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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
46/136

41※

 クーが去り、わたしはヴィクター達と共に食堂へと向かった。


 行ってみると、予想はしてたけどかなりの人数がいた。まぁ席はあるから問題無さそうかな。


「違反行為って何したんだろう?」

「さぁ?」

「なんか騎士を連れてたらしいぞ」


 席につくと、そこかしこからチラホラとそんな会話が聞こえてきた。


「騎士を?よくバレなかったね」

「まぁそれは思う。それの調査のためにも今日は帰れってことなんだろうなぁ」


 その予想は合っている。今回違反行為を行ったのは、爵位としては子爵家の次男だったらしい。

 子爵家の次男ごときがこの対抗戦の会場……フィールド内に騎士を連れてはいるなんて考えにくい。だからこその調査。


 ……まぁクーと私は薄々気づいているんだけどね。



「もー!とにかくムカつくから奮発する!」

「なんでムカつくから奮発なんだ……」

「……やけ食い?」


 そんな会話をし、結局イルミーナはAセットを買っていた。あれ、結構高いんだけどなぁ…。

 正直お金に心配はないんだけど、できるなら節約したいから、そこそこの値段のBセットを頼んだ。


「むぐむぐ……んん!!」


 唐突にイルミーナが苦しそうにする。どうし……あぁ、喉に詰まったのか。


「全く……ほれ」


 ヴィクターがイルミーナに水を差し出す。

 それを勢い良く飲み干した。


「ぷはぁ!はぁはぁ…死ぬかと思った」

「案外人ってそう言ってるうちは死なないらしいわよ」


 これはクーの受け売りだ。なんというか……クーが言うとどことなく説得感があるのよねぇ…。ほんと不思議だわ。


「この後どうするんだ?作戦会議でもするか?」


 クーが居ないから、全員いる訳では無い。普通のチームは全員居なかったら作戦会議なんてしないだろう。

 だけどねぇ……クーに作戦会議は必要ないのよね。基本動かないし。どんなことがあっても対応するし。

 本人は面倒くさそうにしてるけど、言われたことはちゃんとやるのよね。


「ボクはやりたい」

「わたしはパス。用事が後であるのよね」

「そうか。ならイルミーナと作戦会議して、明日すり合わせするか」

「ええ。決勝だからその辺しっかりして貰えると嬉しいわね」


 実感無いけど、もう決勝なのよね。

 ……クーのやる気出させるために何か用意しとかないといけないかなぁ…。



「じゃあね。また明日」

「ああ。じゃあな」

「バイバーイ!」


 ヴィクターとイルミーナに手を振り、わたしは門から出て家に……は行かない。学園にUターンして、職員室へと向かう。



 そして職員室…の近くにある、会議室の扉の前に立ち、ノックする。


「誰だ?」

「サラです」

「入れ」


 許可が出たので中に入る。会議室の奥の椅子にはお父様が座っていた。それと、学園長も。


「まぁ来てもらう必要はほぼなかったんだが…」

「……確かにそうですね……」


 何せ学園長がいるのだ。状況説明は学園長のほうが適任だろう。なんて言ったって、あの監視の魔道具を作った張本人だし。


「とりあえず、こっちに。あとこれ」


 お父様から仮面を渡される。顔を隠すためにね。

 その渡された仮面を身につけ、空いている席に座る。そしてお父様がある人を呼んだ。



「失礼します」


 一言ことわって会議室に入ってきたのは……メンティス・マルコスという人物。この学園の教師で……クーがGクラスに編入される原因となった人物。


「何故ここに呼ばれたか、分かるか?」


 お父様がメンティスを睨みつけるように尋ねる。


「わ、分かりません…」

「そうか。なら、単刀直入に言おう。お前、今回の不正に手を貸したな」

「なっ!?」

「証拠も上がってるぞ。お前が賄賂を受け取っていたという証拠がな」

「ば、馬鹿な!?」


 その反応はもはや肯定していると同義だ。


「今回被害は無かった。が、次回はない。しばらく謹慎しておれ。以上だ」


 被害、つまり生徒に怪我が無かった。これでもし生徒が怪我をしていたなら、子爵家から勘当されただろう。未来ある子供達を危険な目に遭わせたのだから当然の報いね。


 メンティスは悔しそうに顔を歪めてから、会議室を出ていった。

 うーん。クーに話す必要は……ないかな。わざわざ教える必要はないでしょう。

 


「サラはもう帰っていいぞ」

「はい。では失礼します」


 せっかくだから、帰ってからクーに魔道具で連絡して、世間話でもしようかな。







「クソっ!!なんで、なんでこんなことに……あいつの、あいつのせいだ。全て、あいつの……っ!」



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