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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
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37

 教室でのいざこざがありながらも、クーリア達は対抗戦の会場へと到着した。ちなみに今日は準決勝である。


「あぁもう!今すぐにでもあの教師の顔面を…」


 未だにグチグチとサラが先程のことを口にする。

 しかし、もしそんなことをすれば大騒ぎである。最悪退学処分されても文句は言えないほどの。


「サラ」

「なに…ひっ!?」


 サラがイラつきながらも呼ばれて振り向けば、表情が抜け落ちたクーリアが見つめていた。

 その姿を見て、サラが短く悲鳴を上げる。


「ちょっとは冷静になって」


 微力の魔力をサラにだけピンポイントに当てる。それだけで、サラはクーリアが密かに怒っていることに気づいた。

 いつものサラなら、クーリアがそんなことをせずとも、密かに怒っていることに気づけたはずだ。だが、頭に血が上っていたサラはそのことに気づけなかった。


「ご、ごめん…」

「わたしは別にあんなことを言われても気にしない。でも、それに怒ってサラが問題を起こすことは望まない」


 クーリアは別にナイジェルの言葉に怒っているのではない。頭に血が上って、サラが問題を起そうとしたことに怒りを覚えたのだ。

 というのも、クーリアは、自分のせいで知り合いが問題を起こすことを嫌う。なぜなら、それにより後で罪悪感に苛まれるのは、クーリア自身だからである。

 それをサラが知らないはずはない。それ故にクーリアは怒っていたのだ。


「ごめん……」

「頭冷えた?」

「…うん」

「なら、よろしい」


 クーリアはサラの言葉を聞き、サラだけに当てていた魔力を霧散させた。


「ふぅ…」


 思わずサラが息を吐く。それだけクーリアの魔力による威圧はキツいものであった。


「喧嘩は終わったか?」


 ヴィクターが軽く尋ねてくる。クーリアの威圧はサラに対してしか行われていなかったので、ヴィクターとイルミーナはただの喧嘩としか認識していなかった。

 ……無論クーリアはそれを狙ってやっていたのだが。


「おわったよ」


 表情が戻ったクーリアが答えた。


「そうか。もうそろそろ時間だから、転移の魔法陣に向かうぞ」

「「「はーい」」」


 対抗戦でのリーダーはサラであるが、こう言った日常では、ヴィクターが指揮を執ることが多い。

 まぁヴィクター以外適任がいないだけではあるのだが……


「さてと。頑張りましょう!」

「「おー!」」

「おー……」


 クーリアだけが乗り気でない。元々負けるつもりだったのだから、無理もないが。


(でもサラから言われちゃったしなぁ…まぁ、ぼちぼちやりますか)


 そんな気持ちで、クーリアは皆が待つ魔法陣の上へと立った。

 その瞬間、魔法陣が起動し、クーリア達は対抗戦の準決勝の舞台へと転移されたのだった。








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