逸しているとしか思えなかった。人の所業ではない。



「どうやって…」


 力を手に入れる…それは、クーリアから無属性の適性を取り出し、自分の物にするということだろう。だが、そんな方法をクーリアは知らない。


「ははっ!知りたいか?なら下を見ればいい」


 言われた通りクーリアは下を見る。そこまで下を向くことは出来なかったが、それでも目に入った。


「魔法…陣」


 地面に書かれていたもの。それは魔法陣だった。クーリアを中心とした、半径だけでも3メートルはあろうかと言う巨大な魔法陣。


「さぁ、始めよう」


 メンティスがクーリアの下にある魔法陣とよく似たもう1つの魔法陣の上に立つ。メンティスの言葉に呼応するように、2つの魔法陣が光出した。


「うっ!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」


 クーリアが悲鳴を上げる。

 体が痛い。

 何かを引きちぎろうとする感覚。それはとても耐え難い痛み。体から、剥がしてはいけないなにかが、少しずつ剥がされていく。


「い、いやぁ!」


 クーリアは必死で抵抗しようとする。だが、着実に剥がれていくのが分かる。

 ……しかし、クーリアは同時に体が軽くなるような錯覚を覚えた。

 嫌なはずだ。痛いはずだ。苦しいはずだ。はず、なのに……なぜか楽になるような気がした。


(もうこのまま任せたほうがいいのかな…… )


 そう思い、クーリアが諦めかけたその時。ドガァァァン!という轟音と共に、クーリアへと光がさした。


「な、なんだ!?」


 クーリアが諦めて閉じていた目を開く。するとそこには……


「……リーヴォ?」

「ワゥ!」


 嬉しそうに尻尾を振る、リーヴォが立っていた。





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