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まずクーリアはサラと合流した。
「魔道具で聞いたけど、ほんとに大丈夫だった?」
開口一番にそれである。それだけサラはクーリアのことを大切に思っているのだ。
「大丈夫。人数がいただけだったし」
しかも魔法が使えないときた。そうなると、さらに疑問は深まる。
「どうやって忍び込んだか、よねぇ…」
「まぁそれは大人たちに任せよう」
「そうね。わたし達にできることはここまで。さぁ行きましょう」
クーリアはサラに手を引かれ、草原のフィールドを後にした。
「ほんとムカつくーー!」
ヴィクターは大して違反行為を気にしていなかったが、イルミーナは大層ご立腹だ。
「勝ちたいからって騎士を入れるってなくない!?」
「まぁ気持ちは分からんでもない。それを実行するかは別だがな」
不正をしてまで勝ったとしても、王家に認められるかは分からない。なぜなら王家は開示された情報を見るだけなので、後でその実力を目の前で示させることがあるからだ。そこで示せなければ、不正が明らかになるだけでなく、王家を欺いたとして処罰を受けることになる。
(まぁそれを知らないのも無理はないけどね)
この対抗戦は、そういう行為を行う貴族を炙り出す為のものでもあった。なので、一部の者にしか知らされていないのだ。
「ま、いいじゃない。おかげで早く帰れそうだし」
一応午後から決勝戦の予定だったのだが、今回の違反行為の調査を行う為に明日へと延期された。なので、クーリア達はもう帰ることができるのだ。
「じゃあわたしは先帰るね」
「珍しいわね。クーが食べずに先に帰るなんて」
今から帰れると言っても、食堂は開いているので、大体の生徒は食べてから帰るつもりのようで、それはサラ達も同じ考えであった。なのでサラはクーリアも同じように食べて帰るとおもったのだが…
「ちょっと用事があるんだよ」
「ふーん。まぁいいわ。じゃあまた明日ね」
「うん。またね」
「気ぃつけて帰れよ」
「先生じゃないんだから……それくらい分かってるよ」
ヴィクターの発言が先生じみていたので、クーリアが思わず突っ込んだ。
「まぁヴィクターは先生っぽいわよね」
「そうだねー。ヴィクター先生?」
サラが同意し、イルミーナが茶化す。
「やめろ。……まぁ俺からしたら3人ともやんちゃな子供に見えるんだがな」
「それは否定できない…」
クーリア達に自覚があったことに驚きである。
(ほんと、いい友達に出会えたよね…)
表情には出さずとも、クーリアはこの3人と友達になれて良かったと思っていたのだった。
(クーが笑ってる…!?)
……サラには何故かバレバレであった。




