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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 対抗戦編
23/136

18

  クーリア達は本部まで赴き、無事2回戦へとコマを進めた。


「自滅って、そんな勢いで突っ込んだの?」

「そうそう。誰もいなかったからかな?」


  そう。敵の主将が突っ込んだのは、クーリアが立っていた真ん中ではなく、端のフラッグだったのだ。

  普通誰もいなかったとしても、少しは警戒するものだが…どうやらクーリア達にフラッグを取られ、焦っていたらしい。走っていってクーリアの防御魔法にぶつかり、その衝撃でネックレスが割れてしまったのだった。防御魔法は透明なので、見えなかったらしい。


「それは…まぁバカよね」


  サラは意外と毒舌だったりする。まぁそれ以外言う言葉が見つからないのだが…


「2回戦は午後からだとよ」

「そうなの。じゃあ別の試合見ましょうか」


  対抗戦は高等部1年()()なので、別の学年も行っている。


「そうね…3年の対抗戦でも見ましょうか」

「そうだな。なにかいい作戦とか見つかるかもな」

「クーもそれでいい?」

「うん」


  こうしてクーリア達は3年の対抗戦が観戦できる場所へと移動した。

  クーリアが到着した時、観戦席はかなりの熱狂に包まれていた。


「何があったのかしら?」


  不思議に思いながらクーリア達は空いてる席を探し、なんとか4人座れる席を見つけた。


「あそこで見ましょう」

「さんせーい」


  イルミーナが我先に席に着く。


「全く…」


  それに続き、クーリア達が席に着いた。


「多分熱狂の原因はあれじゃないかな」


 ヴィクターが試合を映したスクリーンを指さす。そこには朱色の髪を持つ、2人の兄弟が映っていた。何故兄弟と分かったのか。それは2人の顔がとても似ていたからである。


「あー、【緋色の騎士】ね」


  緋色の騎士とは、その2人の兄弟の通り名だった。成績優秀。文武両道で武術、魔法にも秀でている。まさにエリート。


「お兄ちゃん達そんな通り名あったんだ…」

「「「え?!」」」


  思わずクーリアがつぶやいた言葉を聞き、サラ達は驚きをあらわにした。


「うん?どうしたの?」


  その理由が分からなくて、クーリアは首を傾げた。


「い、いや…クーのお兄ちゃんって…」

「あぁ。うん。あの人達だよ。言ってなかった?」

「兄弟の話は聞いてたけど…まさか【緋色の騎士】だとは知らなかった」


  そう。クーリアは話していなかった。まぁその通り名を知らなかったので、無理もない。


「でも、似てないよね?異母兄妹?」


  イルミーナが無邪気にそう尋ねる。しかし、そう聞かれたクーリアは俯き、口を開かなくなってしまった。


「あ、え?だ、だめな話題だった?」


  いきなり黙りしてしまったクーリアに、イルミーナは大慌てだ。


「…ううん。似てないのは事実だから。でも、異母兄妹ではないの。ちゃんと同じ親からだよ」


  俯きながら、クーリアは答えた。


「ちょっと!クーになんて表情させるのよ!」

「えぇ!ボクのせい?!」


  ぎゃいのぎゃいの口論を初めてしまったサラ達を後目に、ヴィクターがクーリアに寄り添った。


「大丈夫か?」

「…うん。分かってはいたけど、いざ言われるとちょっと気にするもんだね…」


  ヴィクターは黙ってクーリアの頭を撫でた。


「大丈夫だ。イルミーナだって嫌味じゃないんだから、気にすることない」

「そう、だね………で、いつまで撫でてるのよ」


  まるで小さな子供と接するようにするヴィクターに、クーリアはふくれっ面をした。


「くくっ…その顔がなんとも…」

「もう!身長低いからって子供扱いしないでよ!」


  いつの間にか、クーリアの気持ちは持ち直していた。


「あ、終わった」


  クーリアの兄2人の試合は、もちろん圧勝で終わっていた。全滅&フラッグ全回収。これ以上の圧勝はないだろう。


「クー、イルミーナは絞めておくから、もう気にしないでいいわよ」

「絞めるって…大丈夫だよ。もう気にしてないから」


  その言葉を聞いて、サラの後ろで死んだ目をしていたイルミーナの顔が華やいだ。


「ありがとう!クーリア!」

「もう!ありがとうじゃないでしょうが!」

「グヘッ!…うぅ…ごめんよ」

「う、うん」


  目の前で殴られるイルミーナを見て、サラを怒らせないようにしようとクーリアは心に決めたのだった…





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