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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
41/136

36

 次の日。クーリアは自分の部屋で四苦八苦していた。


「こ、ここ?」


 その理由は…イヤリングの付け方がよく分からなかったからだ。ここにきて装飾品を身につけなかったことが悔やまれる……ことはないが、聞いておけば良かった、と少しばかり後悔するクーリアであった。

 そして鏡を見ながら、時間がかかりつつも、何とかイヤリングを付けることができた。


「ふぅ……あっ!」


 付け終わり安堵しながら時計を見ると、もう既に家をでないと間に合いそうにない時間になっていた。


「クー、ご飯は!?」


 フィーリヤがクーリアに尋ねてくる。


「時間無いからいい!」


 一分一秒も惜しいので、クーリアは朝ごはんを食べず、鞄を持って、学園へと走った。






「はぁはぁ…間に合った…」


 全速力で走って、なんとか朝礼開始2分前にクーリアは教室へとたどり着いた。


「クー、おはよう。あなたが遅れるなんて珍しいわね」

「おはよう。うん……イヤリングの付け方がね…」


 サラがそんなクーリアの言葉に苦笑した。


「まぁ昨日わたしが付けたものね…ごめんね?」

「ううん。わたしが聞かなかったのが悪いから」


 そもそもサラはイヤリングの付け方をクーリアが知らないとは思わなかったのだから、サラが昨日言わなかったのは無理もない。

 そんな会話を交わしたところで、担任の先生が入ってきて朝礼を始めた。




「よし。全員いるな。今日は対抗戦準決勝だ。このクラスで残ってるのは……サラのチームだけか」


 だけではあるが、Gクラスでひとつでも残っていること自体がありえないので、凄いことだったりする。


「頑張れよ。特に、クーリア」

「………なんでわたしなんですか」

「1番楽してるから」


 その言葉を聞き、サラの顔が怒りに染る。

 確かに一見するとクーリアは何もしていないように見える。だが、クーリアがいるからこそ、クーリアが守ってくれるからこそ、サラ達が攻められるのだ。


「先生っ!いくらなんでもそれは」

「サラ」


 今にもここから先生にむけて魔法を使いそうなサラをクーリアが止める。


「でもっ!」

「いいの。別に」


 それでもサラは言おうとしたが、クーリアが微力の魔力を放出し威圧してきたので、仕方なく黙った。


「あぁ…まぁ、すまん。ちょっと言葉が悪かったな」

「大丈夫ですよ。ホントのことですし」


 クーリアが答えると、クラスに笑いが生まれる。その笑いは面白がるような、蔑むような、そんなものだった。


「(クーっ!)」

「(黙って)」


 もしクーリアが居ない時にこんな状態になれば、サラはこの教室を火の海にしていたかもしれない……。




 

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