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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
34/136

29※

 クーがあまり高い食材を使った料理を好まないのは知っていたから、予めそこらへんを連絡しておいた。


「うわぁ…すごいね」


 用意されていた食事にクーが感嘆の声を出す。

 確かに豪華ではあるのだけれど……


「クーも一応伯爵令嬢なんだから、これくらいのもの用意されるんじゃないの?」

「確かにそうだけど…週に一回くらいだし」


 あぁ…そう言えばそうだったわね。


「とにかく食べちゃいましょ」

「うん」


 クーが少しずつ食事をその小さな口に運んでいく。その度に目を開いて蕩けそうな表情をするもんだから、女の子のわたしでもドキッとしてしまった……


「…やっぱり自覚させたほうがいいのかしら?」


 クーの表情は、確かに分かりにくいけど、昔よりだいぶマシになったと思う。

 現にクーの蕩けそうな表情を見て、顔を赤らめてほぅ…と息を吐くメイドもいるし……って、よく考えたらそれってヤバいわよね。あとで襲われたりしないかしら…まぁクーなら大丈夫だと思うけど。


 …って、話がそれた。つまり、クーは同性でも惚れるくらいとても可愛いんだけど、それを本人が自覚してない。だから学園でファンクラブなるものができてしまっているし……。


「ねぇ、クーって好きな人いるの?」

「え?どうしたの、急に」

「ちょっと気になったから」


 するとクーが考え込む。もしいるのなら本格的に自覚させないと…。


「いない、ね」


 熟考のすえ、いないと言う。目を見たらわかる。嘘は言ってない。

 そっかぁ…


「そう、なんだ…じゃあタイプは?」

「タイプ、ねぇ……強いて言うなら、わたしと魔法の話ができる…」


 あ、もう無理だわ。

 すぐに諦めてしまった。いやだって、クーと魔法の話が、できる人なんてどれだけいる?多分ほとんどいないよ?

 ……クーには恋人が一生できないかも。


「ご馳走様でした」


 クーがもう食べ終わる。出された分は食べているけど、それでも最小限だ。


「それだけでいいの?」

「うん、少食だしね」


 …クーの身長が伸びないのってそれが原因では?と思ってしまった。本人に言ったら落ち込むか怒るから言わないけど。


「ご馳走様」


 わたしも食べ終わり、クーと共にお風呂へと向かう。


「そう言えば着替え…」


 今それに気づいたらしい。クーってたまにこういうことあるのよね…学園では天然を演じてるけど、これは素だから、正直本当に天然なんじゃって思ったり…。


「大丈夫。用意させてるから」

「用意周到だね…」


 クーからジト目で見られるけど、気にしない!


 


 お風呂に入ると、クーの青銀の髪が目にはいる。相変わらず綺麗。思わず嫉妬しそうになる。


「わたしが洗うね」

「え?そんなのいいよ」

「洗わせて。ね?」

「……分かった。じゃあわたしもサラの髪洗う」

「うん」


 クーの髪を洗う。サラサラで綺麗で、ほんと羨ましい。


「サラの髪綺麗だね 」

「クーの髪の方が綺麗だよ」


 わたしはあまり自分の髪が気に入っていない。だってちょっと固くて癖が直りにくいんだもん。


「入ろ」

「うん」


 クーと共にお風呂に入る。やっぱり友達とお風呂に入るって、なんかいいね。

 そんなことを思いながら、わたしはクーとお風呂を楽しむのだった。




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