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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
38/136

33

 クーリア達が向かったのは、だだっ広い中庭だった。


「ここでやるの?大丈夫なの?」


 クーリアが心配するのも無理はない。なぜなら、これからやる模擬戦とは、魔法や体術など、なんでもありのものだからだ。


「大丈夫よ。ここは魔法結界張ってあるから」

「それなら大丈夫…?」


 魔法結界とは、魔法のみを防御する結界だ。

 結界にはもうひとつ、物理のみを防ぐ結界が存在し、それを両立した結界も存在するが、そちらは消費する魔力が馬鹿にならないので、基本どちらかに特化した結界が使われる。

 

「じゃあやるわよ!《エアバレット》!」

「えぇ!?ちょっとまって!?」


 いきなり魔法が飛んできたことに驚きつつも、クーリアはその魔法を横っ飛びでかわした。


「まだまだ!並列!《ファイヤーボール》《エアバレット》!」

「2属性!?」


 クーリアが驚きの声をあげる。2属性の魔法を並列して行使するのは、とんでもなく難しい。学園でも、できる人は数える程しかいない。


 ファイヤーボールの後ろをエアバレットが追随するが、エアバレットのほうが速いので追いつく。その結果、ファイヤーボールの威力が増し、スピードも増してクーリアへと襲いかかった。


「っ!」


 クーリアが慌てて魔力の塊をぶつけるが、それでも勢いは止まらない。


「《防御》」


 クーリアが短くそう呟くと、目の前に透明な壁が現れる。

 ファイヤーボールはその壁に衝突し、消滅した。


「危なかった…」

「その割に慌ててないと思うけど…」


 それはそうだろう。いちいち魔力の塊をぶつけなくても、防御魔法を使えば防げたのは分かっていたのだから。


「じゃあ…並列。《ファイヤーボール》《ウォーターボール》!」


 2つの相反する魔法がぶつかり、水蒸気が発生した。


「なるほど…」


 視界を奪われつつも、クーリアは落ち着いていた。なぜなら魔力を薄く広げたことで位置は把握できていたからだ。


(でもサラはそれも分かってるはず…なら)


 クーリアは目を閉じ、意識を集中する。

 反応は1つ………いや、2つ。


(なるほどね。よく考えてる)


 おそらくどちらかがダミー。

 このクーリアの索敵方法にはひとつ弱点があり、それは魔力に反応することだった。

 人は全員微力ながらも魔力を持つため、それをクーリアは利用している。だが、その結果魔法に含まれる魔力にも反応してしまうのだ。

 今回の場合、おそらく一方の反応は魔法だろう。


「…でも、ざんねん」

「きゃ!?」


 後ろから襲ってきたサラを魔力の塊で吹き飛ばした。極力魔力を抑え、気配を殺して近づいてきていたが、クーリアが集中した状態ならば、位置を把握するなど造作もない。

 さらに言えば、反応が強いほうはほとんど動いておらず、そのことからダミーと判断できた。


「はい。私の勝ち」

「うぅー!」


 模擬戦のルールは、どちらかが1回でも攻撃を当てること。サラがクーリアの攻撃を受けたので、ここまでだ。


「なんでぇ?」

「魔法で誤魔化すのは上手いと思ったけど、それが動かなかったら気づくよ」

「でもわたし、魔力抑えたよ?それでもなんで気づくのぉ!!」


 その言葉にクーリアは苦笑を浮かべるのみだった。







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