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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
33/136

28※

 本に夢中になっているクーを見つめる。相変わらず可愛い……ってそうじゃない。

 確かにクーは可愛いんだけど、やっぱり似てないのよねぇ……


 緋色の騎士はよく知っている。だからこそ、クーとは似ていないと分かる。それを言うとクーがものすごく落ち込むから言わないけどさ。


「クー、クー?」


 呼びかけても全く反応しない。凄い集中力よね…


 わたしがクーに渡した無属性の魔法書。それは、クーに言うつもりもないけど、わたしが作らせたもの。

 そもそも数が少ないし、ほとんどボロボロだったからね。ちょうどよかった。


 クーが独学で無属性魔法を研究していることは知っているし、それがとても凄いことだとも知っている。

 だけど、本来の無属性がどんなものなのかを知るのは大切だ。それは全ての属性に言えること。そうしないと普通魔法は満足に使えない。


 ……目の前にそれが出来ちゃう子がいるけど。それはあくまで例外。

 

 クーがこの魔法書を読んだことで何を思い、何を得るのか、それがとても気になるけど……


「心配でもあるのよねぇ…」


 ただでさえクーの才能は計り知れない。しかもそれが基礎もできてないのに、だ。

 そこで基礎を知ったらどうなるのか…


「まぁ大丈夫よね」

「何が?」


 おっと。いつの間にかクーが本から目を離していたらしい。


「なんでもないよ。それより、もういいの?」

「うん、理解できた」


 それを聞いて、自分の顔が引き攣ってしまっているのが分かった。

 わたしでも1週間かけて理解したのに……まだ10分も経ってないのよ?


「ほんとに?」

「まぁ大まかに、だけど」

「?」


 クーにしては珍しい答え方だ。いつもなら全て理解したと言うのに。


「大まかでいいの?」

「良くはないんだけど……ママから、他の人の家で本を読む時は程々にしなさいって言われてるから」

「そ、そうなんだ…」


 確かに本を読んでいるときに話しかけても、クーには全く聞こえてないみたいだし。クーのお母さんはそれで他人に迷惑をかけないように、言い聞かせているんだろう。


「サラ様、クーリア様。食事の用意ができました」


 ちょうどいいタイミングね。


「分かったわ。じゃあいきましょうか」

「うん……これは?」


 クーが魔法書を持ち上げる。


「今日はここまでよ。また明日見せてあげるから」

「…分かった」


 渋々と言った様子でクーが魔法書を机に置く。もしかしたら一晩中読み耽るかもしれないからね、ここで止めておかないと。

 わたしはクーと一緒に書庫を後にした。


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